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「植物に悪さをする毒きのこ」と思われがちですが、実は菌(糸状菌)が根に共生してきのこが生え、植物から有機物をもらいながら、栄養分を供給している状態です。
そもそもきのこの本体は土の中に伸びた糸状菌で、たくさん集まると肉眼で見えるサイズとなり「きのこ」として発生。 植物は光合成をして有機物(炭素化合物)をつくり、きのこ(糸状菌)に供給します。その代わりとして、きのこは植物のからだの構成に必要な窒素やリン酸を送ります 。
きのこには、生きた植物に共生する「菌根菌(きんこんきん)」と、倒木や落ち葉に生える「腐生菌(ふせいきん)」の2種類があります。主にこの2つが観葉植物の鉢に現れやすく、一種の小さな自然をつくり出しています。
植物の根に共生するきのこは、窒素やリン酸だけでなく水分や、鉱物を溶かしてミネラル分も植物に送ります。植物は病気に対する抵抗力を高め、枯れにくい株へと生長するようです。
また、腐食菌に分類されるきのこは、きのこだけにしかできない木の皮を分解し、植物が育ちやすい腐葉土へと変えます。
実際に自然界の森では、きのこが森林の大量枯死を防止し、森を守っています。無農薬、無肥料薬を目指す多くの農家さんが、望む環境でもあるようです。
植物は古代より糸状菌と共生できたことによって海から陸へ上がり、現在も80〜90%の植物の根に糸状菌が共生しているようです。土の中の環境が良くなることで糸状菌ときのこが発生し、植物の生長を助ける役割を果たしています。
きのこが生えたからといって、観葉植物が枯れてしまうなどの心配はないので安心してくださいね!
カビの一種でもあるきのこは、比較的湿った場所に生える傾向があります。乾燥した場所では、糸状菌は繁殖しにくいため、湿気がたまる場所や土が乾きにくい環境だと、きのこが生えやすいです。
そのため、土が過湿になっているからきのこが生えたと勘違いしやすいですが、実際乾きやすい土を使っていてもきのこは生えます。
筆者の経験上では、有機物を使った乾きやすい土(ヤシガラピート・ココチップ)に植えられた観葉植物に水やりをした翌日、たまたま天気が曇りで湿度が高かったためか、植物の根元付近から黄色いきのこ(コガネキヌカラカサタケ)が生えました。
土が乾いた、気温・湿度が下がったため、生えた日の翌日には枯れてしまいました。
きのこは乾きやすい土でも湿っていれば、気温・湿度の条件がそろうと発生しやすく、きのこにとって環境が悪ければ、すぐに枯れてしまいます 。
そのため「土が過湿になり過ぎている」というふうに断定することはできません。しばらく様子を見てから、対処するのが良いでしょう。
きのこが生える原因は、気温・湿度が関係していますが、それ以外にも原因があげられます。
以下がきのこが生える主な原因です。
きのこは気温が15〜20℃程度、湿度が60〜70%以上になると、有機物のものから生える 特徴があります。そのため、腐葉土・ピートモス・バーク堆肥などの土を使っているときのこが生える可能性も。
また、油かすなどの有機肥料を使っていると、環境によってはきのこが生えます。
きのこが植物にとって良い存在でも、部屋のインテリアとなる観葉植物には生えて欲しくないこともあると思います。もしきのこが生えてしまったら、下記の対処法を実践してみてください!
きのこは植物の栄養になるので、土の中にすき込んで混ぜてしまうのがおすすめです。 大きなきのこが傘を開いて生えている場合は、一度枯らしてから土に混ぜ込みましょう 。
傘を開いたきのこは、ピンセットで取り除くのも大丈夫です。
ただし、土の中にはすでに菌が広がっている状態なので、きのこだけをとっても環境によっては、またきのこが生えることもあります。
土の中ではすでに菌が広がっているので、きのこが生えてたら長期間水やりを控え、土を乾燥させるのもおすすめです。土がしっかりと乾燥すればきのこが生えることも少なくなるでしょう。
きのこを全く生やしたくないのであれば、土の中に広がってしまった菌を死滅させましょう。殺菌剤を土の表面・中に散布して、菌の数を減らします。
きのこが毎回のように生えるのであれば、鉢の中の土を全て入れ替えると良いです。土の中に広がってしまった菌を全て除去するのは難しく、環境によってはきのこが生えます。
有機質な土に生えるきのこは、 赤玉土や鹿沼土などの無機質な土 を使うと生えにくいです。ほかにも パーライトやバーミキュライト、川砂 なども無機質なのでおすすめです。
ただし、肥料成分が入っていないので、緩行性化成肥料を混ぜてから使いましょう。
梅雨の時期や夏は、湿度が高くてきのこが生えやすいです。この時期は、しっかりと乾かしてから水やりを再度行いましょう。
ただし、夏は植物が水切れを起こす場合もあるので、土の表面近くが乾いてから水を与えます。
湿気がたまる場所では、気温の変化によって菌が繁殖しやすく、きのこが生えるリスクがあります。できるだけ、日当たりと風通しの良い場所で観葉植物を管理しましょう。
”きのこ”と一言でいっても、全てのものが悪さをしているわけではなく、植物に良い環境をもたらしていることもあります。もしもきのこが生えていても落ち込まず、一度様子を見てから対処すると良いです。
ただし、土の中に菌が大量に繁殖してしまうと、水はけが悪くなり、環境によっては植物が根腐れを起こす場合もあるので、長く放置せず、土をかき混ぜて硬くならないようしておきましょう。
余暇プランナー
建築・インテリア学科卒の元造園士・花屋のバイヤー。 東京で建築の仕事をした後、カナダのトロントで造園士を、その後カナダの最東端にあるハリファックスの大自然で植物と戯れながら、植物・庭のWebコンテンツクリエイターを開始。 建築・造園・花屋の経験に加え、趣味の植物・コケの収集、アート作りを生かして、 みなさんに植物やガーデニングの魅力をお届けします!
【ガーデニング】観葉植物に生えるきのこを対処しよう!原因と予防について