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豆乳は中国を発祥とする飲料で、豆腐製造の副産物として紀元前から利用されてきた。明確な記録は残っていないものの、古くから薬膳として健康効果が注目され、一般家庭にも広まったと考えられている。
その後、日本でも豆腐や湯葉の製造過程で豆乳が活用され、江戸時代には一部で豆乳を飲む習慣も見られるようになった。現在では、豆乳は植物性ミルクとして健康志向や環境配慮の観点から人気を集めており、乳製品の代替として幅広く利用されている。今後もその需要は世界的に増加すると予想されている。
豆乳にはさまざまな種類があり、製法や添加物、使用目的によって名称が異なる。市販されている主な種類を解説していこう。
1. 無調整豆乳
大豆を水に浸し、すりつぶして煮詰めた後に濾して得られる、何も加えられていない純粋な豆乳だ。大豆そのものの風味や栄養がそのまま残っており、味わいが濃く、ややクセがある。大豆由来のたんぱく質やビタミン、ミネラル、大豆イソフラボンが豊富で、健康効果が高いとされている。
2. 調整豆乳
砂糖や塩、油などを加えて飲みやすくしたもの。味や栄養成分が調整されているため、大豆の風味が軽減され、マイルドで飲みやすいのが特徴だ。カロリーや糖分が調整されている場合もあり、商品によってはカルシウムやビタミンDなどが添加されていることもある。
3. フレーバー豆乳
バニラやチョコレート、果物などの風味を加えた豆乳だ。豆乳特有の風味が苦手な人に好まれており、デザート感覚で楽しめる。砂糖や香料が加えられていることが多く、カロリーが高めの製品もある。
4. 有機豆乳
有機栽培された大豆を使用して作られたもの。無農薬・無化学肥料で育てられた大豆を原料とし、製造過程でも化学添加物が使用されていない。味は無調整豆乳に近く、自然な大豆の風味をそのまま楽しむことができる。栄養価が高く、特に健康志向の人に人気がある。
5. 豆乳飲料
さまざまな添加物や甘味料、香料を加えたもの。豆乳特有の風味が軽減され、飲みやすくなっているため、コンビニエンスストアやスーパーで広く販売されている。甘味が強く、バラエティ豊かな味わいを楽しめる一方で、栄養価は商品によって低い場合がある。
今回は、コンビニやスーパーで手軽に購入できる5種類の商品をおためししてみよう。
国産プレミアム大豆「るりさやか」を使用した「成分無調整豆乳」だ。
滑らかさと澄んだ味わい、コクと旨味、そしてすっきりとした後味が特徴的。
大豆の青臭みの原因となる要素を持たないプレミアム大豆を使用している。
飲んでみた感想は、臭みもクセもなく非常にすっきりとした味わいだが、豆乳ならではのまろやかさがしっかりと感じられる。とても飲みやすく、豆乳が苦手な人にもおすすめできる高いクオリティーだ。無調整豆乳でありながら、癖のない味わいが最大の特徴。後味も非常にスッキリとしている。
契約栽培丸大豆を使用した「調整豆乳」。
栄養表示成分は表記の通り。
植物由来のストローを使用し、賞品があたるキャンペーンの情報が記載されている。
飲んだ感想は、まろやかでありながら少しどろっとした飲み口だ。イメージとしては、牛乳に大豆の甘みが加わったような味わい。調整豆乳ならではの、まろやかで飲みやすい特徴が際立っている。
こちらは無調整豆乳。
同じキッコーマンの調整豆乳よりも、大豆サポニンやイソフラボンの含有量が多く含まれている。
飲んだ感想は、無調整豆乳のイメージとは異なり、こちらもクセがなく非常に飲みやすい。すっきりとしたみずみずしい味わいが特徴で、まろやかさはほとんど感じられず、後味まで一貫してすっきりとしている。
飲みやすい豆乳とは、まさにこのような感覚なのではないかと思う。側面パッケージには「スーパー・チリング製法」についての説明が記載されているが、大豆臭が少なくスッキリとした風味が実現されている。
コレステロールが気になる方へおすすめの、特定保健用食品(トクホ)の調整豆乳だ。
血清コレステロールを低下させる働きがある。
さらに、日本人間ドック健診協会推薦の商品で、健康志向がより強い点も特徴だ。
飲んだ感想としては、口当たりは「特濃」というほど濃い印象ではなかったが、飲み口はとてもまろやか。しかし、後味にはかなり濃厚さを感じられた。ややしつこさを感じたため、一度にたくさん飲みたいとは思わないが、200mlの量でちょうど良いと感じた。
有機大豆を100%使用したオーガニックの成分無調整豆乳だ。有機大豆とは、農薬や化学肥料を使用せず栽培された大豆のことを指す。その他にも厳しい条件を満たす必要があるが、安全性が高く、大豆に含まれるイソフラボンやたんぱく質などを自然な形で摂取できるのが利点だ。
シンプルなパッケージも印象的。
販売者はイオンだが、製造は「ひとつ上の豆乳」と同じマルサンアイが行っている。
飲んだ感想は、かなり水っぽく、非常にすっきりとしている。一般的な豆乳のイメージであるまろやかさや甘さはほとんど感じられないが、大豆の風味を活かしたナチュラルな仕上がりと言える。好みが分かれるかもしれないが、156円(税込)というリーズナブルな価格と、健康面でのメリットもある点が素晴らしいと感じた。
今回のレビューを通じて、豆乳にもさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴を持っていることが分かったが、最後にパッケージに記されている大豆固形成分の割合について触れておきたい。
大豆固形成分とは、豆乳に含まれる大豆由来の可溶性および不溶性の物質を指す。豆乳の濃度や栄養価、味、質感に影響を与え、主にたんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミン、イソフラボン、そしてサニポン(抗酸化作用を持つ成分)などが含まれている。
さらに、大豆固形成分の割合と規格は食品衛生法で決められている。
1.無調整豆乳(大豆固形分8%以上)
2.調整豆乳(大豆固形分6%以上)
3.豆乳飲料(大豆固形分4%以上)
この規格により、豆乳の濃度や栄養価が一定の基準を満たしていることが保証されている。
今回、5種類の豆乳を試してみた感想として、「調整豆乳だから大豆の臭みがなく飲みやすい」「無調整豆乳は飲みにくい」といった一般的なイメージとは異なる商品が多かったと感じた。それだけ豆乳の製法が進化し、それぞれの長所や短所を補った商品が増えているということだろう。どれを美味しいと感じるかは完全に個人の好みによるものだ。少しでも参考になれば幸いだ。