19日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

・日経平均は4日ぶり大幅反発、短期変動は想定線、楽観なお尚早か
・ドル・円は反発、買戻し一巡後はもみ合い
・値上がり寄与トップは、ソフトバンクグループ<9984>、同2位は東京エレク<8035>

■日経平均は4日ぶり大幅反発、短期変動は想定線、楽観なお尚早か

日経平均は4日ぶり大幅反発。347.99円高の21394.23円(出来高概算5億5000万株)で前場の取引を終えている。

18日の米株式市場でNYダウは3ドル高と3日ぶりに小幅反発した。動画配信大手ネットフリックスの決算が嫌気され、ハイテク株を中心に売りが先行。しかしNY連銀のウィリアムズ総裁が講演で「経済悪化の兆候を確認した場合、連邦準備制度理事会(FRB)は迅速に行動すべき」などと利下げに積極的な姿勢を示し、株価は下げ渋った。前日に422円安と令和最大の下げ幅を見せた日経平均も、米国株の底堅い動きを受けて本日は100円高からスタート。台湾積体電路製造(TSMC)が業績の先行きに前向きな見方を示したことから、東京市場でも半導体関連株を中心に買いが入り、寄り付き後の日経平均は上げ幅を広げる展開となった。東証1部の値上がり銘柄は全体の9割強と全面高になっている。

個別では、ソニー<6758>、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、任天堂<7974>など売買代金上位は全般堅調。前述のとおり東エレク<8035>、SUMCO<3436>、SCREEN<7735>、アドバンテス<6857>といった半導体関連株の上げが目立つ。第1四半期減益との観測が報じられた東ソー<4042>、業績下方修正のKOA<6999>は悪材料出尽くし感から買い戻し優勢。また、経営再建への期待が高まっている曙ブレーキ<7238>や業績上方修正のレッグス<4286>が急伸し、半導体関連株とともに東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、売買代金上位ではファーストリテ<9983>が利益確定売りに押され逆行安。Genky<9267>は朝方に発表した決算を受けて売りが先行し、東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、全33業種がプラスとなり、水産・農林業、証券、非鉄金属、食料品、パルプ・紙が上昇率上位だった。

日経平均は前日から荒い値動きとなっている。前日については、キヤノン<7751>に関する報道などから企業業績の悪化懸念が台頭。本日は一転して半導体関連市場の底打ち期待が広がった格好だ。企業業績や事業環境を巡る材料に一喜一憂しているようにも見受けられる。しかし、市場では短期投資家の売買が中心との見方が多いようだ。前日の東証1部売買代金は2兆円あまりで、本日の前場も1兆円弱にとどまっており、取引参加者が増えている印象は乏しい。また、日経平均は前日までの3日間で640円近く下落しており、本日は週末を前に買い戻しの動きが出てきやすいことは想定内だ。日足チャートで21400円台前半に位置する25日移動平均線や75日移動平均線までの戻りにとどまれば、自律反発の域を出ないだろう。

「短期的に振らされる場面が出てくる」と一昨日に指摘したとおりの展開で、特段ポジティブにもネガティブにも捉える必要はないと考えられる。ただ、株価変動率(ボラティリティー)の高まりは株売りにつながる可能性もあるため注意しておきたい。また、ここまでに伝わっている業績観測報道は市場予想に対し強弱入り混じっている。米中通商協議の先行きも不透明で、外需株全般に強気に傾くのは時期尚早だろう。引き続き方向感の掴みにくい相場展開が続くとみておきたい。


■ドル・円は反発、買戻し一巡後はもみ合い

19日午前の東京市場でドル・円は反発。NY連銀総裁の前日のハト派的見解が今月末の政策決定に必ずしも関連するものではないとの思惑から、ドルは買い戻された。

ウィリアムズNY連銀総裁は18日の講演で、各国・地域の中銀は経済に問題が生じている兆候があれば迅速に行動を起こすべきと発言。それを受け、今月末の連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げに思惑が広がり、ドル売りに振れた。
ランチタイムの日経平均先物は強含んでおり日本株高継続を期待した円売りがドルを押し上げる展開のようだ。また、中国株や欧米株式先物の堅調地合いも、円売りを支援している。

ここまでの取引レンジは、ドル・円は107円22銭から107円60銭、ユーロ・円は120円97銭から121円25銭、ユーロ・ドルは1.1224ドルから1.1241ドルで推移した。


■後場のチェック銘柄

・アクセルマーク<3624>がストップ高

※一時ストップ高・安(気配値)を含みます

・値上がり寄与トップは、ソフトバンクグループ<9984>、同2位は東京エレク<8035>で2銘柄で約52円分押し上げ


■経済指標・要人発言

【経済指標】
・日・6月全国消費者物価指数(生鮮品除く):前年比+0.6%(予想:+0.6%、5月:+0.8%)

<国内>
・13:30 全産業活動指数(5月) 0.3% 0.9%

<海外>
・特になし



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情報提供元: FISCO
記事名:「 後場に注目すべき3つのポイント~短期変動は想定線、楽観なお尚早か