寒気の影響で25日から日本海側を中心に大雪の恐れがあり、積雪が多ければ除雪機による事故も増える。製品評価技術基盤機構(NITE)は「除雪機の安全装置を正しく使い、注意して作業してほしい」と呼び掛けている。 NITEによると、回転するらせん状の金属刃で雪を砕いて集める手押し式除雪機による事故は、2020年度までの10年間で40件起き、計25人が死亡した。いずれも安全装置の誤使用や不注意による事故とみられ、除雪機の下敷きになり亡くなるケースが目立つ。年度別では、各地で大雪が降った20年度が12件と最多だった。 40件を都道府県別で見ると、北海道が10件、新潟9件、長野7件、山形5件と続いた。高齢化率の高い豪雪地帯を中心に発生しており、60歳以上が31人と全体の8割を占めた。 04年度以降に出荷された除雪機には、ハンドルとクラッチレバーを一緒に握らなければ動かない安全装置が付いている。ところが、20年2月に北海道で60代女性が除雪機の刃に巻き込まれて死亡した事例では、クラッチレバーがロープで固定されていたため、安全装置が機能しなかった。 NITEは「クラッチを長時間握り続ける負担や(刃の)回転が止まることを煩わしく思ってしまうことが想定される」と分析する。 大人が操作する除雪機の刃に、9歳の男児が巻き込まれて死亡したケースもあった。年末の帰省シーズンも踏まえ、NITEの担当者は「使い慣れていない人は安全装置を確認してほしい。本体の陰や雪の壁に人が隠れて見えないことも考えられるので、作業の際は周囲に十分注意してもらいたい」と話している。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕除雪機の刃に巻き込まれる事故の実験映像(製品評価技術基盤機構提供) 〔写真説明〕除雪機安全協議会が作成した事故防止を呼び掛けるチラシ(同協議会提供)