■決算動向

(3) 2017年3月期の業績予想

2017年3月期の業績予想についてダイコク電機<6430>は、期初予想を据え置き、売上高を前期比6.4%増の50,000百万円、営業利益を1,000百万円(前期は894百万円の損失)、経常利益を1,000百万円(同749百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益を600百万円(同1,676百万円の損失)と増収及び黒字転換の達成を見込んでいる。

売上高は、先行き不透明な市場環境が継続する見通しのもと、情報システム事業がホールコンピュータや周辺機器の販売減により縮小するものの、制御システム事業が自社開発パチスロ遊技台(通期計画3機種)の販売等により増収に寄与する想定となっている。

損益面では、自社開発パチスロ遊技機販売に係る費用増(販売手数料や広告宣伝費)などにより販管費が増加するものの、増収により吸収することで黒字転換を図る想定となっている。また、研究開発費については、期初計画どおり4,400百万円(前期比17.4%減)に減少する見通しである。

なお、上期の売上高が計画を下回っているうえ、下期についても引き続き厳しい市場環境が継続しているなかで、売上高予想を据え置いたのは、1) 2016年12月末に期限を迎える「回収・撤退」問題による影響が一巡した後のパチンコホールにおける投資動向を見定める必要があると判断したことや、2)制御システム事業において、部品等の販売が想定よりも好調に推移していることなどが理由と考えられる。特に1)については、「回収・撤去」問題への対応が、パチンコホールの投資余力を奪っているという見方がある一方で、比較的体力に余裕のあるところについては新たな投資に対して様子を見ている状況も認められることから、年明け以降に前向きな投資が再開される可能性があると捉えているようだ。

一方、利益予想については、上期実績が計画を上回っているものの、販管費の期ずれによるもの(通期業績には影響なし)も含まれていることなどから、据え置いたものとみられる。

事業別の業績予想は以下のとおりである。

a)情報システム事業
売上高が前期比9.0%減の31,000百万円、セグメント利益が同1.0%増の2,300百万円と減収ながら微増益を見込んでいる。新型情報公開端末「REVOLA」が業績寄与するものの、周辺機器の販売減等により減収となる見通しである。また、損益面では、最終段階を迎えた次世代ホールコンピュータにかかる研究開発費の減少等によりわずかながら増益となる想定である。上期の売上高が計画に対して出遅れたものの、「回収・撤去」問題が一巡した後のパチンコホールの投資動向を見定めた上で業績修正の有無や修正幅を判断する方針とみられる。

b)制御システム事業
売上高が前期比46.3%増の19,000百万円、セグメント利益が600百万円(前期は1,319百万円の損失)と大幅な増収により黒字転換を見込んでいる。前期からの持ち越しとなった自社開発パチスロ遊技機(3機種)の販売が増収に大きく寄与する見通しとなっている。損益面でも、研究開発費が増加するものの、大幅な増収によって損益改善を目指す。上期の売上高が計画を下回る原因となったパチンコ遊技機メーカー側の期ずれの影響については、下期の販売計画にも連鎖するものとみられるが、上期好調であった部品の販売等が引き続き好調に推移していることから十分にカバーできるものと判断しているようだ。

弊社では、上期実績や厳しい市場環境が続いていることなどを勘案すると、業績予想の達成に向けたハードルは高いものの、同社と同様、「回収・撤去」問題が一巡した後のパチンコホールの投資動向が今期業績を大きく左右するものと捉えている。したがって、来期業績への影響を含め、パチンコホールにおける投資意欲の回復に向けた道筋を注意深く見守る必要があるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



<NB>

情報提供元: FISCO
記事名:「 ダイコク電 Research Memo(7):17/3期通期は増収、黒字転換の達成を見込む