米連邦準備制度理事会(FRB)は17日、18日の2日間にわたってワシントンで開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利のFF金利誘導目標を25ベーシスポイント引き下げ1.75%−2.0%に設定した。声明の中で、世界経済の成長減速やインフレの低迷で利下げを実施したことを再表明した。

声明では前会合からの修正は少ない。消費は「強いペースで伸びた」(前回:消費の伸びは年初に比べて加速)と上方修正された一方で、企業の投資や輸出は弱まった(前回:企業の設備投資は軟化)と下方修正された。

利下げの軌道に関しては、メンバー内の見解の相違がより拡大。前回は8対2で利下げを決定したが、今回は7対3と反対票が増えた。前回も据え置きが必要と主張し利下げに反対したローゼングレン・ボストン連銀総裁とジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁が再び据え置きを主張。一方で、新たに、ブラード・セントルイス連銀総裁が50ベーシスポイントの利下げを主張した。

また、四半期に一度公表されるスタッフ予測の中で、5人のメンバーが2%−2.25%の水準で据え置くべきと見ていたほか、他の5人のメンバーが9月の25ベーシスポイントの利下げ後据え置きが必要と見ていたことが明らかになった。その他の7人のメンバーがさらに1回以上の利下げが必要と予想。計10人のメンバーが年内の追加利下げが必要ないと判断している。年内の追加利下げが必要とした7人を上回った。

さらに、パウエル議長は会合後の会見で、マイナス金利の導入には否定的な見解を示したほか、米国経済が景気後退入りするとは予想していないとの見解を示すと市場に安心感に広がった。議長は基本的な見通しが依然緩やかな経済成長で、インフレも2%目標に向けて上昇すると見ていることを明らかにした。ただ、経済が悪化した場合には成長を持続させるために追加利下げを実施すると柔軟な姿勢も強調した。

年内の追加利下げの可能性が一段と不鮮明になった。

FOMCとパウエルFRB議長会見のポイント

■消費の判断引き上げ
消費は強いペースで伸びた(前回:消費の伸びは年初に比べて加速)

■企業の投資や輸出の判断を下方修正
企業の投資や輸出は弱まった(前回:企業の設備投資は軟化)

■FOMCの金融政策に関する見通し分かれる
7対3で利下げ決定(前会合7対2で利下げ決定)
「ローゼングレン・ボストン連銀総裁とジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁が据え置きを主張。ブラード・セントルイス連銀総裁が50ベーシスポイントの利下げを主張」(前回FOMC:(ローゼングレン・ボストン連銀総裁とジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁が据え置きを主張)


FRB予測
年内の利下げ:5メンバーが2%−2.25%の水準で据え置くべき、他の5メンバーが9月の25ベーシスポイントの利下げ後据え置き、7メンバーが1回以上の利下げが必要と予想

■量的緩和
「量的緩和(QE)の再開は、従来考えられていたよりも早まる可能性も」




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:年内の米追加利下げの可能性がより不鮮明に