この「抗菌薬製造規格」の認証を得ることは、国際的な抗菌薬サプライチェーンを構成するメーカーが、責任を持って抗菌薬を製造していることを保証するために必要な措置を講じていることを明示するものです。そして、抗菌薬含有廃棄物の排出による環境へのリスクを最小限に抑えることに貢献します。 今回の発表は、2022年6月に発行された国際的に適用可能な業界標準規格に続くものです。この規格は、BSIがAMR Industry Allianceのために制定を推進しました。AMR Industry Allianceとは、AMRの拡大を抑制するための持続可能なソリューションを提供するという共通の目標を掲げた、ライフサイエンス業界の100社を越える企業と団体から成る組織です。 BSIが開発した新たな認証制度は、この規格に対応したもので、独立した第三者機関によって、製薬メーカーが製造過程で抗菌薬の医薬品有効成分(API)や抗菌薬含有廃棄物を適切に管理しているかを検証します。また、本制度は、規格の要件に対する初回評価と年次調査を行い、認証時点での一時的な評価ではなく、長期にわたって適切な管理が継続的に実施されることを求めます。 運用開始とともに、世界中のすべての抗菌薬メーカーがBSIの認証を取得できるようになります。Centrient、Pfizer、Roche、Sandoz、Teva、Viatris、Aenovaグループ傘下のHaupt Pharma Latinaといった、抗菌薬製造規格に準拠していることを示す客観的な証拠を求めている企業は、市場で最初に抗菌薬製造規格の認証を受けた企業となるべく、パイロットプログラムに参加しています。
BSIとAMR Industry Allianceとのパートナーシップに加えて、パイロットプログラムに参加した企業は、技術評価プロセスの開発の評価に協力し、自ら認証作業に加わることにも関心を示し、サプライチェーンパートナーにも参加を強く促しています。 本制度は、抗菌薬メーカーならびにサプライチェーンを構成する企業が、医薬品の持続可能な製造を優先させることを奨励するものであり、多くの製薬関連団体は、廃棄物管理プログラムをより広範な持続可能性プログラムの目標の一部に据えることができます。抗菌薬の廃棄管理は、医療システムの一般競争入札においても重要な要件となってきています。 1920年代に、アレクサンダー・フレミングによって発見された現代の抗菌薬は、細菌感染症の治療や、外科手術中の感染予防として、現在も極めて重要な役割を担っています。しかし、AMRはその有効性を脅かし、結果として世界の公衆衛生に深刻な脅威をもたらしています。国連は、「AMRは、高額な治療費と慢性感染症により、2050年までに、2,830万人を極度の貧困状態に至らしめる可能性がある(※1)」と警告しています。
AMR Industry Alliance会長のJames Anderson氏は、次のように述べています。 「抗菌薬の製造が、現時点で最も優れた科学的な規格を満たしていることを認証する制度は、薬剤耐性の拡大を阻止する上で重要なツールになります。本日、BSIとのパートナーシップにより認証制度を開始することは、抗菌薬のサプライチェーンに対して、より高いレベルの信頼と検証を実現するという製薬業界のコミットメントを改めて示すものです。これは、AMR Industry Allianceが過去5年間にわたって主導してきた活動に基づいており、AMRの発生リスクを低減するための世界的な取り組みの一環として、すべての抗菌薬メーカーに認証を取得することを奨励します。」
- 注記 - ※1:Antimicrobial Resistance Threatens Development, SDGs: Tripartite Report | News | SDG Knowledge Hub | IISD ※2:Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis - The Lancet
■AMR Allianceについて AMR Industry Allianceは、薬剤耐性を抑制するための持続可能な解決策を提供するために設立された最大の民間セクター連合の1つで、100を超えるバイオテクノロジー、診断薬、ジェネリック医薬品および研究開発型の製薬会社や協会が参画しています。そのメンバーは、ライフサイエンス業界全体の主要なサブセクターを代表し、AMRと闘うという共通の目標に向かって団結しています。また、このAllianceは、アクセス、適正使用、研究・科学、製造の4つの主要分野において行動を促進することに焦点を当てています。AMR Industry Allianceは、製造廃水中の抗菌薬の有効医薬品有効成分の排出を制御し、責任ある製造の実践を拡張するための製造業者向けガイダンスの開発とその実践を主導してきました。 この活動は特にG7保健大臣に認められ、当Allianceや他の利害関係者と協力し、この規格に合意し浸透させていくことが約束されています。