本記事は、会社を辞めて数年の長期留学というよりも、長期休暇や休職期間を利用した留学を想定しているので、旅行の延長線のような気分で気軽に読んでいただきたいです。

30歳からの海外短期留学では、社会人としてある程度の経験を積んだ人だからこそできる、充実した留学生活が期待できます。例えば、Vol.1でお伝えの通り、留学にはさまざまな目的がありますが、30歳からの留学では、以下のようなメリットがあります。

1. 仕事や家庭の経験を活かして、より深い学びを得ることができる

2. 異文化理解力を高め、グローバル人材として活躍できる

3. 帰国後のキャリアアップやスキルアップのチャンスになる

今回は、海外留学へ興味を持った方々により具体的なイメージを持っていただくために、留学先として人気の国をピックアップし、国別・さらには地域別の特徴についてお伝えしたいです。

主要国の特色比較

まずは、英語圏である5カ国について、国別・地域別の特徴をお伝えします。

アメリカ

アメリカは 世界最大の経済大国 であり、世界のビジネスの中心地です。また、 移民の国 であり、多様な文化が広がっています。観光地としても日本人にとっては馴染み深いですが、以下では留学先としてのアメリカを地域ごとに説明します。

東海岸 ~ボストン、ニューヨークなど

世界でも名高い名門私立大学が多数あります。ハーバード大学、イェール大学、プリンストン大学などのアイビーリーグの大学はこの地域です。

大都市圏の文化やスケールの大きさが魅力です。 ニューヨークは世界の金融や芸術の中心地 であり、ブロードウェイやセントラルパークなどの観光名所があります。 ボストンはアメリカ独立革命の舞台となった歴史的な街 であり、ボストンマラソンやボストンレッドソックスなどのスポーツも盛んです。

西海岸 ~ロサンゼルス、サンフランシスコなど

最新の テクノロジーに敏感な大学 が多いです。スタンフォード大学やカリフォルニア工科大学などの名門大学は、シリコンバレーの発展に貢献してきました。

温暖な気候とリラックスできるゆるめの生活スタイル が特徴です。西海岸は温暖で乾燥した気候であり、ビーチやサーフィンなどのアウトドア活動が楽しめます。ロサンゼルスは ハリウッドやディズニーランド などのエンターテイメントの中心地であり、サンフランシスコはゴールデンゲートブリッジやチャイナタウンなどの観光名所もありますよ。

中西部 ~シカゴなど

中西部にはミシガン大学やウィスコンシン大学などの優秀な公立大学が多くあります。また、シカゴ大学やノートルダム大学などの名門私立大学もあります。他の都市に比べると、 生活費の安さが特徴 です。

アメリカの生活費の目安ですが、 東海岸・西海岸の都市部は非常に高い水準 にあり、 1ヶ月の生活費は学費を除いて約30〜40万円程度必要 です。 中西部の都市は東海岸や西海岸に比べて物価が安く 1ヶ月の生活費は約20〜28万円程度 で済むでしょう。

イギリス

イギリスは世界最古の議会制民主主義の国であり、 英語の発祥の地 でもあります。以下では留学先としてのイギリスを地域ごとに説明します。

オックスブリッジ ~オックスフォード、ケンブリッジ

世界最高峰の伝統と格式をもつ、 オックスフォード大学とケンブリッジ大学の総称 です。これらは世界ランキングで常に上位に入る名門校であり、多くのノーベル賞受賞者や政治家、作家などの著名人を輩出してきました。

学生はカレッジと呼ばれる小規模な学寮に所属し、教授との個別指導やチュートリアルと呼ばれる少人数のグループ学習を行います。

ロンドン

工学から音楽まで多様な大学が集中しています。ロンドンにはインペリアル・カレッジ・ロンドンやロンドン大学群など 学術分野で有名な大学 や、ロンドン芸術大学や王立音楽院などの 芸術系の名門大学 もあります。

ロンドンは 世界最先端の教育研究拠点 であると共に、 世界の金融や文化の中心地 であり、多くの国際機関や企業、図書館や博物館などがあります。学生はこれらの施設を利用して学習や研究を行うことができます。

その他 ~マンチェスター、エディンバラ、リーズなど

マンチェスター、エディンバラなどの都市は、 ロンドンに比べて物価が安く、交通の便や治安も良い です。

また、比較的学費が安いことが特徴です。ロンドン以外の地域の大学は、授業料がロンドンの大学よりも安い場合が多くあります。例えば、マンチェスター大学の学士課程の授業料は年間£18,000〜£25,000ですが、ロンドン大学の学士課程の授業料は年間£20,000〜£30,000です。

