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で前場の取引を終えている。
15日の米株式市場でNYダウは422.67ドル高と4日ぶり大幅反発。ロシアが軍の一部撤収を発表したためウクライナ侵攻懸念が緩和し、寄り付き後上昇。プーチン大統領がドイツのショルツ首相と会談し引き続き外交的解決に前向きな姿勢を強調したことなどもプラス材料となり、終日堅調に推移。引けにかけて、バイデン大統領がロシア軍の撤収が未確認としたものの、パンデミック収束に伴う経済再開銘柄の買いが相殺し、上げ幅を拡大。ナスダック総合指数は+2.52%、フィラデルフィア半導体株指数
(SOX)は+5.46%となった。米株高を引き継いで日経平均は403.86円高でスタートすると、朝方は買いが先行し27450.28円(585.09円高)まで上昇。戻り待ちの売りから失速するも、もみ合いが続いた後、香港ハンセン指数の上昇などを追い風に、前引けにかけては再度騰勢を強めた。
個別では、東エレク<8035>やアドバンテスト<6857>、ルネサス<6723>などの半導体関連や、信越化<4063>、SMC<6273>、TDK<6762>などのハイテク株が総じて大幅高。商船三井<9104>、ファーストリテ<9983>のほか、ANA<9202>やOLC<4661>、オープンドア<3926>などのアフターコロナ関連の一角も高い。米長期金利の上昇を追い風に三菱UFJ<8306>や第一生命HD<8750>などの金融も強い動き。決算発表銘柄ではブリヂストン<5108>、アサヒ<2502>などが買われた。一方、地政学リスク緩和を受けた原油先物価格の下落を材料にINPEX<1605>や石油資源開発<1662>が大幅に下落。キーエンス<6861>、ニトリHD<9843>、住友鉱<5713>も軟調。決算発表銘柄では、山崎パン<2212>、JACR<2124>、ピジョン<7956>などが売られ、ツバキ・ナカシマ<6464>は急落。
セクターではゴム製品、海運業、空運業などが上昇率上位に並んだ。一方、鉱業、石油・石炭製品の2業種のみが下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の81%、対して値下がり銘柄は16%となっている。
日経平均は前日までの2日間だけで800円超も下げていたこともあり、地政学リスクの緩和を受けた米株高を背景に、本日は大幅反発。ただ、25日移動平均線を手前に伸び悩んでおり、戻り待ちの売りの根強さも窺える。
また、本日の株高の持続性には依然懐疑的とならざるを得ない。ロシアは軍の一部撤収を発表したが、北大西洋条約機構(NATO)やバイデン米大統領はこうした動きについて「確認していない」と述べている。ロシア軍は依然としてウクライナ近辺で常時戦闘に入れる状態を維持しているとも伝わっており、地政学リスクは払しょくされていない。米国務省が言及しているに過ぎず、真偽は定かでないが、16日は当初ロシアがウクライナ侵攻をすると噂されていた日でもあり、依然警戒感は拭えない。
一方、ウクライナ情勢を巡る報道でかき消された感があるが、前日に発表された米1月生産者物価指数(PPI)は市場予想を大幅に上回った。前年同月比で+9.7%(予想の+9.1%)となり、前月比では+1.0%(同+0.5%)と予想比で2倍の伸びとなった。変動の激しい食品・エネルギーを除いたコアでも前月比+0.8%(同+0.5%)と予想を大きく上回った。もともと、前回の12月分に続き2カ月連続で伸びが鈍化し、インフレ懸念の沈静化につながるとの期待がああったわけだが、完全に予想を覆す形となり、米10年国債利回りも再び2%台にまで上昇している。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めペース加速を一段と正当化しうる材料といえ、このPPIの上振れは、今後、じわじわと影響を与えそうだ。
明日未明には、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(1月開催分)が公表予定。すでに、市場では今年の全てのFOMCでの利上げを織り込みつつあるほか、4-6月中の量的引き締め(QT)開始も織り込み始めている。そのため、議事録公表がネガティブサプライズに働く可能性は低いと考えられるが、QTに関する言及の仕方次第では、PPIの上振れと合わせて改めて金融引き締め懸念が強まる可能性も捨てきれない。
仮にこれを無難に通過したとしても、3月FOMCまでの間には2月雇用統計など重要指標の発表も控えている。決算シーズンが一巡し、手掛かり材料難ということもあり、相場が上昇基調へ転換するというシナリオは描きにくいだろう。
一方、今晩の米国市場では、FOMC議事録の公表以外に、米1月小売売上高や半導体企業のエヌビディアやアプライド・マテリアルズの決算が予定されている。小売売上高は前月比でマイナスだった12月から一転してプラスが予想されている。FOMC議事録がタカ派色を一段と強める内容でないことに加えて、小売売上高や半導体企業の決算が予想を上回るものとなれば、短期的にはあく抜け感から一段の買い戻しなども想定されよう。
指数が一日に1~3%上下に動く日が珍しくなくなっており、ボラティリティー(変動率)の高い相場が続いている。今は短期的にはどちらに振れてもおかしくない地合いのため、引き続き慎重なリスクコントロールが求められよう。
さて、後場の日経平均は引き続き25日線を手前にしたもみ合いが続くと予想する。
上述したように、今晩の米国市場では重要な見極め材料が多く予定されている。これらを確認する前に一段の上値追いは想定しにくく、25日線や心理的な節目の27500円を手前に伸び悩む構図に変化はないと考えられよう。
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