株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の放射線治療市場を調査し、放射線治療市場推移、放射線治療施設の動向、放射線治療機器メーカー動向、将来展望を明らかにいたしました。ここでは、放射線治療施設における治療機器の更新調査の結果を公表いたします。

1.市場概況

政府によるがん対策基本法、放射線治療機器緊急整備事業、がん対策推進基本計画などの施策により、放射線治療機器の普及と治療実績は、がん診療連携拠点病院や大学病院を中心に格段に成長してきている。
厚生労働省によると第三期がん対策推進基本計画の中間評価報告では、放射線治療に対して「がん診療連携拠点病院等のうち、外来放射線照射、直線加速器による定位放射線治療、IMRT(強度変調放射線治療)を行っている割合、放射線治療専門医が常勤で配置されている拠点病院等の割合は増加傾向であり、評価できる」とされ、第四期計画の策定に向かっている。
日本では2人に1人ががんに罹り、3人に1人ががんで死亡すると言われており、がんの放射線治療に関する認知は上昇しており、IMRT、IGRT(画像誘導放射線治療)、VMAT(回転型強度変調放射線治療)などの高度放射線治療や、粒子線・重粒子線治療などが幅広く選択されている。

2.注目トピック~放射線治療装置の更新(リプレース)状況について

本調査に関連して、全国の放射線治療を実施している179施設に対して、放射線治療の状況(患者数や治療件数、治療内容等)や治療装置の使用状況(更新、新設・増設、評価等)などの郵送アンケート調査を実施した。
前回(2020年1月~2月)調査で2016年から継続使用されていた放射線治療装置143台の更新(リプレース)状況を尋ねたところ、「更新した」との回答が17.5%(25台)、「増設で対応」は13.3%(19台)と、合算すると3割を占めた。一方で約7割の装置がそのまま「継続使用」(67.1%、96台)されており、コロナ禍での経営悪化の影響が大きいと想定されるものの、今後ますます更新が必要となることが明らかになった。

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3.将来展望

国立がん研究センター資料によると、2020年のがん罹患数は101万2,100例(前年比0.5%減)、2021年が100万9,800例(同0.2%減)と微減傾向の見込みである。2019年までは増加傾向にあったが、新型コロナウイルス感染拡大によるがん検診などの受診者数減少や病院通院控えなどを背景に、2020年、2021年と連続で減少が見込まれる。
しかし、健康診断やがん検診の受診者数の回復、病院受診への回帰により、がん罹患数は再び増加に転じると想定される。
今後は政府の施策とからめて、(1)分子標的薬剤の影響と相互作用、(2)がんゲノム医療の影響と相互作用、(3)粒子線治療体制の充実、(4)緩和的放射線療法の普及、(5)放射線治療の均てん化、(6)都道府県を超えた連携体制の充実等、放射線治療の確立と普及が進む。さらに、放射線治療と温熱療法(ハイパーサーミア)や放射線増感剤などとの併用治療についても期待されている。

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調査要綱
1.調査期間: 2022年1月~3月
2.調査対象: 放射線治療機器メーカー、サービス展開企業及び放射線治療を行っている全国の病院、一般診療所
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング調査、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2022年03月28日

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情報提供元: Dream News
記事名:「 【矢野経済研究所プレスリリース】放射線治療市場に関する調査を実施(2022年)~放射線治療施設へのアンケート調査結果では、2020年調査で継続使用されていた治療装置の約7割がそのまま継続使用と回答~