*07:39JST NYの視点:米8月雇用統計先行指標、労働市場の減速示唆 米労働省の8月雇用統計発表を控え、先行指標のひとつ民間部門の雇用者数を占めるADP雇用統計は+9.9万人となった。伸びは7月+11.1万人から拡大予想に反し鈍化し、2021年1月来で最低となった。7月分も+12.2万人から+11.1万人に下方修正された。

米7月JOLT求人件数は800万件割れと2021年来で最低、総失業者に対する割合も一段と低下し景気後退時の水準となった。

米国の経済は消費が7割を占めるため特に注目のISM非製造業景況指数の8月雇用は50.2と、かろうじて活動の拡大と縮小を示す50を維持したが、7月51.1から低下。ISM製造業景況指数の8月雇用は46と、7月43.4から上昇も、依然50割れで製造業の雇用は冴えず。過去12カ月で50を上回ったのは昨年9月と今年の5月の2カ月のみ。

一方で、直近の新規失業保険申請件数(8/31)は22.7件と、7月初旬来の低水準。失業保険継続受給者数は6月来で最小となるなど、企業は新規採用を控えているが、まだ従業員削減には至っていない証拠となった。しかし、新規採用を控えている企業はいずれ従業員削減を加速させる可能性は除外できない。

市場は8月雇用統計で失業率が4.2%と、7月4.3%から低下。非農業部門雇用者数は前月比+16.5万人と、+11.4万人から伸び拡大、平均時給も前月比+0.3%、前年比+3.7%と、+0.2%、+3.6%から伸び拡大を予想している。7月と同様、8月雇用統計も低調となった場合は、連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利下げ観測を強めドル売りがさらに加速する可能性がある。市場は現時点で、年内に100ベーシスポイントの利下げ、来年の7月時点で、あと100ベーシスポイントの利下げでFF3.24%を予想している。

■米8月雇用先行指標
●ADP雇用統計:+9.9万人(予想:+14.5万人、7月:+11.1万人←+12.2万人)
●ISM製造業景況指数雇用:46.0(7月43.4)
●ISM非製造業景況指数雇用:50.2(7月51.1)
●7月JOLT求人:767.3万件(予想810万件、6月分791万件←818.4万件)
●新規失業保険申請件数
日付 | 申請件数 | 前週比 | 平均 | 受給者数
08/31/24| 227,000| -5,000| 230,000
08/24/24| 232,000| -1,000| 231,750| 1,838,000
08/17/24| 233,000| 5,000| 236,250| 1,860,000
08/10/24| 228,000| -6,000| 236,750| 1,855,000
08/03/24| 234,000| -16,000| 241,000| 1,859,000
07/27/24| 250,000| 15,000| 238,250| 1,871,000
07/20/24| 235,000| -10,000| 235,500| 1,869,000

●米雇用統計予想
失業率:4.2%(7月4.3%)
非農業部門雇用者数:16.5万人(11.4万人)
平均時給:前月比+0.3%、前年比+3.7%(+0.2%、+3.6%)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米8月雇用統計先行指標、労働市場の減速示唆