当日の講演の様子


中村康宏先生


日常活動エネルギー消費量


日常には脂肪燃焼チャンスがたくさん

この度、脂質(油脂)の健康価値や日常生活でのとり入れ方を発信しているヘルシーオイル・プラス・コンソーシアムは、最新の調査(※1)で分かったこの10年間における男性の肥満者数の増加や、男女の悪玉コレステロール値の増加といった、生活者の健康事情が心配される昨今、冬の健康課題に最適である「MCT」と「オメガ3」二つの油の魅力を紹介する機会として、11月27日(水)に「今年の冬こそ知りたい!ヘルシーオイルの可能性」メディア勉強会を開催いたしました。

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当日の講演の様子

当日は「虎ノ門中村クリニック院長 中村康宏 先生」と「工藤内科院長 工藤孝文 先生」二人の生活習慣病予防のプロにご登壇いただき、さらに食用油のリーディングカンパニーであり、ヘルシーオイルの研究も盛んに行っている「日清オイリオグループ株式会社 基礎研究所第1課 渡邉愼二 氏」をゲストにお招きしました。当日は「虎ノ門中村クリニック院長 中村康宏先生」と「工藤内科院長 工藤孝文先生」二人の生活習慣病予防のプロにご登壇いただき、さらに食用油のリーディングカンパニーであり、ヘルシーオイルの研究も盛んに行っている「日清オイリオグループ株式会社 基礎研究所第1課 渡邉愼二氏」をゲストにお招きしました。
中村先生には身体活動の強さを示す指標「METs(メッツ)」を用いて、外で運動がしづらい冬でも、日常生活には脂肪燃焼チャンスがたくさんあることをご紹介いただき、MCTがこの日常生活にある脂肪燃焼チャンスの効率をあげる頼もしい相棒である理由をご解説いただきました。ゲストでお招きした日清オイリオグループの渡邉愼二氏には、まだあまり知られていないMCT研究の歴史や、近年の生活者のエネルギー消費量をもとに、何故MCTに注目しているのか、その理由をご紹介いただきました。また、工藤先生には、冷え症や肌の乾燥から、心筋梗塞といった命に関わる健康課題にまで、なぜオメガ3が有効なのか徹底解説いただきました。

(※1) 国民健康・栄養調査(令和4年)


■身体活動の強さを示す指標「METs(メッツ)」から見たMCTの新たな価値とは
<登壇者>
虎ノ門中村クリニック院長 中村康宏先生
関西医科大学卒業。内科医・消化器内科医として勤務後、米国医師免許試験を突破し、最先端予防医学を学ぶため渡米。留学中には、パーソナルトレーナー、栄養士の資格を取得。帰国後、日本初のアメリカ抗加齢医学会認定施設「虎ノ門中村クリニック」を開業、院長を務める。

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中村康宏先生

◆ MCTとは何か?
MCTとは中鎖脂肪酸(Medium Chain Triglyceride)のことで、ココナッツなどヤシ科植物の種実、牛乳や母乳に含まれる成分です。このMCTの新しいトピックスとして、MCTを継続的にとると日常生活における脂肪の燃焼効率を高めてくれることが分かっています。

◆ 日常生活には脂肪燃焼チャンスがたくさん!
15分のランニングよりも30分の徒歩通勤の方が消費エネルギーが多いことをご存じでしょうか。実は、普段の何気ない生活の中にも脂肪燃焼チャンスはあふれているのです。この日常における脂肪燃焼チャンスは「身体活動の強度を示す指標」である「METs」を用いるとわかりやすく可視化することができます。例えば、日常における消費エネルギーをMETs式:「METs×時間(h)×体重(kg)=消費エネルギー(kcal)」で算出すると、40代女性のショップ店員の方を想定した場合、1日の日常活動で1,835.4kcalと実にごはん茶碗約8杯分のエネルギーを使っていることがわかります。
こで体にあるエネルギーを生み出すための二つの燃焼回路を紹介します。一つ目は糖質からエネルギーを生みだす「糖燃焼回路」。二つ目は脂質(脂肪)からエネルギーを生み出す「脂肪燃焼回路」です。そして糖燃焼回路の方が素早くエネルギーを生み出すことができるため、通常の活動では脂肪燃焼回路を使うことが少ないといわれています。ここで重宝するのがMCTです。

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日常活動エネルギー消費量
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日常には脂肪燃焼チャンスがたくさん

◆ MCTは日常生活における脂肪燃焼効果を高めてくれる
MCTをとるとケトン体が多く産生され、普段は使うことが少ない脂肪燃焼回路を動かすことができるようになり、日常生活にあふれる脂肪燃焼チャンスをさらに効率化させることができます。健常な人を対象にした検証によるとMCTの継続摂取により、12週間でLCTでは3.3kgに対して、4.4kgもの体脂肪が減少したという報告(※2)があり、BMI高めの健常な人を対象とした2週間の継続摂取で、日常活動レベルの運動強度(約2.2METs)でも脂肪燃焼効果が高まったという最新研究(※3)があります。
また、今年の冬は昨年よりも寒いと予想されます。気温が低いほど体温維持のために基礎代謝が上がりやすいため、寒い冬は脂肪燃焼ボーナスタイムなのです。年末年始の暴飲暴食で正月太りを感じることが多いこれからの季節に向けて、ぜひ今の内からMCTをとってみてはいかがでしょうか。

(※2) M.Kasai,et al. Asia Pac J Clin.Nutr.12(2),151-160(2003)
(※3) Tsujino S, et al., Nutrients, 2022;14: 536.

