米国の9000億ドル規模の追加経済対策の成立を受けて、2021年経済の回復期待が広がった。ゴールドマンサックスは2021年第1四半期の米国内総生産(GDP)見通しを5%成長に引き上げた。従来は3%成長だった。同社は当初国民への第2次現金支給を含まない7000億ドル規模の経済対策が来年、バイデン新政権発足後に成立するとのシナリオを基に見通しを立てていた。しかし、実際成立した支援策の規模が予想を上回ったほか、成立時期も年内と前倒しとなり、さらに、第2次現金支給も含まれたことが景気に大きくプラスに寄与すると見ている。

特に、経済対策に含まれる国民への600ドルの現金支給が年初の可処分所得を大幅に引き上げると指摘。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、消費が数四半期遅れる傾向がある。また、貯蓄率がピークよりも低下したとはいえ、11月末時点で12.9%と歴史的にも高水準を維持している。ワクチン接種が広範に行き渡り、消費の累積需要で来年後半の経済が大きく反動する可能性がある。

万が一、議会がトランプ大統領も支持している現金支給額の2000ドルへの引き上げに成功した場合、より将来の消費に貢献することになる。ゴールドマンサックスは2021年の米GDP成長率見通しも当初の5.3%から5.8%へ引き上げ。本年第4四半期は従来の5.3%から5.6%へ引き上げた。商務省と類似したモデルを使用していると、市場で注目されるアトランタ連銀の第4四半期GDP見通しは23日時点で10.4%成長とかなり大幅な伸びを予想している。11月初旬から新型コロナウイルス感染第3波の影響で全米各地で規制が強化されており回復への懸念をよそに、成長見通しは堅調だ。投資家の2021年の経済活動再開への期待もさらに強まった。2年ぶりの安値で推移しているドルも短期的に下げ止まる可能性がある。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:2021年経済への期待広がる、追加経済対策成立で