日本全国地震列島。日本は、いつどこで地震が起こるか分からない地域。東京などの都市圏はもちろん、中山間地域においても、住人はいつも地震に備えておかなければ、自分や家族の生命、財産は守れません。

そこで、日本の防災の権威、目黒教授がご指南。連載第21回目は「コストからバリューへ、ってどういう意味ですか?」。

目黒教授 従来は、行政も民間も災害対策を「コスト(経費や出費)」だと考えていました。コストとみなす対策を繰り返すことは難しいので、継続性が低くなります。また災害対策の意味や価値も、災害が起こらないと発現しないものでした。このような問題を解決する一つの方法として、災害対策に対しての意味づけを「コストからバリュー(価値)」へ変えるという考え方があります。つまり対策を実施している個人や法人、地域や組織に価値をもたらすものという考え方です。

従来の災害対策が、被害を幾分か減らす(ゼロにはならない)ものであったのに対して、災害に対する取り組みが、実施者や地域の価値の向上(プラスの効果をもたらす)と考えていただくことによって、皆さんが災害対策に取り組みやすい環境を作っていくことが可能になります。これが災害対策の「コストからバリューへ」という意味です。(次回に続く)

目黒公郎プロフィール
東京大学大学院情報学環長・教授。専門は総合災害管理、国際防災戦略。内閣府本府参与、多数の省庁の防災委員、日本地震工学会、地域安全学会、日本自然災害学会などの会長を歴任。防災功労者内閣総理大臣表彰などを受賞。

●目黒教授のラジオ連載「みんなのサンデー防災」は、各種の災害がもたらす被害の最小化と、災害時を被災地地域の課題を解決する機会として活用し、発災以前よりもいい地域に改善するために必聴の番組。毎週日曜14時〜全国コミュニティFMで放送中。詳しくは「みんなのサンデー防災」で検索してみてください。

情報提供元: アーバンライフメトロ
記事名:「 【目黒教授のワンポイント防災講座 vol.21】災害対策の意味づけを「コストからバリューへ変える」とは?