今回目を引いたのは、それぞれの国家の脅威を評価する指標の一つに、軍事力や宇宙やサイバーと並んで、情報活動、影響作戦(Influence Operation)及び選挙への干渉及び妨害(Elections Influence and Interference)の項目が付け加えられたことである。米国が影響作戦の脅威を認識したのは、2016年の大統領選挙におけるロシアの活動であった。選挙当時から、ロシアが大統領選挙に干渉していると報道されていたが、ロシアが干渉したと米国が正式に判断したのは、2020年4月であった。超党派で構成された米上院情報委員会は、2016年の大統領選挙にロシアが介入し、共和党候補のトランプ氏を支援したという米国情報機関の評価は正しいと結論付けた。ロシアの介入を裏付ける証拠は開示されなかったが、報道によれば、ロシアの影響力にあると見られる勢力が、民主党選挙対策本部のネットワークに侵入し、データを窃取したことや、フェィクニュースをSNS等で拡散したことが伝えられている。米国はこの事件を極めて深刻の問題ととらえており、国家が主体となった脅威に分類したものとみられる。