日本臨床カンナビノイド学会(理事長:新垣実、新美会新垣形成外科)は、大麻及び大麻関連物質に関するWHO依存性薬物専門家委員会(ECDD)の和訳資料(2月4日版)を3月1日に公開しました。

19年1月24日、国連事務総長宛ての手紙で、WHO事務局長のAntonio Guterresは、国際薬物条約内で提案されているスケジュール変更について国連に通知した。次のステップは、19年3月あるいは20年3月の国連麻薬委員会(CND)でその勧告を受けての53か国による投票採決となります。

大麻草を規制している国際条約は、1961 年の麻薬に関する単一条約(麻薬単一条約)、1971 年の向精神薬に関する条約(向精神薬条約)、1988 年の麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約(麻薬新条約)の3つがあります。

スケジュール・リストとは、国際的に薬物統制するシステムのことであり、WHO(世界保健機関)の ECDD(依存性薬物専門家委員会)が薬物の有害性や医療価値についての評価を行っています。

勧告内容は、文章で見ると次のようになりますが、解説図を作成しました。
該当ホームページのPDFファイルにてご覧いただければ幸いです。

勧告の内容

大麻および大麻樹脂

● 勧告5.1:委員会は、1961年麻薬単一条約のスケジュールIVから大麻および大麻樹脂を削除するよう勧告した。

ドロナビノール(Δ9-THC)

● 勧告5.2.1:委員会は、ドロナビノール(デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール)およびその立体異性体を1961年麻薬単一条約のスケジュールIに追加することを勧告した。

● 勧告5.2.2:委員会は、1961年麻薬単一条約のスケジュールIにドロナビノール(デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール)とその立体異性体を追加する勧告を委員会が採択することを条件に、1971年向精神薬条約のスケジュールIIからドロナビノール(デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール)とその立体異性体を削除するよう勧告した。

テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC異性体)

● 勧告5.3.1:委員会は、1961年麻薬単一条約のスケジュールIにドロナビノール(デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール)を追加する勧告を委員会が採択したことを条件に、1961年麻薬単一条約のスケジュールIにテトラヒドロカンナビノール(1971年向精神薬条約のスケジュールIに現在列記されている6つの異性体を指す)を追加することを勧告した。

● 勧告5.3.2:委員会は、1961年麻薬単一条約のスケジュールIにテトラヒドロカンナビノールを追加する勧告を委員会が採択したことを条件に、テトラヒドロカンナビノール(1971年向精神薬条約のスケジュールIに現在列記されている六つの異性体を指す)を1971年向精神薬条約から削除するよう勧告した.

大麻エキスおよび大麻チンキ

● 勧告5.4:委員会は、1961年麻薬単一条約のスケジュールIから大麻エキスおよび大麻チンキを削除するよう勧告した。

カンナビジオール製剤

● 勧告5.5:委員会は、1961年麻薬単一条約のスケジュールIに、「カンナビジオールが大部分を占め、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノールを0.2%以下含む製剤は国際的な統制下としない。」という脚注を追加することを勧告した。

大麻およびドロナビノール(デルタ-9テトラヒドロカンナビノール)の製剤

●勧告5.6:委員会は、化学合成または大麻由来の製剤として製造されたデルタ-9テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール)を含有する製剤であって、一つまたは二つ以上の成分を含む医薬製剤として配合しており、かつ、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール)が、容易に用いうる手段により又は公衆衛生に危険をもたらすような収量で医薬製剤を回収することができないものについて、1961年麻薬単一条約のスケジュールIIIに追加するよう勧告した。

公表した解説図およびPDFファイルは、こちらを参照してください。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=88243

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000190326&id=bodyimage1

WHO/ECDD
WHO(世界保健機関)の ECDD(依存性薬物専門家委員会)は、薬物の有害性や医療価値についての評価を行っている。
スケジュール・リストとは、国際的に薬物統制するシステムのこと。科学的評価のプロセスは、WHO 事務局が 2010 年に定めた精神作用物質の審査方法の手順に基づいている。

医療用大麻:
カンナビス(大麻草)に含まれるカンナビノイドなどの有効成分を利用した生薬(ハーブ)療法の一種。2018年4月現在、28か国で合法化している。カンナビスに含まれる成分を利用した製薬会社がつくるカンナビノイド医薬品とは区別されている。

日本の大麻取締法(1948年制定):
大麻取締法による規制によって、製薬会社がつくるカンナビノイド医薬品及びハーブ(薬草)利用としての医療用大麻のどちらも違法であり、臨床試験の研究目的ですら認められていない。日本政府の公式見解は、平成28年の第190回国会(常会)質問主意書及び答弁書に詳しい(下記参照)。
https://www.nippon-yakushokuken.com/diet_190/

日本臨床カンナビノイド学会:
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノイドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会;International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2018年7月段階で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員11名、 賛助個人会員22名、合計100名を有する。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/


情報提供元: Dream News
記事名:「 WHOが大麻およびカンナビノイドの医療的価値を認める勧告へ(専門学会が和訳解説図を公開)