開発したリチウム硫黄電池の充放電曲線


試作したリチウム硫黄電池

GSアライアンス株式会社(Green Science Alliance Co., Ltd.:環境、エネルギー分野の最先端材料を研究開発する化学会社、本社:兵庫県川西市、代表取締役社長:森 良平博士(工学))は、当社の井谷 弘道研究員と森 良平博士(工学)が次世代型二次電池であるリチウム硫黄電池を開発しましたことをお知らせいたします。



画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/229248/LL_img_229248_1.jpg

開発したリチウム硫黄電池の充放電曲線





現代社会において、リチウムイオン電池は代表的な蓄電池であり、電気自動車、バイブリッドカー、スマートフォンやパソコンなどを含めた種々のデバイスのための蓄電池として用いられている電池です。ただ今後の電気自動車などのさらなる高効率化やスマートグリッド社会の実現などの要求に対応していくためには電池容量のさらなる向上が求められています。リチウムイオン電池を含む二次電池(蓄電池)には、電池性能として高容量、高電位、耐久性のある良好なサイクル特性、優れた充放電速度、化学的及び熱的安定性、高密度などが要求されます。また、商業化を考慮すると、低コスト、性能安定性も重要な検討事項です。これまでに電池性能の向上のために様々な電極や電解質材料の開発が行われてきました。

正極においてはLiCoO2、三元系、オリビン型構造のLiFePO4や高電圧型のLiNi0.5Mn1.5O2などの正極活物質が開発されてきており、最近はより高い理論容量を有する高ニッケル型、リチウム過剰型正極なども検討されています。負極としては炭素系、酸化物型、シリコン系の電極の開発が行われています。これらの開発努力により、リチウムイオン電池として平均電位3.0~4.2V、電池容量150~250mWh/gのものが製造販売されています。今後はさらなる電池容量を増やすためにより高電位、高容量となる材料が求められており、材料探索や実用電池への適用に向けた研究開発が世界中で活発に進められています。



次世代型二次電池の候補としては全固体電池、金属空気電池、多価イオン電池などを含めいくつかありますが、1つの候補としてリチウム硫黄電池が知られています。正極活物質としての硫黄は、現行のリチウムイオン二次電池に使用されている正極活物質と比較し、5倍以上の理論エネルギー密度を有するため、硫黄を正極に用いたリチウム硫黄電池の実現が期待されています。充放電は硫黄とリチウムの酸化還元反応で行われます。エネルギー密度が非常に高い点も特徴であり、硫黄正極の理論容量は1,672mAh/gであり、代表的なリチウムイオン電池用正極であるコバルト酸リチウムの容量を大きく上回ります。このような高いエネルギー密度を有することから、特に無人飛行機、ドローン、高性能EVなどへの実用化が目指されています。



GSアライアンス株式会社は各種の次世代型二次電池の研究開発を積極的に行っており、電極、電解質、固体電解質の合成、電極塗布用インクの作成、試験用セルの作成、電気化学的測定、分析など全て自社内で行っています。



この度、当社の井谷 弘道研究員と森 良平博士(工学)は、この硫黄を活物質として用い、炭素と複合化させた材料を正極として作成し、リチウム金属を負極、そして独自の電解液を用いて、リチウム硫黄電池の試作セルを作成しました。結果、0.1Cの印加電流条件下で初期的に1,000mAh/g以上、そして100サイクル後も400mAh/g以上という大きな電池容量を有するリチウム硫黄電池を作ることができました。今後もサイクル特性の向上、そしてさらなる電池容量の向上などの改良のために研究開発を続けます。またラミネートセル型のリチウム硫黄電池の試作検討も進めており、リチウム硫黄電池の製造、実用化を目指します。





■会社概要

商号 : GSアライアンス株式会社

代表者 : 代表取締役社長 森 良平博士(工学)

所在地 : 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11

事業内容: 環境、エネルギー分野の最先端材料、製品の研究開発

URL : https://www.gsalliance.co.jp/

情報提供元: @Press