秋の風物詩「干し柿」。意外と干し柿のことが苦手、もしくは詳しくは知らない人が多いかもしれませんが、実は干し柿には隠れた魅力がたくさんあるのです!

さあ、知られざる干し柿の世界を覗いてみませんか?

干し柿には隠れた魅力がたくさん!

11月になると軒下にいくつもの柿が吊るされている光景を見たことはありませんか?そう、秋の風物詩「干し柿」。

秋の優しい風に揺られて甘い香りを放つ 柔らかな橙色の果実 …。想像するだけで口の中にあのねっとりとした芳醇な甘みが広がっていくようです。

そう、かくいう私は無類の干し柿男!好きすぎて自家製干し柿を作ってしまうほどの干し柿無双!

しかし、意外と干し柿のことが苦手、もしくは詳しくは知らない人が多いようで…、「一度は食べたことがあるけど…自分ではわざわざ買わないなあ」なんて声も聞きます。

いやいやそれではもったいない! 実は干し柿には隠れた魅力がたくさんあるのです!

干し柿ってなあに?

干し柿は、柿の果実を天日乾燥、もしくは人工的に加熱乾燥した食品です。 日本独特の乾燥果実(ドライフルーツ)の一種 です。

製法の違いにより名称が異なり、

  • 串柿…竹串に刺して乾燥させたもの
  • つるし柿…紐に吊るして干したもの
  • 転(ころ)柿…半乾きの状態でむしろの上で転がしながら乾燥させたもの

と分けられます。

なぜ干すの?

たまに聞きます、「柿はそのまま食べて美味しいのに。なんでわざわざ干しちゃうの?」と。

実は干し柿は、いつもみなさんが食卓で食べている柿を使っているわけでは無いんです。 食卓で生で食べられているのは「甘柿」。干し柿に用いられるのは「渋柿」なんです。

意外とこれを知らない人が多いんですよね。(私も自分で干し柿を作るまでは知らなったんですが…)

そもそも渋柿が渋いのは、口の中でタンニン(苦みや渋みの成分)が溶けるからなんです。口の中で成分が溶けることを「可溶性」と言います。

しかし渋柿を乾燥させることにより、 渋柿の可溶性のタンニンが、不溶性(口の中で成分が溶けないこと)に変わって渋みが無くなり、甘みが強く感じられる ようになるのです。

詳しく言うと、柿の皮をむいて干すことで、呼吸が出来なくなった渋柿はアセトアルデヒドという物質を発生させ、それにタンニンが結合するとタンニンは不溶性になるのです。難しいですね。

要は、昔の人が「渋柿をなんとかして食べる方法ないかなあ…。皮をむいて干してみよう。あら甘くなった」ということを発見したのです。 昔の日本人の知恵はすごいです。

「じゃあ、甘柿を使って干し柿を作れば、もっと甘い干し柿が作れるんじゃないの?」と思うかもしれません。
しかし、甘柿そのものの糖度は渋柿よりも低いんです。 なので、甘柿を干し柿にしても、渋柿の干し柿ほどは甘くはならないんです。

なんだか不思議ですね。そもそも甘柿は生で食べて十分甘いのだから、そのままシャリシャリ美味しく頂きましょう。

干し柿の名産地

干し柿は日本各地で作られています。とくに多く作られているのは 長野県と福島県と山梨県 です。

中でも、長野県の下伊那郡高森町の市田という地域で栽培されている 市田柿 を使った干し柿は、もっちりとした食感と品のある甘みが特徴の日本の代表的な干し柿です。

干し柿の栄養素

干し柿には嬉しい栄養素がたくさん入っています。

タンニン

タンニンはポリフェノールの一種です。ポリフェノールは 美肌効果があり、アンチエイジング に効くといわれています。

また、高血圧や二日酔いに効果があるとされ、抗酸化力を持つことから動脈硬化を防いで生活習慣病の予防にも効果が期待できます。

βカロテン

人参に多く含まれていることで有名なβカロテン。強い抗酸化作用があり、 アンチエイジングや生活習慣病の予防 に効きます。

βカロテンは体内に吸収されるとビタミンAに変換され、お肌や粘膜の健康を維持したり、免疫力をアップさせたりする効果があります。

ビタミンA

ビタミンAは、肌を健全に保つために欠かせない栄養素です。免疫機能を上げ、 皮膚や粘膜の健康を保つ はたらきがあります。

干し柿にすることで 果実のビタミンA濃度がアップする と言われています。

食物繊維

干し柿は食物繊維がたっぷり入っています。通常生柿1個あたりには約4gの食物繊維が入っていると言われていますが、 干し柿は約5.2g と、干し柿の方が豊富に含まれているんです。この量は果実の中でもとっても多いそうです。

また、「不溶性食物繊維」が多いので、胃や腸で水分を吸収して便のかさを増し、腸を刺激してぜんどう運動を活発にし、便通を整えてくれます。つまり、 便秘解消 に効くのです。

かく言う干し柿男の私は、本格的に干し柿を食べ始めてから、この便秘解消効果を一番実感しています。

干し柿を定期的に食べ始める前と後では歴然たる便通の差 があったので、この感動と驚きは生涯忘れないでしょう。

カリウム

人体に必要なミネラルの一種です。ナトリウムを排出するはたらきがあるため、塩分の摂り過ぎを調節し、体内の余分な水分や塩分を尿として排出します。 むくみの解消 に効果的なのです。

このように干し柿には嬉しい栄養特典がたくさんあります。それに干し柿は甘さが凝縮されるため、砂糖の1.5倍もの甘さになると言われています。

甘くて美味しいのに体に良い なんて、夢のようなおやつですよね♪

干し柿を作ってみよう!

