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そこで、今回は書籍『最高のデスクワーク』(猪俣武範著)から、デスクワークをする方に向けてドライアイを防ぐ方法をお伝えします。
ドライアイは、目を保護する役割を持つ涙の量が減り、目の表面が乾燥して傷つきやすくなった状態です。目の疲れ、痛み、かゆみ、かすみ、肩こりなど、様々な不快症状を伴います。
自分がドライアイであるかを、簡単にチェックする方法があります。今すぐできるので試してほしいのですが、まばたきをできるだけ我慢してみてください。目標は12・4秒以上です。12・4秒以内にまばたきをしてしまった人は、ドライアイの可能性があります。
オフィス環境は、ドライアイを誘発する危険でいっぱいです。エアコンで空気は乾燥し(特に寒い時期)、PCモニターをながめ続けていると、まばたき回数が減って涙の供給が不安定になり、目が乾燥します。目の表面を覆っている涙は、光の屈折率にも影響を与えているので、ドライアイになると実用視力が落ちてきます。1日モニターを注視し続けると、夕方ごろに視力が落ちた感じがするのはそのためです。
また、コンタクトレンズを使用していると、裸眼に比べてどうしても涙が減りやすくなります。コンタクトレンズの使い方を守り、乾燥しがちであれば防腐剤が入っていない涙液タイプの目薬を使用してもいいでしょう。
人間は外部からの情報を五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)によりキャッチしていますが、現代人はその約90パーセントを視覚から得ているといわれています。私たちは仕事が終わっても、帰りの電車、自宅のソファーやベッドでスマホやテレビをながめています。目は強い光をあびると、虹彩(光の量を調整する部分)が動いて瞳孔(黒目)の大きさを調整します。
このとき交感神経が優位になり目は緊張した状態となりますが、画面を見続ければ緊張状態がずっと続きます。それが長時間に及ぶほど虹彩の動きは鈍くなり、緊張がとけにくくなります。つまり、自律神経のバランスが悪くなるのです。
自律神経のバランスが崩れると、その影響は全身に及びます。顔面や首の筋肉は緊張し、脳への血流も悪くなります。そうなれば、栄養状態が悪くなった脳の働きは悪くなり、思考力、集中力に影響します。
2013年に日本の研究者たちが発表したドライアイに関する報告によると、ドライアイで実用視力が落ちた人がロスする作業量は、年間トータル約3・5日分になると試算されています。ひとりで3・5日ですから、企業レベル、国家レベルで考えると非常に大きな損失です。ドライアイは立派なプレゼンティーイズム(疾病就業)なのです。したがって、予防のためのアイケアをしっかり行うことは、作業効率を高める大きなカギになります。
ドライアイの予防策ですが、一番大事なことは時間を決めてこまめに休むことです。1時間ごとに休憩を入れましょう。これは座りすぎ対策と連動させれば一石二鳥で予防できます。休憩時には外の景色をながめたり、できるだけ遠くをみる時間をつくると目の疲労回復に効果的です。
目の感想を防ぐためには、パソコンモニターを気持ち伏し目になるような位置と角度に調整しましょう。まぶたを閉じ気味にした方が乾燥しにくくなるからです。また、意識的にまばたき回数を増やすと良いでしょう。エアコンが近くにある場合は、風が直接当たらないように座る位置などを工夫してください。
空気の乾燥する季節は、目の周りの湿度を保つ機能のついた「ドライアイ眼鏡」を使ってみるのも良いでしょう。また、普通の眼鏡にも保湿効果はあり、マスクをするとさらに効果的です。鼻の横にできるマスクの隙間から温かい息がもれるので、その湿気が目の乾燥から守ってくれます。
上下のまぶたには、マイボーム腺と呼ばれる分泌腺があります。マイボーム腺から出る脂質は、涙が乾くのを防ぐ天然の保湿剤です。まぶたを温めると、マイボーム腺が詰まらないようになるので乾燥を防いでくれます。温めるときは、一定の温度である程度の時間をかける必要があります。蒸しタオルやおしぼりはすぐに冷めてしまうので、市販のホットアイマスク(使い捨てタイプがおすすめです)などを利用すると良いでしょう。
ドライアイや眼精疲労などによって仕事の効率は著しく低下します。パソコンを注視→まばたき回数が減る→涙も減って目が乾燥→眼球内の光の屈折に影響→実用視力の低下。このような悪循環におちいらないために、「意識的にまばたきする」「エアコンの風を目に当てない」「モニターを長時間見続けない」ことを心がけてこまめに休憩をとりましょう。