9日の欧米外為市場では、ドル・円は下げ渋る展開を予想する。米連邦準備制度理事会(FRB)による緩和政策の長期化に思惑が広がり、金利安を手がかりにドルは下押しされる見通し。ただ、週末に向け、安全通貨のドルへの売りは縮小しそうだ。

前日発表された新規失業保険申請件数は予想に反して増加し、雇用情勢の悪化を示した。また、連邦公開市場委員会(FOMC)のハト派的な議事要旨やこの日のパウエルFRB議長の見解により、米10年債利回りは1.61%台に低下。それを受けユーロ・ドルは1.1920ドル台に浮上し、ドル・円は109円付近に売り込まれた。本日発表された中国のインフレ指標の改善などで、アジア市場での米長期金利は下げ渋っている。ただ、ドル・円の戻りのペースは鈍く、さえない値動きが続く。

この後の海外市場ではFRBの長期的な緩和政策が意識され、金利安でドルに下押し圧力がかかりやすい。また、バイデン政権による大型インフラ投資に関する与野党の対立も嫌気され、ドル売りの支援材料となろう。一方、英アストラゼネカ製の新型コロナウイルス向けワクチンの有効性をめぐる論議でポンドの調整が強まれば、ドル・円は下支えされる可能性があろう。また、中国国内総生産(GDP)など来週予定される重要イベントが警戒されるなか、安全通貨のドルへの売りは収束しそうだ。

【今日の欧米市場の予定】
・21:30 米・3月生産者物価指数(前月比予想:+0.5%、2月:+0.5%)
・21:30 カナダ・3月失業率(予想:8.0%、2月:8.2%)
・23:00 米・2月卸売在庫改定値(前月比予想:+0.5%、速報値:+0.5%)
・23:00 カプラン米ダラス連銀総裁オンライン質疑応答

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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は下げ渋りか、米FRBの慎重姿勢を意識も週末控え売り縮小