冬季に向けて、欧州では天然ガスなどのエネルギー供給ひっ迫が各家庭を圧迫、景気にも影響すると警戒されている。供給不足への対応として、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、欧州連合(EU)が電力市場への緊急介入を準備していることを明らかにした。一方で、米国のバイデン政権は燃料関連の輸出を制限するよう、関係企業に要請する書簡を送っている。

電気自動車メーカーのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はノルウェーで開かれたエネルギー会議での演説において、再生可能エネルギーへの移行にはかなりの時間を要し非常に長い期間、石油やガスが必要になるとの考えを示した。自身が化石燃料を悪と決めつけてはいないと強調。各国政府の政策が変わらない限り、供給不足による燃料価格の上昇基調は変わらず、当面、世界のインフレ動向や景気動向に損傷を与えると見られる。

欧州中央銀行(ECB)は、景気後退入りリスクの上昇を認識しながらも利上げ以外に選択肢はないと、次回理事会でも50BP、75BPなど大幅利上げを協議する見通し。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「米国経済は十分に強く、何着陸が可能」との考えだが、同時に、ハードランディングのリスクや景気後退リスクも除外したわけではない。金融政策で高インフレ対処が最優先で、長期にわたり力強い対応が必要と断固とした方針を崩していない。


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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:燃料価格高が当面世界のインフレ、景気への脅威に