最近本を読みましたか? また、それはどんな本でしょうか?



 



ウェブメディアSOCIOで「読書習慣がない人、本を読むメリットがわからない人」をテーマにした特集記事公開。



 






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読書離れが招くのは知識不足だけではない? : https://www.socio22.com/education/all/%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E9%9B%A2%E3%82%8C%E3%81%8C%E6%8B%9B%E3%81%8F%E3%81%AE%E3%81%AF%E7%9F%A5%E8%AD%98%E4%B8%8D%E8%B6%B3%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%84/



▼ 記事トピック



■ 読書離れは現代の課題となっています。文化庁の平成30年度の調査によると、47.3%が「1か月に1冊も本を読まない」と回答しました。

<参考:文化庁/平成30年度「国語に関する世論調査」の結果について>



https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/r1393038_02.pdf : https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/r1393038_02.pdf



■ 文化庁の調査では、「読書量を増やしたい」という人が60.4%を占めることもわかっています。知識を身につけたい、言葉による表現を学びたい、感性や想像力を育てたいなど、読書の目的はさまざまです。

■ インターネットに親しみのある現代は、それ以前より活字に触れる機会が多いと言われています。しかし忙しい現代は、欲しい情報だけを検索してネットで集める人が多いのです。長い記事は飛ばしながら、まとめや大切な部分だけ読んでいる人もいるのではないでしょうか。

■ また、日本人の読解力の低下が問題視されています。OECD生徒の学習到達度調査(PISA)(15歳児を対象に読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーの3分野を3年ごとに調査)では、読解力が65か国中2009年の8位から、2018年は15位と大きく後退しました。

■ ところで読解力とはどんな力で、低下することでなにが問題か、説明できますか?






読書で身につく読解力・情緒力・論理的思考力とは?



■ 読解力とは「情報を取捨選択できる力」であり、「大切なことを見抜く力」でもあります。

■ 本やインターネットで、1つや2つの知りたいことを調べたいとき、記事や本文が長くて「本当に重要な部分はどこだろう」と悩んだ経験はありませんか?たくさんの情報が流れて来る現代、情報の選択能力は大切です。

■ SNSなどのやりとりでのトラブルも、重要な部分を読み取れず起こることがあります。長い文章のなかで、どれが本当に必要な情報なのかを読み取る力こそが、読書で身につけるべき力ではないでしょうか。

■ 国語教育において読むことは、言語力を身につけるだけでなく、情緒力や論理的思考力を育てることも担っています。

■ 情緒力:人の痛みや文化の美しさを受け止める力論理的思考力:問いと答えをしっかり結びつける力

■ 結果に至るまでの課程を意識することで、ものごとの仕組みを理解でき、心の動きや自分にない考えに注目することで、人の気持ちに共感する能力も育つでしょう。もちろん知識を身につける面でも読書は役立ち、さらに文法や表記について学ぶことで、正しい日本語が身につきます。

■ 自分の言葉遣いや、普段書いている文章を見直すきっかけにもなり、より伝わりやすい言葉を考えられます。読書において、一見知識をつける上で不要と思われることが、実はそれ以上の力をつけるのです。






読書量は親の読書習慣が関係している?



■ メリットがわかっていても、時間が取れない・本が身近にない人も多いかもしれません。読書をしやすい、取り入れやすい環境について考えてみましょう。

■ 言葉遣いや生活習慣と同様に、子どもの読書量は親の読書習慣が関係していると言います。充実した本棚や本を薦めてくれる存在のある家に育った子どもが、多くの本に興味をもつようになることは納得できます。

■ しかし子どもの頃の読書習慣に関わらず、読書習慣は見直せると考える人も多いです。文化庁の「人が最も読書すべき時期はいつ頃だと考えるか」という調査に対し、最も多かったのは10代で40.7%でしたが、次に多かったのが「年齢に関係なくいつでも」という答えで21.8%でした。

https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/r1393038_02.pdf

<参考:文化庁/平成30年度「国語に関する世論調査」の結果について>

■ 子どもに薦めるため、一緒に読書をはじめてみる大人もいます。よい本があれば薦められる、あるいは誰かに本を薦めてもらえるような環境が、読書への親しみをつくります。本棚を共有するような関係は、親子でなくても築いていけるものです。

■ 本について話す場が欲しい場合は、「自分の好きな本を紹介する」「特定の本について話し合う」というコンセプトのイベント読書会があります。規模には大小があり、趣旨や参加へのハードルもさまざま。身近で開催されているものに参加するのもよいですし、仲間内で開催するのも楽しいものです。同じ本を読んだ人と話をすることで、共感を得られたり自分にない発見があったりします。

■ 読書によってできる人の輪も、読書のメリットの一つです。本から広がる会話を楽しんでみませんか。






習慣と実践力が身につく読書法とは?



