みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。2019年も商品先物についてわかりやすくお伝えするべく努めてまいります!よろしくお願いいたします。

■ 金が買われた理由は投資家の警戒感
さて、年初から金が買われる動きが目立っています。米国のアップル社の売上高予想が下方修正されたことなどを悪材料として、米国株式市場で売りが先行したことや、景気減速への危惧から安全資産として金が買われました。ただ、その後発表された米国雇用統計から米国経済の好調さが確認されたことや、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長が利上げに対して慎重な姿勢を見せたため、株価は反転しました。この時と同じように、昨年にも度々株価が急落しては収まることを繰り返しており、今後いつまた急落するのかと警戒する流れにもなることから、より金への分散投資を意識した取引が行われることが考えられます。また、欧州でブレクジットにおける交渉が難航していることや、中国の経済低迷なども株式相場急落への警戒感につながっています。

このように、資金の逃避先として金が注目されたことにより、「金ETF」の残高も増加してきています。ところで金ETFとは何なのでしょうか? 「ETF」とは、“Exchange Traded Funds”の略で、「上場投資信託」と呼ばれており、証券取引所に上場している投資信託のことです。「金ETF」は金価格に連動して値段が動く仕組みになっているETFです。一般的に取り扱い会社が金現物を管理してくれるので、私たちは手元に現物を持つことなく投資ができます。私たちは「金を買ったのはいいけれど、保管する場所、どうしよう・・・?」などと考える必要がありません。そのため金ETFの登場を通して投資家は金投資がしやすくなりました。ちなみにNISA(一定の投資額まではその利益が非課税になる制度)を活用して買うこともできますよ。

■ 金相場を押し上げる金ETF
金ETFの残高増加は金価格の上昇への影響が大きいです。金ETFは、私たちが購入した額に応じて、取り扱い会社が金の現物を購入し保管するという仕組みになっています。そのため、残高が増加すればするほど取り扱い会社が金を購入し、価格が上昇しやすくなります。ただ、金ETFにもさまざまな種類があり、金現物の裏付けがないものもあります。なお、具体的にどれくらい金ETF残高が増加しているかというと、1月6日時点では1,735トンとなり、10月9日の1,639トンに 比べて+96トン、つまり約6%増加。この1ヵ月では+60トン増加しています。このような金ETF残高の増加も、最近の金相場を押し上げていました。

今回のコラムでは最近の相場を一緒に振り返りました。また、金への需要→金が買われる→金価格上昇。という流れだけではなく、金への需要→金ETFの残高増加→金価格上昇という流れも考えられるということがわかりました。次回も商品先物の値動きとその背景についてお伝えしてまいります。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ




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情報提供元: FISCO
記事名:「 株価への不安で上昇する金相場~もっと知りたい商品先物取引(高井ひろえ)