米民主党は困難と見られていた環境対策を盛り込んだ4300億ドル規模のインフレ抑制法案で可決し、成立の見込みがたった。これまで、増税などに反対姿勢を示していたマンチン議員やシネマ議員が支持に回った。3カ月後に迫った中間選挙にむけてバイデン大統領が就任以降、目標ととしていた環境、経済対策が成立することになる。

二酸化炭素排出量を削減、消費者をグリーンエネルギーに移行させるなど環境問変化問題への対処に3000億ドル超費やすほか、ヘルスケアのカバーを拡大し、高齢者の処方薬コストを削減する。資源として、大企業に対する15%の最低税率を課すほか、企業の自社株買いに1%課税、国税庁(IRS)要員を大幅増員し富裕層への課税の執行厳格化で財政赤字縮小を目指すという。

■米インフレ抑制法案内訳

環境問題3000億ドル超規模
「農家などへ二酸化炭素排出量を削減で報奨金制度」
「電気自動車購入者に対する税優遇措置」など

ヘルスケアのコスト削減600億ドル相当

大企業に対する15%の最低税率、自社株買いに1%課税

法案による影響を巡る見方は分かれる。ゴールドマンサックスは、純財政への影響は非常に緩やかで、今後数年、対国内総生産(GDP)比0.1%にも満たないとの見方。一方で、一部エコノミストは、インフレ抑制とうたっているがインフレを逆に悪化させ、景気停滞を招くと批判している。

520億ドル規模の半導体法案に続きインフレ抑制法案の成立が米連邦準備制度理事会(FRB)が想定している積極的な利上げ軌道を正当化する可能性がある。一部では、9月連邦公開市場委員会(FOMC)までにサプライズで8月に追加利上げを実施するとの思惑も浮上。米カンザスシティー連銀主催で8月末にワイオミング州のジャクソンホールで開催される年次会合に焦点が移る。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米インフレ抑制法案もFRBの大幅利上げ正当化する可能性も