4月6日朝のメディアでは、近く「緊急事態宣言」を発表する可能性が大きく報じられました(実際に4月7日に発令されました)。ある程度織り込み済みとは言え、市場の動揺が予想されます。

一方、海外ではややポジティブな報道が相次ぎました。今朝行われた会見で、トランプ米大統領は、「NY市に良い兆候がみられる」と述べました。実際、5日日曜日の新型コロナによる死者数は、ニューヨーク州で初めて減少し、イタリアでもこの2週間余りで最も少なく、スペインでは3日連続で減少、フランスは5日ぶりの低水準となりました。

これらは、いずれも、人の流入が大きく、感染者数急増後に厳しい行動制限を行ってきた地域です。日本やブラジルなど、まだ感染が拡大している国も多いので、世界レベルでの沈静化まではまだ遠いものの、徹底した封じ込めを行えば成果が出ることが改めて示された週末ともいえそうです。

だとすれば、日本の緊急事態宣言、および、恐らく同時期に閣議決定されるであろう財政政策は、むしろ終息に向けての一歩と考えるべきでしょう。

もちろん、運輸や観光、飲食等の対面ビジネスは既に大きな打撃を被っていますし、日本の行動制限は緩いため、他国よりは長期化リスクが高いと思われます。それでも、政府の支援が適切に実施されれば、回復の道筋は見えそうです。

これに対し、長くダメージを受けるのが確実なのは、政府の予算、そして、貸出先の支援を求められる銀行等です。もともと財務力が脆弱な企業や業種も、今回を機に整理される可能性があるでしょう。例えば、中国では、さまざまなコロナ支援策にも関わらず、不動産会社の倒産が年初から100社を超えるペースです。政府の大きな決断が出る今週は、こうした長期的な選別も考え始める好機だと思います。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:4/6配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 コラム【アナリスト夜話】新型コロナの週末:海外からはポジティブな報道も(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)