イギリスの生活費の目安ですが、 ロンドンは全英でも最も高い水準 にあり、 1ヶ月の生活費は約20〜32万円程度必要 です。 ロンドン以外の都市は比較的安く、1ヶ月の生活費は約14〜20万円程度 で済むでしょう。

カナダ

カナダは北米に位置する広大な国で、英語とフランス語の2つの公用語を持ちます。多様な文化や自然が魅力の国で、留学先としても人気が高いです。

トロント

トロントは、 多様な民族や文化が集まる開放的な大都市 です。工学系を中心とした実学重視の教育が行われており、トロント大学やヨーク大学などの名門大学があります。

バンクーバー

バンクーバーはカナダの西海岸に位置し、 美しい自然に恵まれた環境 です。アウトドアスポーツに最適で、スキーやサーフィン、ハイキングなどが楽しめます。

モントリオール

モントリオールはカナダのフランス語圏にある都市で、ヨーロッパ風の雰囲気が魅力です。語学留学に人気の街であり、モチベーション次第で 英語とフランス語の両方 を学ぶことができます。

カナダの生活費の目安ですが、 トロント・バンクーバーは高い水準 にあり、 1ヶ月の生活費は約20〜45万円程度必要 です。 モントリオールは比較的安く、1ヶ月の生活費は約15〜35万円程度 で済むでしょう。

オーストラリア

オーストラリアは 南半球にある島国 で、日本とは季節が逆になります。ビジネスや芸術などの分野で有名な大学が多く、 学問的にも充実した環境 が整っています。

シドニー

シドニーはオーストラリア有数の世界都市です。ビジネスや文化の中心地であり、シドニー大学をはじめとする、 ビジネス系に強い大学 がそろっています。

メルボルン

メルボルンはオーストラリアの南東部にある都市で、 美術や音楽系の学校 が充実しています。

その他 ~ゴールドコーストなど

オーストラリアにはシドニーやメルボルン以外にも、 自然豊かな環境が特徴の留学先 があります。ゴールドコーストやケアンズなどは、ビーチやリーフが美しく、 リラックスを兼ねた気軽な留学先 として人気上昇中です。生活費の目安は、1カ月に約20〜40万円ほどです。

オーストラリアの生活費の目安ですが、 シドニー・メルボルンの都市部では、1ヶ月約25〜45万円程度必要 です。 ゴールドコーストなどの郊外は、少し安く約20〜40万円ほど となります。

ニュージーランド

ニュージーランドはオーストラリアの東にある島国で、北島と南島の二つの島で構成されています。 ダイナミックな自然が魅力ですが、教育水準も高く 、オークランド大学やカンタベリー大学などの名門大学があります。

オークランド

オークランドは ニュージーランド最大の都市 で、北島の北部に位置しています。 多様な民族が集まるニュージーランドの中でも、人口が多く、 国際空港とハブ港による交通が活発なグローバル都市 です。

クライストチャーチ

クライストチャーチは南島の最大都市であり、 観光のゲートウェイである都市 です。 Garden Cityの愛称で親しまれ、街の中心にあるハグレー公園、四季の花が楽しめる庭園・モナベイルなどが有名です。

クイーンズタウン

クイーンズタウンは南島の内陸部に位置する街で、ゴツゴツとした山々と美しい湖・ワカティプ湖に囲まれた リゾート地・避暑地 でもあります。 バンジージャンプやパラグライディング、フィッシング、ジェットボートなどの アクティビティを楽しみながら、英語を学ぶことができます

ニュージーランドの生活費の目安は、 1ヶ月の約30〜50万円ほど です。

アジアの隠れた人気留学先

アジアは、 留学費用が比較的安く 日本からのアクセスも良い ことから、留学先として最近人気が高い地域です。今回は、特に人気のアジアの主要留学先4カ国について、特徴を説明します。

シンガポール ~アジアのハブ都市

シンガポールは、マレー半島南端に位置している国で、 英語と中国語・マレー語・タミール語の4種類が公用語 です。ビジネス系を中心に高い教育水準を誇る大学がそろっており、シンガポール国立大学や南洋理工大学などは世界ランキングでも上位に入っています。さらに、 アジアのハブ として、多くの外国企業が進出しているため、国際色豊かな環境が魅力であり、 グローバルな視野を身につけたい方におすすめの留学先 です。

