全米不動産業者協会(NAR)が発表した7月中古住宅販売成約指数は前月比-1.8%となった。予想外に6月-2.0%に続き2カ月連続のマイナスに落ち込んだ。前年比では-8.5%。成約指数の減少は、今後の中古住宅販売ペースが鈍化する可能性を示唆している。過去、数か月、住宅価格の高騰で、劇的に値ごろ感が後退した。7月中古住宅の中間価格は18%高だった。

NARのチーフエコノミスト、ヤン氏は市場の鈍化が始まった可能性があると慎重な見方を示したものの、今のところ需要に十分な供給が追い付かないい状況だと指摘。ただ、在庫は緩やかに増加しつつあり、住宅購入希望者も様々な選択肢を模索し始めているとした。7月末時点の在庫は前月比+7.3%の132万戸。前年比では-12%。住宅ローン金利は再び低下。30年の固定住宅ローン金利は3.18%から2.84%まで低下しており、需要を支える。

8月ダラス連銀製造業活動指数も9.0と、7月27.3から予想以上に低下し、1月来で最低となった。重要な項目である新規受注は15.6と、7月26.8、6カ月平均26.5をそれぞれ下回った。原油価格の下落が影響した可能性もあるが、注視が必要と見る。見通し不透明感も21.1と、7月や14.6、6カ月平均の19.3も上回った。新型コロナ再流行、地政学的リスクの上昇などが依然、回復の足かせとなっている模様。雇用も21.9と、7月23.7、6カ月平均23.6を下回った。6カ月先の見通しも冴えない。15.1と、7月の37.1から急激に落ち込み、6カ月平均の31.9を下回った。新型コロナウイルスのデルタ株感染拡大の影響が想定以上、あるいは長期にわたり広まる可能性にも警戒が必要か。

■米8月ダラス連銀製造業活動指数:9.0(予想:23.0、7月:27.3)
新規受注:15.6(7月26.8、6カ月平均26.5)
生産:20.8(31.0)
支払い価格:74.9(73.5)
賃金:43.4(46.0)
雇用:21.9(23.7、23.6)
就業時間:24.3(24.2、23.7)
見通し不透明感:21.1(14.6、19.3)
6カ月先
景気指数15.1(37.1、31.9)
新規受注:40.7(43.3、44.4)
生産:44.3(48.4、47.1)
企業見通し:17.6(35.5、30.8)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米7月中古住宅販売成約指数や8月ダラス連銀総裁は予想下振れ