●ALAと心臓の健康 これまでもEPAとDHAに焦点を当てた研究で見られたことですが、『Advances in Nutrition』誌に掲載されたある研究により、ALAが心臓の健康を改善するのに役立つことがわかりました※3。さらに、2021年の『British Medical Journal』のシステマティックレビューとメタ分析によると、心臓病の予防には1日あたり1~2.5グラムのALA摂取が最適であり、ALAが1グラム増えるごとに、すべての原因による死亡と心血管疾患による死亡が5%減少することが明らかになりました※4。オメガ3類の最も優れた植物性食品源の1つであるくるみは、1日ひとつかみ(約30g)で、2.7gのALAを摂取できます。
●ALAと脳の健康 『Progress in Lipid Research』誌に掲載されたあるレビュー研究では、ALAから形成されたオメガ3 DHAの組織レベルが評価されています※5。1つ目は、ALAによってEPAが合成される場合があり、特に脳のDHAレベルに貢献する可能性があるということです。これまでの研究から得られた証拠により、高濃度のALA(少なくとも1.2g)が摂取される場合、食事を通してALAが、体内のDHAに対する要件を満たすことができる可能性が示唆されています。人間が摂取したALAによるEPA及びDHAの合成を評価するには、血中濃度を測定するしかありません。さらにこの研究から導き出された結論は、ALAがその変換プロセスを通じて、脳などの重要な組織のDHAレベルを維持する役割を果たしている可能性があるということです。 しかし、体内におけるこのプロセスの影響を完全に理解するためには、さらなる研究が必要です。
●ALAと腸の健康 『The Journal of Nutrition』に掲載された臨床試験により、くるみの摂取を通して心臓と腸の健康が関連する可能性が示されています※6。同研究は過体重または肥満で心疾患リスクのある成人を対象に二つのグループで実施され、くるみまたはくるみと同種の脂肪酸を含む植物系ブレンド油を摂取したグループでは腸内細菌の状態が改善し、オメガ3脂肪酸であるALAの健康効果が示唆されました。また、くるみの摂取によって、血圧値やコレステロール値の改善に寄与する腸内細菌の一部に増殖がみられました。
●ALAとヘルシーエイジング Journal of Aging Researchで発表された研究によれば、50代後半から60代前半の女性がくるみを週に2回以上摂取した場合、摂取しなかった女性に比べて、ヘルシーエイジングの確率が高まることがわかりました。ここでの「ヘルシーエイジング」とは、慢性疾患や記憶障害、身体的障害がなく、65歳以降もこころの健康状態が損なわれていないことを研究では定義しています※7。
【カリフォルニア くるみ協会について】 1987年設立のカリフォルニア くるみ協会 California Walnut Commission(CWC)は、カリフォルニア州の4,000以上のくるみ生産者と、75社に及ぶ加工・販売業者を代表する機関です。カリフォルニア くるみ協会は、世界の輸出市場の開拓活動に関わり、くるみの健康に関する研究を実施しています。アメリカで生産されるくるみの99%以上は、カリフォルニア州の肥沃な土壌で栽培されており、世界で流通するくるみの50%以上を占めています。
参照 ※1 U.S. Department of Agriculture, Agricultural Research Service. FoodData Central, 2019. fdc.nal.usda.gov. ※2 日本人の食事摂取基準(2020年版) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf オメガ3脂肪酸は、α-リノレン酸(ALA)、EPA、DPA、DHAに大別されます。 ※3 Fleming JA, Kris-Etherton PM. The evidence for α-linolenic acid and cardiovascular disease benefits: comparisons with eicosapentaenoic acid and docosahexaenoic acid. Adv Nutr. 2014;5(6):863S-76S. doi.org/10.3945/an.114.005850. ※4 Naghshi S, Aune D, Beyene J, et al. Dietary intake and biomarkers of alpha linolenic acid and risk of all cause, cardiovascular, and cancer mortality: Systematic review and dose-response meta-analysis of cohort studies. BMJ. 2021;375:n2213. doi:10.1136/bmj.n2213. ※5 Sala-Vila A, Guasch-Ferre M, Hu FB, et al. Dietary α-linolenic acid, marine ω-3 fatty acids, and mortality in a population with high fish consumption: Findings from the PREvencion con DIeta MEDiterranea (PREDIMED) study. J Am Heart Assoc. 2016;5(1):e002543. doi.org/10.1161/JAHA. ※6 Tindall AM, McLimans CJ, Petersen KS, et al. Walnuts and Vegetable Oils Containing Oleic Acid Differentially Affect the Gut Microbiota and Associations with Cardiovascular Risk Factors: Follow-up of a Randomized, Controlled, Feeding Trial in Adults at Risk for Cardiovascular Disease [published online ahead of print December 18, 2019] J Nutr. ※7 Freitas-Simoes TM, Wagner M, Samieri C, et al. Consumption of Nuts at Midlife and Healthy Aging in Women. J Aging Res. 2020;Article ID 5651737. doi.org/10.1155/2020/5651737azaro I, Rueda F, Cediel G, et al. Circulating omega-3 fatty acids and incident adverse events in patients with acute myocardial infarction. J Am Coll Cardiol. 2020;76(18):2089-2097.