■ 本から離れている人は時間をとるのも難しく、分厚い本を目の前にすると、気が引けてしまうかもしれません。まずはネットサーフィンをする時間の代わりに、簡単な本からはじめてみましょう。

■ 目的とメリットを意識しながら読むことも大切です。読んだ本の語句に線を引く、気になる言葉や著者の主張をメモすることで、情報の選択力がきちんとついているかを確かめられます。

■ その際、自分にとって重要な言葉が見つけやすい形にすることで、教えを実践しやすい本になっていきます。特定のジャンルを研究したい人は、文章の構造・起承転結などを自分なりにまとめて見ることも有効です。

■ 文学はストーリーや結末を追うだけではなく、追体験をするような感覚で心情を考えることで、人に共感する力や想像力が養われます。日常の中でも「あの主人公ならどうするだろう……」と想像すると、見ている風景も変わるでしょう。また知らない言葉や舞台背景を調べることで、物語の背景を考えながら楽しく知識が身につきます。

■ 読書する力をつけるには、やはり多くの本を読み、数をこなしていくことです。自分に合う「実践的だ」「また読みたい」と思えるきっかけを見つけ、無理せず読み続けられる環境をつくりましょう。






まとめ



◯ 読書で読解力・知識・情緒力・論理的思考力が身につく

◯ 読書によってできる人の輪が、親しみの湧く環境になる

◯ メリットを意識することで、実践につながる読書ができる

(執筆:林幸奈)



今回のコメンテーターからのご意見



・上鑪幸雄(たたら・さちお)



元サラリーマン。『かってに源氏物語 桐壺編:古語・現代語同時訳』の著者。



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かってに源氏物語 桐壺編:古語・現代語同時訳(22世紀アート) | 上鑪 幸雄 | 小説・文芸 | Kindleストア | Amazon : https://www.amazon.co.jp/dp/B087PSGX3C



まず「読書離れを招いたのは知識不足が原因だ」 とするならば、その対象人物にとって難しい本や文字を強要しすぎている、ということになります。

読解力低下は何が問題なのかを論じるならば、まさに現在起っているコロナウイルスの報道のように、不安心理だけが増長され、「感染したら必ず死に至る」と、いったような誤解が生じます。

たとえば、 専門家が「PCR検査、PCR検査」と馬鹿の一つ覚えのように呼び掛けることで「検査を受けたならば助かる。生き残れる。」と誤解する人もいるでしょう。すべてをそのまま受け止めず、 検査を受けるにあたってメリット・デメリット両面を想像することが必要です。

読解力の低下は、このように相手の言論や記事に、ましてや公共的な報道の最もらしい嘘の先入観で惑わされ、物事に対する疑いの目が失われることに問題があります。 読解力の低い人を責めるのはやめて、わからない人にも寛容に。



・山影冬彦(やまかげ・ふゆひこ)



元神奈川県立高校教員。武田問題対策連絡会会員。鎌倉漱石の会・松山坊ちゃん会・伊豆先生と漱石を読む会所属『『坊つちやん』教師論:失格教師としての坊つちやん』の著者。



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漱石だからと気負って熟読の構えをとらず、気楽に通読するだけでも、構想・博識・思考・信条・心理・美感等に教えられ学ぶことが多い。知らぬ間に読解力の涵養(かんよう)に資することは間違いない。ただ、漱石の場合、一筋(ひとすじ)縄(なわ)では行かないから、いつもすらすらと読み通せるとは限らない。時には腑(ふ)に落ちない言葉や描写に躓(つまず)いて、立往生(たちおうじょう)することが少なからずある。ここが踏ん張り処となる。

言葉に躓くとは、自己の現有読解力が及ばぬ事態を物語る。そんな事態に直面すると、諦めて読み飛ばすのはまだいい方で、読書自体からの撤退を決め込む口実とする人さえいるようだが、私なら読解力を鍛える好機として活かしたい。

殊に漱石の場合、躓くような処には思いがけぬ仕掛けが隠されていることがある。『坊つちやん』を例にとる。バッタ~咄喊(とつかん)事件で坊つちやんが多田(ただの)満仲(まんじゅう)を先祖と誇る述懐(じゅっかい)に私は躓いた。そこで調べて江戸文学の諸分野で多田満仲が只(ただ)の饅頭(まんじゅう)と洒落(しゃ)れて持て囃(はや)される多くの実例を探り当て、漱石特製の洒落仕掛けが隠されている事実を突き止めた。この発見で『坊つちやん』読解の道が開けた。

事の成否はともあれ、秘め事の探索は宝探しに似て、探索自体が楽しい。そのためには、熟読の構えへの切替えを要し、及ばぬ読解力の鍛練に励まなければならない。熟読・鍛練は楽ではないが、楽しみのためなら、苦も苦でなくなる。気楽に読書して大いに躓いてこそ、読解力は身につくと考えたい。






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