正極材市場では、2020年に「LFP(リン酸鉄リチウム)回帰」の明確な動きが見られた。中国でBYD、CATLが共に「Cell To Pack」技術とLFPの組合せを発表した。BYDは主に中国国内向けの供給に関してLFPシフトの姿勢を見せ、CATLは「Cell To Pack」技術で上海TeslaのModel 3向けに供給を行っている。車載用LiBにおいて高容量化を志向する流れ自体は大きく変わっていないが、LFPセルを活用した上記のパック技術については、中容量EVの比較的低いレンジ(50~60kWh)向けに、中国以外の自動車メーカーからもコスト面等で有望視する状況にある。これまでのハイニッケル志向だけではない、低価格に訴求する材料のベクトルについても、今後は見ていく必要があると考えられる。