12日の欧米外為市場では、ドル・円は上げ渋る展開を予想する。今晩の英国議会に提出される欧州連合(EU)離脱合意案の採決に楽観的な見方が広がり、円売り先行の見通し。ただ、可決されるかどうかは依然不透明であり、否決されれば円売りは続かずドル・円の上昇を抑える可能性もある。

前日の取引では、米国の1月小売売上高が予想を上回る内容となり、いったんドルの買い戻しが進んだ。その後、記録的なマイナスを示した12月分が下方修正されたことで、個人消費の伸びが鈍化し景気の下押し要因になりかねないとの見方が浮上。ドル・円は長期金利の低下に伴い111円付近まで軟化する場面もあった。ただ、ドルは株価の反発もあって持ち直している。本日のアジア市場では、英国とEUが離脱協議案の見直しで合意したとの発表を受けて、ポンド買いとリスク選好的な円売り主導の展開。ポンド・円やユーロ・円を中心にクロス円が上昇し、ドル・円は111円半ばに押し上げられた。

今晩はブレグジット合意案の英議会採決が最大の焦点。見直し合意を受けて、以前よりは可決への期待が高まっているようだが、労働党のコービン党首が否決を呼びかけているほか、与党内にもまだ不満がみられるといわれ、可決されるかどうかは不透明な状況といえそうだ。可決ならポンド買いが一段と進むだろうが、否決ならいったんポンド売りに転換しよう。ただ、否決の場合、合意なき離脱の是非を明日採決、それも否決なら、14日に離脱期限延長の採決を行う予定であり、ポンド売りは持ち高調整の範囲内程度にとどまる可能性がある。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・18:30 英・1月鉱工業生産(前月比予想:+0.2%、12月:-0.5%)
・18:30 英・1月貿易収支(予想:-122.00億ポンド、12月:-121.02億ポンド)
・21:30 米・2月消費者物価指数(前年比予想:+1.6%、1月:+1.6%)
・21:45 ブレイナード米FRB理事講演(地域再投資法に関する会合)
・02:00 米財務省10年債入札(240億ドル、リオープン)
・英議会が政府のEU離脱協定案を採決




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は上げ渋りか、英国の議会採決に期待も不透明感