2日の欧米外為市場では、ドル・円は弱含む展開を予想する。米国の保護主義的な姿勢で貿易戦争への懸念からドル売りが継続する見通し。また、イタリア総選挙やドイツ大連立政権の行方に対する不透明感への警戒から、クロス円は円買い先行となりそうだ。

トランプ米大統領は1日、1月の一部家電やソーラーパネルに加え、鉄鋼製品などの輸入制限を決めた。主に中国を念頭に置いた措置とみられるが、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は声明を発表し、近く対抗策を打ち出す方針。その他の関係各国もいっせいに反発しており、貿易戦争に発展するとの懸念から、足元ではドル売りが強まっている。

株式市場にも波紋が広がり、1日のNYダウは前日比400ドル超下げ、本日は日経平均株価が一時600円超下落した。欧米株式先物は2日午後時点ではほぼマイナス圏で推移しており、今晩の欧米株安を警戒したドル売り・円買いの流れとなっている。米国の保護主義的なスタンスで世界的に株安となれば、リスク回避の円買いが続きそうだ。

また、欧州政治リスクも不安視されている。4日投開票のイタリア総選挙で、現在のユーロ体制に否定的な中道右派連合が勢力を拡大する事態となれば、大きなユーロ売り要因となろう。さらにドイツの社会民主党(SPD)の大連立政権参加に関する投票結果にも不透明感が漂う。

米国の保護主義的なスタンスによるドル売りと、世界的な株安や欧州政治リスクへの警戒、そして、黒田日銀総裁の出口言及による円買いで、ドル・円は本日アジア市場で節目の106円を割り込んだ。足元では2月16日に付けた105円55銭が下値ターゲットとして意識される。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・18:30 英・2月建設業PMI(予想:50.5、1月:50.2)
・19:00 ユーロ圏・1月生産者物価指数(前年比予想:+1.6%、12月:+2.2%)
・19:00 カーニー英中銀総裁講演(天候不良でスコットランド経済会議から変更)
・22:30 カナダ・10-12月期GDP(前期比年率予想:+2.0%、7-9月期:+1.7%)
・24:00 米・2月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値(予想:99.5、速報値:99.9)
・メイ英国首相が離脱後の対EU関係について演説




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は弱含みか、米国の保護主義や欧州の政治リスクなどに警戒