以下は、フィスコ客員アナリスト大石哲之(「ビットコイン研究所」代表、ツイッター@bigstonebtc)が執筆したコメントです。

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※2017年12月6日に執筆

ビットコインのフォークコインの予定が相次いでいる。すでにビットコインゴールドと、ビットコインダイヤモンドがビットコイン本体からフォーク(分裂)し、その後の発表があるだけでも5つのコインが予定されている。名称と時期は下記の通りだ。

ビットコインプラチナ(2017年12/12頃)
スーパービットコイン(12/17頃)
ビットコインウラニウム(12/31頃)
ビットコインシルバー(12月予定)
ビットコインキャッシュプラス(2018年1月予定)

Segiwt2xやビットコインゴールドの時は、フォークコインをもらいたい人がフォーク直前にビットコインを購入し、フォーク後に手放すという行動がみられた。チャート上も、分岐ブロック直前に価格が上がり、分岐後下がるという様子が見受けられたが、ビットコインダイヤモンド以降をみると、ユーザーの反応は鈍く、フォークコインによる価格の上下の影響はすでになくなっているように思える。

ビットコインゴールドまでは幅広い取引所が取り扱いに関する事前の説明を出して付与の期待があったが、ビットコインダイヤモンドにおいては唯一中国系の取引所1社が扱っているだけで、またビットコインプラチナにおいてはフォーク予定日に取引所の取り扱い声明が全く無かったことから、フォークを延期した。

これらを見てもフォークコインがビットコインの価格に対する影響は限定的になったといえる。

ただし、フォークコイン自体は仮想通貨取引所でそれなりの価格が付いている。ビットコインゴールドはビットコインの約4−5%前後、ビットコインダイヤモンドは10%前後の価格が一時的についた。

一部にビットコインは分裂を繰り返し、価値の基盤が下がっていると評する人もいるようだが、それは仕組みを根本的にわかっていない。たしかにビットコインキャッシュや、Segiwt2xの分岐(中止)においては、ハッシュパワーがそれらのコインに移動することによって、相対的にビットコイン本体のセキュリティや取引処理速度が低下した。

これは、これらのコインが同じSHA256というマイニングアルゴリズム(仮想通貨の新規生成過程のアルゴリズム)を採用しているため、マイナー(仮想通貨の新規生成であるマイニングを行う人)のシェアの喰い合いになるからだ。そのため、ゼロサムゲームになる。

一方、ビットコインゴールド以降のフォークは、多様なアルゴリズムを採用しているが、これらはGPUマイニングという形式で行うものであり、ビットコイン本体とはまったく互換性がないものである。つまり、ビットコイン本体のハッシュパワー(マイニングの作業量)がそれらのコインに移動することはない。つまり、こうしたフォークコインがいくら誕生したとしても、本体のセキュリティや処理速度の低下はみられない。

ビットコインゴールド以降のこれらのフォークコインが人気になれば、同じGPUマイニングを採用しているイーサリアム他のコインが影響を受けることになる。いまのところその影響は軽微であるものの、もしフォークコインへのハッシュパワーの移動が起こるとすれば、ビットコインからではなく、イーサリアム他GPUマイニングを採用しているアルトコインからの移動になる。

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執筆者名:大石哲之
ブログ名:ビットコイン研究所



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情報提供元: FISCO
記事名:「 大石哲之:ビットコインの分裂、価格への影響は【フィスコ・ビットコインニュース】