30日の欧米外為市場では、ドル・円は上げ渋る展開を予想したい。米連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め期待は根強く、当局者のタカ派姿勢でドル買い基調は継続。ただ、1年半超ぶりの高値圏に浮上し、利益確定売りが重石になりそうだ。

前日の取引で米10年債利回りの上昇は一服したが、月末・半期末のフローでドル買いが強まった。ユーロ・ドルは昨年7月以来の1.15ドル台後半に下げ、ドル・円は昨年2月以来の112円付近に上昇。本日アジア市場は日経平均株価が前場に弱含み、ややリスク回避的な円買いが先行した。一方、中国恒大集団の債務不履行(デフォルト)懸念は根強いものの、上海総合指数はプラスで推移し、円買いは抑制され主要通貨を支えた。

この後の海外市場では、欧米の金融政策などがテーマになりやすい。FRB当局者からは引き続きタカ派的な見解が示され、新規失業保険申請件数など経済指標が改善すれば引き締め期待のドル買いが先行しそうだ。ただ、欧州中銀(ECB)や英中銀は年末に向け正常化を予想しており、前日大きく売られた欧州通貨が持ち直せばドルは失速しよう。また、中国恒大集団の債務問題の先行きは不透明で、ドルは利益確定売りに下押しされるとみる。

【今日の欧米市場の予定】
・18:00 ユーロ圏・8月失業率(予想:7.5%、7月:7.6%)
・21:00 独・9月消費者物価指数速報値(前年比予想:+4.2%、8月:+3.9%)
・21:00 南ア・8月貿易収支(予想:+350億ランド、7月:+370億ランド)
・21:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:33.0万件、前回:35.1万件)
・21:30 米・4-6月期GDP確定値(前期比年率予想:+6.6%、改定値:+6.6%)
・22:45 米・9月シカゴ購買部協会景気指数(予想:65.0、8月:66.8)
・23:00 米FRB・財務省のパンデミック対応に関する公聴会(下院金融サービス委員会)
・23:00 ウィリアムズNY連銀総裁開会あいさつ(FRBのパンデミック対応に関するオ
ンラインセミナー)
・24:00 ボスティック米アトランタ連銀総裁オンライン討論会参加(経済的流動性)
・01:30 エバンス米シカゴ連銀総裁討論会参加(経済見通し)
・02:05 ブラード米セントルイス連銀総裁開会あいさつ(出版記念会)
・03:30 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁オンライン講演(女性とリーダーシップ)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は上げ渋りか、米引き締め期待継続も利益確定売り