ではいよいよ、干し柿を作ってみましょう!

干し柿を作る季節は、 気温が低く空気も乾燥している晩秋から初冬にかけてが最適 と言われています。

干し柿の収穫がだいたい11月頃なので、収穫してすぐに作業をすると良いですね。

用意するもの

  • 渋柿(紐で結ぶため、T字型の枝付で収穫する)
  • ひも(60センチ位の長さ。渋柿の数の半数を用意)
  • 物干し
  • 軒下
  • 包丁またはスライサー

皮むき

柿のヘタと枝を残して皮をむく。

紐付け

紐の両端にそれぞれ1個ずつ渋柿を結ぶ。2個で1組になるように。

殺菌

渋柿がたっぷり浸かる位の鍋にお湯を沸かす。ぐつぐつと沸騰したお湯に、柿を(紐も浸かるように)5~10秒間つけて取り出す。この工程をするかしないかで、 カビが生えるか生えにくくなるかが決まります!

干す

軒下で、日当たりと風通しが良いところに、物干しなどを使って干します。雨にあてるとカビが生えるので、 雨が当たらない場所に干す ことが大切です!

どうしても軒下がない場合は外でも良いですが、雨の時は家の中にしまってください。

干すときは、 柿同士が触れないよう に上下に紐をずらしておきます。柿同士が仲良くくっついていると、そこからカビが生えてしまいます。

揉み込む

干してから1週間後…外皮が固くなってきたら、柿を指で揉み込みます。強く揉むと皮が破れてしまうので、 親指と人差し指を使って優しく押すように 軽く揉んでください。

干してから2週間後…また同じように揉み込みます。柿の状態を見て、柿の中心まで揉み込めるようだったら揉み込んでください。

干してから3週間後…柿の状態を見ながら、 揉み込み作業を繰り返します

揉み込まなくても干し柿はできますが、揉み込むことで渋が抜け、早く甘くなります。

食べる

自分のお好みの固さになったら紐から外して食べましょう。柔らかめのあんぽ柿風も、固めのしっかり食感のものも、それぞれ違った美味しさがありますよね。

私は固めのものをちびちびかじるのが好きです♪妻は やわらかいのを一気に口に頬張るのが好き なようです。

ちなみに、これから定期的に多くの干し柿を作るようならば、 干し柿専用のひも を用意しておくと良いでしょう。ホームセンターなどで手に入ります。簡単に柿をひっかけられて、数も多く出来ます。

私はこれを使って、毎年300個ほどの干し柿を作っています♪

干し柿の保存方法

常温保存の方法・期間

  1. 干し柿を1個ずつキッチンペーパーで包む。
  2. 直射日光の当たらない風通しの良い場所に置いておく。

保存期間は2〜3日 。保存期間が過ぎると、水分が抜けて固くなります。

冷蔵保存の方法・期間

  1. 干し柿を1個ずつキッチンペーパーで包む。
  2. 密閉容器や密閉できる袋に入れる。
  3. 冷蔵庫の野菜室で保存する(野菜室は冷蔵庫の中でも温度が高いので、干し柿が固くなりにくい)

保存期間は 約1週間 です。

冷凍保存の方法・期間

  1. 干し柿を空気が入らないように1個ずつぴっちりラップで包む
  2. 密閉容器や密閉できる袋に入れる。
  3. 冷凍庫に入れて保管する(干し柿はにおいを吸収しやすいため、においの強い食品のそばに置かないようにしてください)

保存期間は 半年〜1年ほど

解凍方法はラップを外して常温で解凍します。または、食べる前の日に冷蔵庫に入れて解凍してください。

さああなたも干し柿の世界へ・・・。

昔の人の知恵から生まれた、美容にも健康にも良い干し柿。

今年の秋からぜひ楽しんでみませんか?


fudo2020

余暇プランナー

元々都会育ちですが、登山にハマったのを機に長野県に移住しました。里山暮らしを家族4人で楽しんでます!登山やキャンプが趣味。テントを張って自然の中でダラダラするのが好きです。森の中で昼間から飲むお酒とか最高ですよね。旅も好きで、独身時代にはカナディアンロッキーをバンで寝泊りしながら、山を巡る旅をしたりしました。

めくるめく干し柿の世界へ!干し柿の栄養素・保存方法・作り方をご紹介

情報提供元: YOKKA
記事名:「 めくるめく干し柿の世界へ!干し柿の栄養素・保存方法・作り方をご紹介