東京金融取引所(TFX)が手掛ける取引所為替証拠金取引「くりっく365」は、2022年12月の取引数量が前月比0.1%増の302万8757枚、1日の平均取引数量は13万7670枚と前月比で増加した。月末時点の証拠金預託額は4602.23億円と前月比で53.87億円減少した。取引通貨量では、米ドル、メキシコペソ、南アフリカランド、豪ドル、トルコリラの順となった。一方、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」は、12月の取引数量が前月比8.3%減の490万5277枚、1日の平均取引数量は24万6497枚と前月比で増加した。月末時点の証拠金預託額は696.17億円となり、前月比で80.63億円の減少となった。

取引数量トップは米ドル・円で161万3595枚(前月比5.3%増)だった。12月1日に行われたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演内容から12月の利上げペース減速が示唆されたことでドル売りが優勢となり、一時は1ドル=133円台まで下落した。その後は1ドル=134~138円台でもみ合う展開が続いたが、12月19-20日に開かれた日本銀行金融政策決定会合で長期金利の許容変動幅を拡大することが決定したことで相場は急変。市場では事実上の利上げになるとの見方が強まり、急速な円買いが広がったことで1ドル=130円台まで下落した。NZドル・円は取引数量9万4645枚(前月比83.6%増)だった。NZと日本との金利差拡大観測からNZドル買い・円売りの展開が続いていた。しかし前述の日銀による長期金利許容変動幅拡大により、NZドルに対しても円を買い戻す動きが急速に広がった。12月13日には一時1NZドル=88円台へ上昇したが、27日には1NZドル=82円台と10月中旬の水準まで戻している。

1月のドル・円はもみ合いか。日本銀行がこれまで進めてきた大規模金融緩和の段階的修正への思惑は残されており、円買い圧力が強まりやすい。一方、米国のCPIは数カ月連続で鈍化が進み、一時期に比べればインフレ懸念は弱まる可能性がある。しかしながら、米国の物価見通しについては予断を許さない状況が続いており、リスク回避的なドル売り・円買いが一段と拡大する可能性は低いとみられる。メキシコペソ・円はじり高か。中国の新型コロナウイルス感染再拡大は旧正月後に一巡するとの見方が台頭しつつあり、中国の経済と資源需要の立ち直りに期待が高まる方向にある。また、1月12日には米国で12月消費者物価指数(CPI)の発表を控えており、インフレ率の低下基調が再確認されれば、米国の利上げ長期化観測の緩和につながり、メキシコペソの支援材料となりそうだ。


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情報提供元: FISCO
記事名:「 1月のくりっく365、ドル・円はもみ合い、メキシコペソ・円はじり高か