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MEDEL GALLERY SHUでは、11月8日より20日まで稲葉朗の個展「ゾクヨソユキ」を開催いたします。
稲葉朗は東京造形大学大学院彫刻専攻を修了した44歳の彫刻家です。以前はスポーツを題材にした人の動きを表現してきた彼は、近年、人間関係の距離感に焦点を当てた人物像を発表しています。いずれの作品も、現代の風俗や活動をまとった表現が共通点となっています。
本展では、前回の展示に引き続き、人間関係における表に見せている部分と、隠された内面を表すHalf and Halfシリーズを探求します。稲葉は、人物の顔や髪、服装の細部を彫ることに喜びを見出しています。彼の作品に登場する人物は、日常的な装いや仕草をまとった普通の人々であるようにもみえます。その普通さが作品との距離を縮め、体裁的な表面と秘めた感情や思考が交錯する感情を鑑賞者にリアルに示します。
さらに、木彫は、絵画とは異なり即興的な表現が難しいため、制作過程の時間が作品に重なります。時間をかけて「普通」に向き合うというのはどこか皮肉めいた面白さもあります。また、近年、コンプライアンス意識が高まる中で本音を語ることは容易ではありませんが、そのもどかしさがこのシリーズには色濃く表れています。
本展を通じて、稲葉の作品に宿る理想と自我の間で揺れる、人間のありかたを感じるきっかけを多くの方に感じ取っていただければ幸いです。
ヨソユキとは、出かける際に着る服と捉える事が多いが、人は外見だけでなく内面においてもヨソユキになる事がある。この展覧会では誰もが意図せずにヨソユキになり、そしてそのヨソユキでは隠しきれない溢れ出る気持ちを人物像に投影した。また、前回の個展「ヨソユキ」の続きという意味と少し不気味な感じを込めてゾクを付け加えた。
稲葉朗
稲葉朗個展
「ゾクヨソユキ」
2024年11月8日〜20日
1:00pm-7:00pm(最終日5:00pm)
木曜日休廊
対話型鑑賞会(参加無料)
2024年11月9日(土) 11:00pm-12:00pm
お申込:info@medelgalleryshu.com
*最小開催人数:3名(前日の15時までに開催の可否を判断します)
対話型鑑賞会は、作品そのものが表現するものを感じ取り、鑑賞者が考えたことをファシリテーターと共にグループで語らいながら鑑賞/理解を深めていくので、背景や知識を知らずとも作品を楽しめるのが何よりの特徴です。対話の中でそれぞれの言葉が積み重なり、好き嫌いの一歩先にある、第一印象にとどまらない作品の魅力を捉え考えることを促します。
参考:
対話型鑑賞は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の教育部で鑑賞者向けに開発されたメソッドを元に作られた鑑賞法です。近年ではアートを使った「答えのない問い」を考え続けるクリエイティブな思考を鍛える手法として、教育機関や医療福祉、ビジネスの領域でも注目されています。
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元々アートと呼ばれている物との距離を感じていた。子供の頃、母親が図工の教師だった事もありアートはとても身近であった。母親の授業の実験台のように色々な課題をやらされていたし、美術館にもよく連れていかれた。その反動からか、アートは得意ではあったが自分にとっての勉強のような少し億劫な存在でもあった。むしろアートより漫画やアニメに強く惹かれていた。
ただし、アートの中でも好きな物もあった。それは漫画やアニメのような生き生きとした動きや表情をした人物が出てくる作品だ。その頃から人間という最も身近な存在こそが一番惹かれる存在であり表現としても力強さを感じていた。また、動きにより時間や空間や時代を感じた。そして、このような想いから人間の顔や身体の美しさと木材の持つ温かみや力強さを持った人物像を制作し始めた。
私の作品において感情や思いとは、基本的には「顔」と「仕草」にある。つまりリアルな作品を作りたいのでは無く、理想像であり心象像を目指している。そして、常に何がどうして美しく感じるのかと自問自答して日々を過ごしている。
MEDEL GALLERY SHU|愛でるギャラリー祝
https://medelgalleryshu.com/
東京都渋谷区神宮前4-28-18
カトル・バン原宿B1
info@medelgalleryshu.com
13:00〜19:00(最終日は17時まで)
木曜休廊
MEDELとは、日本語で「物の美しさをほめ味わうこと」を意味する「愛でる」からきています。唯一無二のアートを賞美し、慈しむという行為を介して、アーティストと鑑賞者、ギャラリーの間に喜びの行き交いが成立してほしいという想いを込め名づけました。“時代を共にする人々にとっての財産であり、未来の社会を照らす火である”とアーティストの活動・作品を定義し、人々の心に残る独創性に富んだスタイルの作品を鑑賞者と共に愛でつつ、次世代に残るようなマーケットや美術史的評価を確立してゆくことが当ギャラリーのミッションです。そのような私たちの活動を通して、独創的な表現を受け容れる多様な社会的風土の醸成に資することができれば、これに勝る喜びはありません。
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