■発電用に使う原油を減らし、輸出にまわしていた! この疑問に答える1つの回答として、「なるべくたくさんの原油を輸出しようと調整している」ということが挙げられます。つまり生産した原油をなるべく国内で使わず、海外に輸出することで外貨を獲得しようとしているのです。原油を国内で使ったとしても外貨は獲得できません。そのため、サウジアラビアでは特に発電用の原油利用を極端に減らしています。サウジアラビアは2018年、発電設備で平均日量40万バレルの原油を直接燃焼させて発電を行っていましたが、2009年以来で最も少ない量となっています(出所:Joint Organizations Data Initiative)。原油のかわりに天然ガスや重油、他のエネルギー源を使うことによって、原油による発電を意図的に減らそうとしているのです。一方で、とてもタイミングの良いことに船舶の燃料として使われる高硫黄重油は、環境規制を受けるため需要が減少する見通しです。そのため重油の需要が減少し、サウジアラビアは安い価格で発電用の重油を調達することができる見込みです。