2024年7月14日、道の駅おおた(群馬県太田市)にて「サンブレフェスタ2024」が開催された。このイベントの主催者の方から、綿引氏が手作りで製作した「6輪F1タイレルP34」と、昨年入手したF3000用フォーミュラーマシン「レイナード93D」が展示されると聞き、取材に向かった。 ■サンブレフェスタ2024イベント当日は雨 会場である道の駅おおたに到着。現地の天気は曇り。程なくして、タイレルP34とレイナード93Dを載せたキャリアカーが会場に到着。一気にギャラリーが集まってくる。 自他ともに認める晴れ男である綿引氏も「イベント当日の天気は大丈夫だから」と語っていたが、開始直後、午前10時頃から雨が降りはじめた。 「チームサンブレ」の皆さんが、日よけ用に用意しておいた2張りの業務用テントを素早く展開。同時進行で綿引氏を中心にタイレルP34とレイナード93Dをキャリアカーから下ろし、テントの下へと移動していく。雨が本降りになる前に無事設置完了。 ここで、タイレルP34の進化の過程を振り返ってみよう。 ■サンブレフェスタ2021 タイレルP34がサンブレフェスタにお目見目したのは2021年のことだ。このときは1977年仕様のカウルをまとってエントリー。画像を見るだけでは完成形のように映るかもしれないが、この時点でエンジンおよび駆動系は仮組みの状態。それに加えてリアウイングのステーやメーター周り、コクピットなども未塗装のまま。とはいえ、アルミ地の状態からカウルが塗装されたこともあり、P34の実車そのものと勘違いするギャラリーもいたほどだ。 ■サンブレフェスタ2022 2022年6月に開催された「サンブレフェスタ2022」で展示されたときの模様がこちらの画像だ。このとき制作中だった1976年仕様のカウルを装着した状態でエントリーしたこともあり、リアウイング(これも2021年に展示したときとは形状が異なる点にも注目)を除いて未塗装のまま。タイレルP34が手作り、ハンドメイドであることが確認できる貴重なカットだ。なお、この時点でタイレルP34は自走が可能であり、キャリアカーから展示場所(同じ私有地内)まで綿引氏自らドライブして移動した。 ■サンブレフェスタ2023 2023年6月に開催された「サンブレフェスタ2023」に展示されたときの仕様がこちらのカットだ。1976年日本GP「シェクター仕様」を再現して展示された。塗装されると本当のフォーミュラーマシンに思えてくるほどであった。この時点ではサーキットを攻められるほどマシンセッティングが煮詰められており、実際に走行したり、マシンの乗り降りする際についた傷がさらにリアリティであった。綿引氏のYouTubeチャンネルを見て、県外はもちろんのこと、遠方から足を運んだギャラリーもいたほどだ。 ■サンブレフェスタ2024 そして今年の仕様はこちら。昨年秋に1976年日本GP仕様でエントリーした「妙高ヒルクライムHILL G.P2023」においてクラッシュ後、1977年仕様に戻して復活。ブレーキホースなど、足回りの調整が必要なこともあり、現在は展示のみという状態。 しかし、タイレルP34が間近で見られる貴重な機会ということもあり、雨のなか、サンブレフェスタ会場に足を運ぶ熱心なファンの姿が絶えなかった。そして、レイナード93Dが初披露ということもあり、それぞれのマシンの造りを見比べるファンも多かった。 ■まとめ あいにくの雨となってしまったサンブレフェスタ2024だが、過去のサンブレフェスタでは観ることのできなかった貴重な機会が得られた。 タイレルP34とレイナード93Dが並ぶ光景は壮観だった。F3000のレースに参戦していた本物のフォーミュラーマシンと並べてもタイレルP34のたたずまいはまったく遜色がないのだ。少なくとも、それなりにクルマに対する知見がある人でない限り、この2台が本物のフォーミュラーマシンだと説明したとしてもそのまま信じてしまうだろう。 また今回、キャリアカーの上段にタイレルP34が積まれたこともあり、普段は見ることができない下側からの様子も確認することができたのだ。ファンにとってはこの状態を肉眼で確認できるだけでイベント会場まで足を運んだ甲斐があったかもしれない。タイレルP34の下側は見事にフラット。フレームに隼のエンジンが搭載され、サスペンションアームが左右のタイヤに向かって伸びていることが確認できた。 金色に輝いているパーツは、隼用ドライサンプキットのひとつであるオイルパン。このキットは、綿引氏がタイレルP34でのサーキット走行を視野に入れて組み込んだものだ。YouTubeチャンネルでも解説されているので、ぜひ目を通してみてほしい。 ●タイレル 隼用ドライサンプキット取り付け前編https://www.youtube.com/watch?v=GhHrUwFejgI 今年のサンブレフェスタは雨となってしまったが、来年は綿引氏の晴れ男パワーで梅雨時の雨雲をどこかへ吹き飛ばしてくれるはずだ。 ■手作りの6輪F1タイレルP34とは? 茨城県水戸市にある「カスタムビルド&レストア WATAHIKI(以下、CBR WATAHIKI)」代表の綿引雄司氏が、仕事の合間を縫って手作りで製作してきた、6輪が特徴的なF1マシン「タイレルP34」。 その完成度の高さから、ネット上ではタイレルP34のコンプリートマシンを綿引氏が所有していると誤解されることもしばしばだ。 また「タイレルP34のレプリカ」と評されることもあるが、綿引氏独自の解釈で製作された箇所も少なからずあることは事実だ。 そのため、忠実なレプリカというわけではない。 つまり、この「レプリカ」という表現がこのマシンに当てはまるかどうかは人それぞれの解釈に委ねたい。 製作者である綿引氏によると、このF1マシンが存在することは、タイレルのルーツでもあるケン・ティレル氏のご子息、ボブ・ティレル氏も把握しているという。 しかも、ボブ・ティレル氏は好意的に受け止めてくれているとのことだ。 ぜひ、イベント会場などで実車を観て、細部の作り込み、フィニッシュワーク美しさをその目で確認してみてほしい。 ■巴自動車商会/カスタムビルド&レストア WATAHIKI 店舗情報 住所:〒310-0912 茨城県水戸市見川3-528-2TEL:TEL/FAX 029-243-0133URL:http://cbr-watahiki.comお問い合わせ:http://www.cbr-watahiki.com/mail.html ●綿引氏のYouTubeチャンネル"cbrwatahiki"※「アルミのイオタ」および「タイレル P34」の製作風景も紹介されています https://www.youtube.com/@cbrwatahiki ※YouTubeで動画を配信している「ぺーさんxyz」さんがイオタの製作過程を詳細にまとめた動画。手作業で造られていったことが分かる構成となっています。 ●板金職人の技炸裂!アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【前編】https://www.youtube.com/watch?v=hvAf5PfcSJg&t=8s ●アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【後編】https://www.youtube.com/watch?v=WidFHqbp4QA ■「道の駅おおた」について ・所在地:〒370-0421 群馬県太田市粕川町701-1https://goo.gl/maps/E3vus5Vmbpjn8mz68・電話:0276-56-9350・FAX:0276-56-9351・駐車場;普通車:126台、大型車:40台、身体障害専用:4台・URL:http://michinoeki-ota.com ●道の駅 おおた <公式> Facebookページhttps://www.facebook.com/michinoeki.ota/ ●道の駅おおた広報「おっくん」 Facebookページhttps://www.facebook.com/ekicho.ota/ ●道の駅 おおた <公式> Twitterhttps://twitter.com/michinoekiota [ライター・カメラ/松村 透]
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