2024年8月29日、日本・東京 - 化学業界のグローバル・リーダーであるSABIC(日本法人:SHPPジャパン合同会社、東京都千代田区)は本日、電気自動車(EV)バッテリーの延焼防止において熱可塑性樹脂をベースにした熱暴走バリアソリューションが高い効果を示すという試験結果を発表した。SABICが実施したサブシステムレベルの試験では、同社のSTAMAX(tm) 30YH570ガラス長繊維強化ポリプロピレン(PP)樹脂を用いて製造された最小セル間隔1 mmのバッテリーモジュールボックスが用いられ、18650円筒型電池の熱暴走伝播を抑止する効果的な熱バリアソリューションとして機能する可能性が示された。このモジュールボックスは、熱暴走の過程において隣接する電池に熱が伝わるセル間伝播を低減し、致命的な事故のリスクを軽減する上で必要な断熱性と難燃性を提供する。さらに、STAMAX 30YH570は圧縮性発泡体と組み合わせることで、角型およびラミネート型電池の熱暴走伝播の抑止にも効果が期待できるとの結果も示された。

この新たな試験は、SABICのSTAMAX 30YH570樹脂に関するこれまでの評価に基づいて実施された。STAMAX 30YH570樹脂は、2023年にその耐火性能によって米国の認証機関アンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriters Laboratories)からUL認証マークを取得している。この評価は、UL 2596の「電池エンクロージャー材料の熱性能および機械性能の試験方法」に準拠した熱暴走ボックス試験を用いて実施された。

SABICで自動車担当のグローバル・ディレクターを務めるFahad Al-Harthiは「私たちの熱可塑性樹脂ソリューションが、EVバッテリーの部品やシステムに適合する可能性が高いことを示す新たな試験結果を発表できたことを嬉しく思います。私たちの難燃性素材のポートフォリオ、そしてアプリケーション設計や難燃性ポリマーの相互作用に関する専門知識を組み合わせることで、熱暴走バリアに対する新たなアプローチが実現します。EVバッテリー・システムの安全性、効率性、性能向上に貢献するため、引き続き自動車バリューチェーン全体で協力してまいります」と話している。

◆熱暴走バリア試験
この熱暴走伝播試験は、スチール製チャンバーに収められた市販の18650リチウムイオン電池15個と21700リチウムイオン電池11個のクラスター(集合体)を使用して実施された。このクラスターは、熱バリアとして機能する射出成形STAMAX 30YH570樹脂ブロックが設置されているものと設置されていないものを用意し、絶縁テープを介してクラスター内の一部の電池を加熱し熱暴走を開始させた。

熱バリアが設置されていないクラスターの試験では、加熱された電池に蓄積された電気エネルギーと化学エネルギーが、高温ガス、裸火、高速粒子、試験チャンバー内および周囲の急激な圧力上昇という形で放出された。熱伝達が制御されないため、熱暴走は即座にすべての隣接セルに伝播し、EVバッテリーパックに火災の危険や重大な損傷をもたらした。
一方で、STAMAX 30YH570樹脂製の熱バリアを設置した試験では、熱伝達と熱伝播が効果的に抑制され、他のセルはすべて無事で損傷はなかった。

この難燃性素材は、過酷な熱事象において固体から液体および気体へと相変化することで、潜熱および膨張能力によって熱を除去し、熱伝達と延焼を軽減する効果的な熱シールドとして機能する。



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SABICでは解決すべき課題の特定やソリューションの開発を通して、自動車、衛生・ヘルスケア、電気電子、包装、農業、消費財、建築・建設、といった主要アプリケーションに携わる顧客をサポートしている。
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SHPPジャパン合同会社について
SABICは、2020年4月1日付で日本法人の称号をSABICジャパン合同会社からSHPPジャパン合同会社に変更しました。



配信元企業:SHPPジャパン合同会社
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情報提供元: Dream News
記事名:「 SABIC、熱可塑性プラスチックを用いたEVバッテリー熱暴走の抑止効果に関する試験結果を発表