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MCTの脂肪燃焼効果
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MCTが脂肪燃焼回路を動かす

◆ MCTのとり入れ方
MCTオイルをとる場合は、まずは1日小さじ半分(2g)から空腹時は避けてとるようにしましょう。また、加熱には不向きなので、出来上がった料理にかけるのがおすすめです。最近ではMCT配合商品が各食品メーカーから発売されており、MCTのとり入れ方の選択肢は増えてきています。ぜひ自分に合ったとり入れ方を試してみてください。

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MCTのとり入れ方

■MCTの歴史と「BMIが高めの方の日常活動時の脂肪燃焼を高める」エビデンス紹介
<登壇者>
日清オイリオグループ株式会社 基礎研究所第1課 渡邉愼二氏
1989年東京理科大学大学修士号取得、2005年お茶の水女子大学博士号取得、客員研究員。1989年日清オイリオグループ株式会社入社。油糧種子のタンパク質、脂質の機能性研究、医療用食品の研究開発に従事し、現在は、MCTの様々な栄養生理機能の研究に従事。

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渡邉愼二氏

◆ MCTの歴史
実はMCTは1950年代から医療用途で注目され始め、「消化吸収が早く、エネルギー基質としてすぐに利用される特性」を活かすため、多くの医療領域において研究が進められてきました。
1990年代中盤までは、MCTは医薬品原料として登録されていました。現在も医療用途で使用されていますが、その後は食品原料として腎臓病患者用食品や、体脂肪軽減を目的とした特定保健用食品、近年では機能性表示食品として一般的な食品に利用されています。また、こうした肥満予防・生活習慣病対応だけでなく、超高齢化社会に対応した高齢者向け食品への応用開発も2000年以降進んでおります。

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MCTの食品への応用

◆ 日本人はもっと動くべき!?
現在の日本人の平均エネルギー摂取量は1,900kcalを下回り、ピークであった1970年代から300kcal以上減少しています。これにより、痩せるのが当然と思われますが、特に男性は各年代を問わず肥満傾向が見られ、エネルギー摂取が少ないのに肥満者が増加するというおかしな現象が起きています。
この理由として、最も注目されているのが身体活動の低下です。運動不足だけでなく、座位時間の増加、移動に車を使用する、家事の省力化などにより、日常の活動エネルギー消費量が減少していることが示されています(※4)。

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肥満者は増加傾向

◆ 肥満解消のカギはNEATにあり
日常生活で消費するエネルギーの内、「運動(エクササイズ)」以外のエネルギーの消費を「非運動性熱産生(NEAT)」といいます。これは海外での調査結果ですが、肥満者と標準体型の人では、このNEATの差が顕著で、1日あたり350kcalも異なることがわかっています(※5)。これは年間にして、体脂肪換算で18kgに相当します。肥満者と標準体型の人では、座位時間が2時間違うため、このような結果が生じているのです。まさに、先ほどの日本人のエネルギー摂取量の減少分に相当する量です。肥満者に「食事制限」や「運動指導」をしても、中々実践できるものではありません。NEATを増やして、肥満解消を図るほうが、受け入れやすく結果も出やすいと考えられます(※6)。

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NEATを増やす新戦略

(※4) Sakamoto M., Int. J. Vitam. Nutr. Res. 2006: 76(4): 253-256.
(※5) Levine JA, et al. Science. 2005;307:584-586.
(※6) Chung N, et al., J Exerc Nutr Biochem, 2018;22: 023-030.


◆ MCTが「BMIが高めの方の日常活動時の脂肪燃焼を高める」エビデンス紹介
当社の研究者たちはこの考え方をもとに、食生活にMCTをとり入れて日常活動を少し増やすことで、肥満解消や脂肪燃焼を促進できると考え、日常活動のエネルギー消費量(NEAT)でも効果があるのかを検証しました。被験者には2週間MCTを摂取してもらったあと、試験当日はプレハブ内に入ってもらい、そこで自転車を軽く漕いでNEATを再現し、軽い運動時の呼気分析により、糖質や脂質の代謝を解析しました。比較はキャノーラ油を用い、クロスオーバー試験(対象を2群に分け、各群に別々の油で評価した後に、各群の油を交換して再度評価する方法)を実施しました。被験者はBMIが高めの中年層で、結果、MCT摂取により脂質代謝が増加し、わずか2週間で脂質を優先的に利用する体質への変化が確認されました(※3)。

(※3) Tsujino S, et al., Nutrients, 2022;14: 536.