香港 ~古き良き英国文化の残る街

香港は、 中国とイギリスの文化が融合した活気ある都市 です。1997年までイギリス領であったという理由から、ヨーロッパとアジアの文化が混ざりあった独特の雰囲気があります。公用語は中国語(広東語)と英語です。香港大学は、香港で最難関の大学であり、世界ランキングでもトップ50に入っています。中国本土への玄関口という地の利もあり、 中国語と英語の両方を学びたい方 におすすめの留学先です。

台湾 ~低コストで快適な留学ライフ

台湾は、 日本文化に親和性が高く生活しやすい国 です。日本との歴史的な関係から、日本語が通じる人も多く、日本食や日本の商品も手に入りやすいでしょう。台湾の留学の強みは、 学費が安く奨学金も利用しやすい ことです。さらに、台湾の大学は、 科学技術分野において実力が高く 、台湾大学や清華大学などは世界ランキングでも高い評価を受けています。台湾は、低コストで、不安の少ない留学ライフを送りたい方におすすめの留学先です。

フィリピン ~リゾートでリフレッシュ

フィリピンは、7,000を超える島々から成り立つ島国です。美しいビーチやサーフィンなどのマリンスポーツが楽しめる リゾート地 として人気があります。フィリピンでは 英語教育が盛ん であり、語学学校では マンツーマン授業が主流 となっています。比較的安価な留学費用で英語力を向上できるため、 集中的に英語力を上げたい方におすすめ の留学先です。

リゾート地で英語学習

最後に、英語学習先・観光地として人気のその他2カ国についても説明します。

マルタ

ヨーロッパのリゾート地として人気のある、 地中海に浮かぶ小さな島国 です。公用語は英語とマルタ語で、イタリア語もよく聞こえてきます。

語学学校はマルタ島とゴゾ島にあり、コースやロケーションによって学費が異なり、1ヶ月の語学留学の費用は、学費と滞在費を合わせて約20〜40万円ほどです。マルタは ヨーロッパ圏内では物価や学費が安い ことが魅力です。

ハワイ

日本人であれば誰もがご存知の、独自の文化や歴史を持つ美しい島国 です。語学学校はホノルルを中心に多数ありますが、授業数やスタイルによって学費が異なります。1ヶ月の語学留学の費用は、学費と滞在費を合わせて約30〜50万円ほどです。

留学形態と専攻別 おすすめ地域

語学留学の場合、学校の選択肢が豊富にあるため、各国の文化への 興味関心や予算 に合わせて地域を選んでいただければ、あなたの希望の学校がきっと見つかると思います!

しかし、大学や専門学校を選択したい場合、 地域ごとに得意な分野が変わってくる ため、慎重に地域を選択する必要があります。そんな方のために、以下では、専攻別に各地域の特徴をお伝えします。

MBA・その他ビジネス

実践ビジネス教育を重視 する場合は、アメリカがおすすめです。カリキュラムが実践的なアクティビティを中心に組まれており、 ケーススタディやグループワーク を通して、ビジネスの現場で必要な対応力・スキルを身につけることができます。

アカデミックな研究を重視 する場合は、イギリスがおすすめです。理論的な知識や分析力を重視し、ビジネスの基礎から応用までを幅広く学ぶことができます。

費用を抑えたい場合 は、オーストラリアがおすすめです。アメリカやイギリスに比べて学費が安く、ビザの取得も比較的容易です。

工学系

技術革新が速い分野(IT、AIなど)の特化コースは、シンガポールや韓国、中国などのアジアの国がおすすめ です。これらの国では、先進国に負けないようにIT産業やAI研究に力を入れており、最新の技術や知識を学ぶことができます。

企業との産学連携が活発な大学を選ぶと、将来の就職・転職に有利です。 企業との産学連携が活発な大学は、ドイツやカナダ、オランダなど国に多く見られます

音楽・アート系

歴史と実績のある名門校ほど、著名人とのコネクションを得やすいので、 コース修了後のキャリア形成に有利 でしょう。アメリカやイギリス・イタリア・フランスなど西ヨーロッパ各国にはそういった名門校が多く存在します。また、ニュージーランドはアート留学の穴場で、マオリ文学や自然をテーマにしたアートが多く見られます。

その他条件をチェックしよう!

