米労働省が発表した米国の1月JOLT求人件数は691.7万件と、12月675.2万件から減少予想に反して増加し、パンデミックにより経済封鎖する前の昨年2月以降ほぼ1年ぶり高水準を回復した。また、失業者総数と求人件数との差も縮まった。昨年4月時には総失業者数が求人件数を1800万上回っていたが、1月には320万まで縮小。4月以前は、雇用のひっ迫で、求人件数が失業者総数を上回る傾向が2014年半ばから6年間ほど続いていた。

労働市場の自信をあらわすとして注目の自主退職者数は1月の340.7万人から331万人へ減少。退職率(Quits rate)は2.3%と、1月2.4%から低下しており、労働市場の回復には依然、警戒感が強い。解雇率は1.2%と、1月の1.3%から低下した。一方で、再採用を含めて、採用は530万人と、1月の541万人から減少。2カ月連続の減少となった。採用率は3.7%と、12月3.8%、昨年の3.9%も下回った。 パンデミックが収束せずロックダウンが再開されたほか、低賃金職に復帰するよりも失業保険を得ているほうが割が良いことなどから、職場復帰を望まない失業者も少なくない。一方、企業は適切な技術を持つ従業員の獲得に困難な状況が続いていると悲観的。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が言及しているように、労働市場には大きなたるみ(スラック)が存続している可能性が示唆された。

■雇用たるみダッシュボード

◎金融危機前に比べ状態が改善         パンデミック:  金融危機水準と比較
1月求人率(Job openings rate):4.6%(12月4.5%、昨年4.5% ) 4.4%, 3%
1月退職率(Quits rate):2.3%(12月2.4%、昨年2.3%)     2.3%: 2.1%

◎金融危機前に比べ状態悪化
1月採用率(Hiring rate):3.7%(12月3.8%、昨年3.9%)      3.8%
2月失業率(Unemploynent rate):6.2%(1月6.3%)     3.5%, 5%
2月広義の失業率(U-6):11.1 %(1月11.1%)         7.0%, 8.8%
2月労働参加率:61.4%(1月61.4%)               63.4%, 66.1%
2月長期失業者数(15週以上):55.6k(1月52.8K 20年54.8k) 19k
1月解雇率(Layoffs/discharges rate):1.2%(12月1.3%、昨年1.2%) 1.2%
2月雇用者数(Nonfirm payrolls):+37.9万人(1月+16.6万人)+25.1万人,+16.18万人



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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米1月JOLT求人件数:パンデミック前の水準回復も採用は鈍化