去る1月12日〜1月14日まで、幕張メッセにて「東京オートサロン2024」が開催された。初開催から42回目となる今回のイベント、驚くべきことに、幕張メッセ全館を使用するほどの巨大なイベントになった。 そして現地に行かれた方は誰もが「今年のオートサロン、混んでない?」。そう感じたと思う。新型コロナウイルスが少しずつ落ち着きを取り戻し、ある程度の耐性ができつつあるという安心からか、今年は本当に人が多かった。 あふれんばかりの熱気、そして人出。東京オートサロン本来の活気がようやく戻ってきたことは確かなようだ。ベビーカーを押して家族連れで会場を練り歩く家族もあちこちで見かけたし、子育て世代のいち父親としては(お子さんが飽きたり体調を崩さないか)ちょっと心配になってしまったほどだ。 旧車王ヒストリア的に、少し(かなり?)古めのクルマを軸に気になるクルマをピックアップしてみた。 ■日本車 もはやひとくくりすることが困難なほど多彩なジャンルのクルマが出展された日本車。なかでも印象的だったのが「ヴェイルサイド」に展示されていたこちらの1台。 古くは80スープラのコンバットエアロなど、斬新かつ大胆な発想でユーザーを驚かせてきた「ヴェイルサイド」、今回は1974年式日産セドリック(K230型)を持ち込んだ。しかもエンジンはL型2.8Lをベースにした3.2L仕様。さりげなくもセンスよくカスタマイズされたこのクルマはレストモッドのお手本ともいえるアプローチだ。 また、スカイライン&日産GT-R専門店である「CRAFT SPORTS」は第2世代スカイラインGT-Rのスペシャルモデルを中心に構成されたブース。R32 GT-R NISMO、R33 LM リミテッド、R34GT-R Mスペック ニュル、そしてニスモ400Rなど、いまとなってはお宝級のモデルが一同に介する光景は今後なかなか観られないかもしれない。 いつの間にか、第2世代スカイラインGT-Rがおいそれとチューニングベースにできなくなったことを強く実感したことは確かだ。 東京オートサロンといえばRE雨宮ブースの存在は欠かせないだろう。 今回もSAからFDまでの歴代RX-7をはじめ、RX-8、ロードスター、ファミリアバンロータリー、ロータリーシャンテなど、さまざまなモデルを出展。 これだけ多く(もはや無数といってもいいかもしれない)クルマが出展されているなかで存在感を放っていた。外国人の人たちの注目が高かったことも印象的だ。 ■輸入車 日本車よりも出展台数は少なめながら、それでもメルセデス・ベンツ日本やBMWジャパン、ヒョンデモビリティジャパン、BYDオートジャパン、ケータハム、ロータスなど、インポーターとして出展。中国および韓国のメーカーがいよいよ本腰を入れて日本市場に進出してきているのを実感する。 また、ギャルソンD.A.Dブースに出展されていた2台のメルセデス・ベンツSLは、初出展から10数年は経っているはずだが、その存在感はいまも健在。たしか、スワロフスキーだけで4000万円と聞いた記憶がある。このメルセデスを間近で観て「あぁ、今年もオートサロンに来たんだ」と実感する来場者も少なくないだろう。 個人的に目を引いたのは、カムフラージュ柄のラッピングが施され、カンガルーバーが装着され、70mmほどリフトアップされた初代ボクスター。これはオフロードマシンの製作を得意とする「プロスタッフ」の手によるもの。見た目だけでなく、専用のアンダーガードやリフトアップキットが用意されるなど本格的。しかも、この個体は売り物。2001年式で走行距離138,000キロ、198万円であれば、思い切って手に入れてみようと思ってしまう価格だ。 ■オートサロン会場の華であるコンパニオン オートサロンのもうひとつの顔といえばコンパニオンの存在は欠かせない。ジャパンモビリティショーではコンパニオンの数が少ないと感じたが、オートサロンもコロナ前よりも減った印象がある。と同時に、過激な衣装を身に纏ったコンパニオンを立たせるブースが減ったかもしれない。 筆者のかつての仕事仲間にコンパニオン経験のある女性がいて、イベント時の苦労話を聞かせてもらったことがある。常に大勢の来場者からカメラを向けられているので、一瞬たりとも気が抜けないとのことだった。 なかには偶然の変顔を狙うようなマニアもいるらしく、かといって常に笑顔であることが求められるだけに、イベントが終わる頃にはぐったりするそうだ(盗撮目的とか、怪しい動きをする人は直感的に分かるらしい)。 重いカメラをかついで幕張メッセ全館を何周もするこちらも体力勝負だが、精神的な負担はそれほどでもない。常にカメラが向けられ、笑顔で対応が求められるコンパニオンの皆さんはそれ以上に大変なんだと思う。 ■まとめ 今回も大盛況のうちに幕を閉じた「TOKYO AUTO SALON 2024」。参考までに、東京オートサロン事務局がイベント閉会後にリリースした情報の一部を転記するので、ぜひ目を通してみて欲しい。 ■参加人数(※出展者、関係者を含む)・1月12日(金):51,014人(前回43,963人)・1月13日(土):95,081人(前回73,343人)・1月14日(日):83,978人(前回62,128人)●累計230,073人(前回179,434人) ■出展者数・出展者数:378社(前回実績341社)・出展車両台数:893台(前回実績789台)・ブース総数:4,329小間(前回実績3,904小間) 東京モーターショーがジャパンモビリティショーに一新したのが昨年。まだまだ模索の時期が続くだろう。いっぽうで、東京オートサロンの勢いは留まることを知らない。何より日本発・日本独自のカスタムカー文化が世界から注目され、もはや羨望の的となっていることに時代の流れを感じさせる。 自宅の本棚に1990年代前半〜中盤頃の東京オートサロン公式パンフレットがあった。どれもずっしりと重い。当時もいまも賑わいは変わらないが、国際色豊かになったことは確かだ。 イベント初日ということもあるが、海外のメディアの数が非常に多かった。オートサロンに出展されているクルマから何かを得ようと取材している姿が印象的だ。何かの真似やパクリではなく、自分たちがカッコイイと思ったものが世界から注目され、支持されていることは確かだ。 もともとアンダーグラウンドなイベントだったかもしれない東京オートサロン(とその前身の東京エキサイティングカーショー)だが、その規模と勢い、そして影響力は世界でもトップクラスになったことは間違いないなさそうだ。 [ライター・撮影/松村透]
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