その他、留学先を決める際に重要となってくるプチ情報を掲載します。30代には十分な蓄えがある方も多いと思いますが、留学するとなったら仕事を退職・休職することになると思いますので、支出ばかりがかさんできます…。そこで、 奨学金制度や、アルバイト などが収入面で少しでも助けになります。

しかしながら、 国別に制度が異なる ため、以下で注意喚起のために主要国制度をお伝えします。

※最新の情報は各公的機関の公式ウェブサイトを必ずご確認ください。

各国の奨学金事情

奨学金の得やすさは、留学先の学校、留学目的・目標や期間、各自の成績や経済状況などによって変わってくるため、一概に 「どの国で奨学金を得やすいか」 ということは言えません。しかし、一般的には、アジアの国々は日本との関係が深いため、 奨学金の制度も充実している と言えるでしょう。

一方で、欧米の国々は留学費用が高いことが多いですが、奨学金や助成金の制度も複数あります。また、日本からの留学生に対して、日本の公的機関や民間団体などが提供する奨学金もあります。

アルバイトについて

概ね、学生ビサで入国することになると思いますが、国によっては 学生ビザの就労条件 は厳しいです。条件を知らないまま、入国後に失敗しないように、以下に国ごとの特徴をまとめます。

アメリカ

学生ビザ(F1またはM1)で留学する場合、 原則としてアルバイトはできません

ただし、 キャンパス内で週20時間以内 であれば、留学生でもアルバイトをすることが認められています。

経済的に非常に困窮している場合や、学業の一環としてどうしても就労することが不可欠な場合は、特例として学外でのアルバイトが認められる可能性もありますが、事前に移民局への申請が必要です。

カナダ

学生ビザ(Study Permit)で留学する場合、 キャンパス内またはキャンパス外で週20時間以内 の就労が許可されています。

ただし、キャンパス外で働くためには、 政府指定校のフルタイムの学生であることや、高等教育レベルのコースで学んでいることなどの条件 を満たす必要があります。

カナダでは通常の学生ビザの他にも、 留学と就労体験がセットになったコーププログラム(Co-op Program) も利用することができます。コーププログラムでは、滞在期間中の最大50%までを就労またはインターンシップに充てることができます。

イギリス

学生ビザ(Student Visa)で留学する場合、 週20時間以内 (休暇中はフルタイムでの就労が可能)の就労が許可されています。

ただし、 短期留学ビザ(Short-term Study Visa)で留学する場合は、就労はできません

就業できる業種にも制限があります。例えば、プロのスポーツ選手やエンターテイナーとして働くことや、自営業やインターンシップをすることはできません。

オーストラリア

学生ビザ(Student Visa)で留学する場合、 2週間で合計48時間以内 (休暇中はフルタイムでの就労が可能)の就労が許可されています。ただし、学期がスタートしてからのみ仕事ができる点に注意しましょう。

ニュージーランド

学生ビザ(Student Visa)で留学する場合、 週20時間以内 (休暇中はフルタイムでの就労が可能)の就労が許可されています。

ただし、語学学校に通う場合は、 カテゴリ1という特定の学校 に限られます。

以上が、主要国の学生ビザの就労条件についてのまとめです。

留学中にアルバイトをすることは、お金を稼ぐだけでなく、 お客様・同僚との会話で語学力を伸ばす機会や友達を増やすこと にも役立ちます。

自分に合った国を見つけよう!

30歳からの海外短期留学は、人生の新たな可能性を広げてくれるチャンスです。

まとめとして、自分の目的や予算設定に合うだけではなく、「ここに住みたい!」と思えるような国を選び、充実した留学生活を送りましょう!

Vol.1、2をまだ読んでいない方はこちらから↓

https://www.veltra.com/jp/yokka/article/studying-abroad-in-30s-value-1/?sid=1554

https://www.veltra.com/jp/yokka/article/studying-abroad-in-30s-value-2/?sid=1554

出典・参考


舘野和佳奈

余暇プランナー

海外旅行をこよなく愛するライター。学生時代、ヨーロッパへ演奏遠征に出たことをきっかけに、日本国外の世界観にのめり込みました。また、アラサー時代にロンドンで大学院留学を経験(人生初の留学!)したことで、新たな旅の醍醐味を発見。美しい景色や雰囲気を味わうことはもちろん素敵ですが、人や歴史に触れることで「自分にとって新しい価値観」を発見することが本当に楽しいです。現在は、自分の経験を伝えることで誰かの役に立てるのではないかと考え、様々なジャンルで記事を執筆しています。

【社会人の海外留学 Vol.3】国別・地域別の特徴|世界中の留学先を徹底解説

情報提供元: YOKKA
記事名:「 【社会人の海外留学 Vol.3】国別・地域別の特徴|世界中の留学先を徹底解説