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NEAT+MCT
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実際の実験の様子

■今年の冬こそオメガ3!からだの「めぐり」を整えて冬の健康課題を解決
<登壇者>
工藤内科院長 工藤孝文先生
福岡大学医学部卒業後アイルランド、オーストラリアへ留学、2025年4月から、東京にて、工藤孝文糖尿病クリニックを開院。NHK「チコちゃんに叱られる!」日本テレビ「世界一受けたい授業」など、テレビ出演多数。著書・監修書は100冊以上におよび、朝日新聞出版社「人体の超基本」はシリーズ累計100万部突破のベストセラーとなっている。

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工藤孝文先生

◆ オメガ3はからだの「めぐり」を整える
オメガ3とはオメガ3系脂肪酸のことで、体内では合成されないことから「必須脂肪酸」といわれ、食品からの摂取が不可欠な栄養素です。オメガ3には、植物由来の「α-リノレン酸」と青魚に多く含まれる「EPA」、「DHA」の主に3種類あります。オメガ3が、からだに必要となる大きな理由が、からだの「めぐり」を整えてくれることです。
からだの「めぐり」には、細胞を形づくる細胞膜の柔軟性が大きく関わってきます。細胞膜は脂質を材料に作られているのですが、オメガ3を材料に作られた細胞膜には柔軟性がうまれ、柔軟性があれば細胞内外における水分や栄養、老廃物の出し入れがスムーズにできます。
また、血液中を流れる赤血球も細胞で作られており、オメガ3によって赤血球にも柔軟性が生まれ、ごく細い毛細血管も形をかえて通ることができ、からだの隅々まで血液がいきわたるようになります。つまり、オメガ3によって細胞膜の柔軟性があがることで、からだの「めぐり」が整うのです。

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細胞膜に柔軟性を与える
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オメガ3は血流を良くする

◆ 今年の冬こそオメガ3
今年の夏は平均気温が過去最高となり、猛暑による脱水や屋内外の気温差の影響を受け、さらに秋も暑い日が続いたことによる昼夜の寒暖差もあり、今年は長期間にわたり血流が悪い状態が続いていることが考えられます。血流が悪いと、冷え性やむくみ、肌荒れなど、様々な不調がからだに起こります。
中でも普段からお肉や炭水化物中心の食事で、血管が詰まり血流がもともと悪いノロノロ血流の人は要注意です。冬は寒さで血管が収縮しやすく、心筋梗塞など命に関わる病気の発症リスクが高いのですが、今年は前述した通り、長期間血流が悪かったせいでダメージが蓄積しており、危険です。オメガ3は血管の炎症を抑え、ノロノロ血流の原因になる悪玉コレステロールを減少させる働きがあるため、今年の冬こそオメガ3をとって、からだの「めぐり」を整えることをおすすめします。

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悪玉コレステロールが減少

◆ 冬の健康課題にもやっぱりオメガ3
冷え性の主な原因となるのは「血流不全」です。オメガ3によって体の隅々まで血液が行きわたるようになれば、冷え性の改善につながります。また、乾燥の気になる冬に嬉しいこととして、オメガ3の継続摂取により肌の状態が改善したという報告(※7)もあります。他にも、この冬から備えておきたい花粉症に関して、オメガ3によって花粉症の症状が緩和される可能性があることも示唆されています(※8)。

(※7) K. Neukam, et al., Skin Pharmacol Physiol (2011) 24 (2): 67-74. https://doi.org/10.1159/000321442
(※8) Hirakata T, et al., FASEB journal: Off Publ Fed Am Societies Exp Biol (2019) 33(3):3392-403. https://doi.org/10.1096/fj.201801805R

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肌の乾燥にオメガ3
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アレルギー症状にオメガ3

◆ オメガ3のとり入れ方
EPAやDHAのサプリメントからとっていただくのでも問題ありませんが、これらはすぐに分解され、排出されてしまいます。しかし、アマニ油やえごま油に含まれるα-リノレン酸であれば肝臓に貯蔵することができ、必要に応じてEPA・DHAに分解することができます。また、厚労省が摂取目標とする1日2g(※9)のオメガ3をとるには1日にアジを3匹食べなくてはいけませんが、油からであれば1日小さじ1杯を好きな料理にかけるだけで良いのです。そのため、オメガ3の継続摂取にはα-リノレン酸(アマニ油・えごま油)からがおすすめです。オメガ3を油からとる場合は、熱に弱く酸化しやすいため、炒め物等には使わず、完成した料理にかけてください。また、たんぱく質と一緒にとると、胆汁が分泌されて効率よくオメガ3を吸収することができます。

(※9) 厚労省 日本人の食事摂取基準2020年版

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オメガ3のとり入れ方

■「ヘルシーオイル・プラス・コンソーシアム」について
脂質は体内でさまざまな働きを担う必須の栄養素です。からだを動かす効率的なエネルギー源であるだけでなく、健康でいるために、多彩な役割を果たしています。近年特に注目されているのが、脂肪の燃焼を高める「MCT」と、からだ本来の機能を整える「オメガ3(アマニ油・えごま油)」です。「ヘルシーオイル・プラス・コンソーシアム」は、「MCT分科会」と「オメガ3分科会」を持つ機関として、専門家の知見や最新研究などを交えながら、脂質栄養全般、MCT、オメガ3の健康価値を広く発信していきます。
情報提供元: @Press