■事業部門別動向

(2) GAME事業

ゲーム市場はマクロ的には右肩下がりが続いているが、これには少子化やスマホの登場など構造的要因が影響していると考えられるため、影響をはねのけて成長するのは容易ではない。そうした厳しい事業環境に対するSDエンターテイメント<4650>の施策は大きく2つだ。1つは店舗のスクラップ・アンド・ビルドであり、もう1つは“稼げる”ゲーム機の選定とそれへの集中投資だ。

店舗のスクラップ・アンド・ビルドについては、前期から今期にかけて積極的に行った。不採算店は順次閉鎖という方針のもと、2015年9月に愛知・守山店、2016年5月に高知・四万十店、2016年7月に香川・丸亀VASARA店を閉鎖した。一方で、2015年12月に函館・上磯店、2016年5月に帯広音更店をオープンした。帯広音更店は、商圏内に競合施設がないため、好調な業績を継続しており、今後の出店における1つのモデルと位置付けられている。ただし、帯広音更店モデルは、言うなれば地方出店モデルであり、法的要件や経済条件により適した立地を見つけるのが難しく、進捗としては遅れ気味というのが実情のようだ。

新規出店については帯広音更店モデル以外にも、商業施設内における小規模事業モデルも検討されている。これは中・大型のスーパーなどの商業施設内で、集客力のあるプライズゲームに機種を絞って運営する小型店舗だ。現在北海道内でスーパーチェーンと出店を協議中とのことだ。反対に、同社の既存ゲーム施設の中には、スペースが大きすぎる店舗もある。そうしたところは反対に、ゲーム施設内にフィットネス施設やカフェ施設に部分転用し、店舗の魅力度を高める工夫も検討している。

ゲーム機の選定では、今第1四半期において、外部コンサルタントに依頼して、設置機種や店舗内のレイアウトなどの見直しを行った。同社自身もゲーム場運営には長い経験を有するが、全社的な外部コンサルタントの目による業務見直しの一環として行った。その結果を受けて、プライズゲーム(クレーンゲーム。商品名としては“UFOキャッチャー”など)の集客力が高いことが改めて指摘された。さらに、クレーンゲームの中でも大型景品に対応する最新型の機種を導入したところ、売上が旧型機に比べて70%増と顕著な改善を示したため、同社は年末需要に向けて100台を導入するなど、設備投資にも踏み切った。

業績面では、2017年3月期第2四半期累計期間の売上高は1,108百万円で、前年同期比3.7%の減収となった。今第1四半期においては「艦これアーケード」がヒットしたほか、第2四半期は新型プライズゲームの導入でプライズゲーム売上高が前年同期を上回った。しかし事業部全体としては不採算店舗の閉鎖によって、店舗数が1店舗純減となった影響で前年同期比減収となった。

今下期以降については新型プライズゲームの貢献がまず注目される。同社は100台の導入を決めているがメーカー増産して在庫が確保できれば更なる発注も検討している模様だ。また、小型店舗についても第1号店が今下期中にオープンする可能性がある。不採算店の閉鎖が一段落したことで、新規出店によるトップライングロースへとステージが切り替わってくるのかどうかに注目している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 SDエンター Research Memo(4):ゲーム事業はスクラップ・アンド・ビルドと稼げるゲーム機の選定に注力