*15:51JST 米中対立激化への懸念からリスク回避の動き【クロージング】 8日の日経平均は大幅続落。384.24円安の32606.84円(出来高概算16億3000万株)で取引を終えた。前日の米ハイテク株安や米商務省が「中国製の華為技術(ファーウェイ)の半導体について調査する」と米メディアが報じたことから、米中対立が一段と激化するのではないかとの懸念からリスク回避の動きが強まり、日経平均は後場中盤に32512.80円まで水準を切り下げ、心理的な節目の32500円に迫る場面があった。週末に加え、急ピッチの下げの反動から押し目を拾う動きもあり、下げ渋る場面もあったものの、先行き不安感は拭えず、32500~32600円と日中の安値圏でのもみ合いが続いた。

東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄が1500を超え、全体の8割超を占めた。セクター別では、証券商品先物、電気ガス、石油石炭の3業種を除く30業種が下落し、鉱業、非鉄金属、精密機器、電気機器の下げが目立った。指数インパクトの大きいところでは、アドバンテス<6857>、第一三共、<4568>、ソフトバンクG<9984>がしっかりだった半面、東エレク<8035>、ファーストリテ<9983>、ダイキン<6367>、テルモ<4543>、信越化<4063>軟調だった。

前日の米国市場は、新規失業保険申請件数が市場予想よりも改善したことから、金融引き締めに対する警戒感が強まり、金利動向に敏感とされるハイテク関連株中心に値を消した。この流れを受け、東京市場でも半導体関連株や電子部品関連など値がさ株中心に幅広い銘柄が下落。日経平均の下げ幅は一時450円を超えた。中国政府が米アップルの「iPhone」の使用禁止の対象を国有企業にも拡大する方針であると報じられたことに続き、米当局からの報復と見られる動きが報道されたことも投資家心理を悪化させた。

米国のインフレ高による利上げ長期化懸念がくすぶるなか、米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長の講演が行われる。来週からは米連邦公開市場委員会(FOMC)前のブラックアウト期間に入り、要人発言の機会がなくなるだけに、バー氏が最後にどのような発言をするのか注目されるだろう。また、半導体分野などでの米中対立がどれだけ激化するのか懸念材料が多い。目先は米中動向をにらみながら不安定な展開が続きそうだ。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 米中対立激化への懸念からリスク回避の動き【クロージング】