国産小型乗用車初のミッドシップ車MR2は、1984年6月に初代がデビューしました。1989年10月に2代目にフルモデルチェンジし、1999年8月まで販売されました。今回は、MR2がどのような車だったのか紹介するとともに、値上がり傾向にある中古車事情を解説します。MR2を所有していて、売却しようか検討している方は参考にしてみてください。 MR2とは トヨタ MR2とは、1989年6月にデビューした国産小型乗用車初のミッドシップ車です。車種名の「MR2」は、座席すぐ後ろにエンジンを搭載するミッドシップの2人乗り小型車を意味する「Midship Runabout 2 Seater」が由来となっています。 MR2は、コンパクトスポーツカーを連想させるスタイリングですが、「スポーティコミューター」という新しいジャンルを開拓しようとして開発されているため、乗降性、シートの高さ、ラゲッジスペースなどの使い勝手が考慮されていることが特徴です。また、初代MR2は、1984年-1985年日本カーオブザイヤーを受賞しました。 初代MR2のエクステリアはリトラクタブルヘッドライトを備えるウェッジシェイプで、インテリアは平面のダッシュボードと四角く囲われたメーターフードによる独自のスタイリングとなっています。 ボディサイズは、全長3,925mm、全幅1,665mm、全高1,250mmの5ナンバーサイズです。エンジンは、FFのカローラから流用された1.5L直列4気筒と、カローラレビン/スプリンタートレノと同じ1.6L直列4気筒(4A-GELU型)を搭載しています。 1986年のマイナーチェンジでは、最高出力145PS/6,400rpm、最大トルク19.0kgm/4,400rpmスーパーチャージャーを装着した1.6L直列4気筒(4A-GZE型)エンジンを搭載した高性能モデルを追加。また、左右にルーフを分割して脱着できるTバールーフ仕様をオプション設定しました。 1989年10月に2代目へフルモデルチェンジ。2代目では、初代のコンセプト(スポーティコミューター)を受け継ぎながらスポーツカーとしての性格を強めました。エクステリアはリトラクタブルヘッドライトを初代に続いて採用し、流麗なスタイルに一新しています。インテリアは、水平基調の滑らかな面で構成されるダッシュボードやインテリアパネルが特徴です。 ボディサイズは、全長4,170mm、全幅1,695mm、全高1,240mmと初代よりひとまわり大きくなりました。エンジンは、トヨタのスポーツカー「セリカ」と同じ2.0L直列4気筒自然吸気(グレード:G/Gリミテッド)とセラミックターボ(グレード:GT/GT-S)の2種類を用意しています。 2代目MR2は、1999年8月まで約10年にわたり販売されました。また、販売が終了するまでの間に4度の大きなマイナーチェンジが実施されています。 マイナーチェンジの遍歴は、2代目デビュー当初の「I型」、ピーキーなハンドリングを改善し足まわりの見直しをした1991年からの「II型」、外装・内装の変更やエンジンのパワーアップをした1993年11月からの「III型」、スポーツABSの四輪独立制御への変更やトラクションコントロールの変更がされた1996年6月からの「IV型」、自然吸気エンジンの出力向上や外装・内装の変更がされた1997年12月からの「V型」です。 1984年6月から1999年8月まで2世代にわたり販売されたMR2は、後継車種のMR-Sにモデルチェンジして長い歴史に幕を閉じました。 MR2は高騰している? MR2の中古車価格は高騰しているといえるでしょう。2022年3月時点におけるMR2の中古車の車両価格は、初代が約100万円~300万円程度、2代目が約50万円~350万円程度です。初代と2代目を合わせた中古車の平均価格は198万円となっています。車両の状態が良ければ、当時の新車販売価格以上の金額で売却できるでしょう。 MR2はもう値上がりしない? 所謂「旧車バブル」でMR2の価格は高騰していました。しかし、そのバブルが崩壊するのも間もなくと言われています。新型コロナウイルスの蔓延による外出の自粛で、旧車や腕時計、骨董品など、目で見るだけでも楽しめるものにお金をつかう方が増えました。この消費行動の変化が、旧車の価格高騰にも大きな影響を与えたと言われています。しかし、昨今では外出の自粛要請も緩和されて人々の生活は元に戻りつつあり、コロナ禍で価格が高騰したものがどんどん値下がる可能性があります。事実、アメリカの中古車販売大手の「カーバナ(Carvana)」の株価は、新型コロナウイルス流行初期に比べて99%も下落しました。(※2022年12月時点)日本にとっても決して対岸の火事とは言えません。今後、MR2の中古車価格は下降へと向かうことが予想されるでしょう。売却をご検討されているのであれば、値下がり前の今がチャンスです。 価格が高くなりやすいMR-2の特徴 売却するときに高値になりやすいMR2は、どのような車両なのでしょうか。ここからは、価格が高くなりやすいMR2の特徴を解説します。 こまめにメンテナンスをしている こまめにメンテナンスしているMR2は、高値で売却できるでしょう。メンテナンスには、外装や内装をきれいに保ったり、エンジンオイルやトランスミッションといった機械系が正常に動くよう部品交換したりするなど多岐にわたります。正常に走行できる状態にしておくと、売却するときの評価は高くなるため、定期的な点検や手入れは欠かさずに実施しておきましょう。 事故車・水没車ではない MR2に限らず、車は事故や修復歴があったり、水没したりすると評価が大幅に下がります。現存する台数が減少し、希少価値が高くなっているMR2を所有している場合には、事故や水没などに気を付けましょう。また、今後も価値が高くなっていった場合、盗難の危険性もあるため、保管場所にも注意する必要があります。 走行距離が短い 走行距離が短い車は、一般的に高い評価がされやすいです。加えて、メンテナンスが行き届いている車両、ワンオーナー車、高性能モデルなどの場合には、走行距離が伸びていても高い価格で買取されることがあります。 SW20(2代目)のターボ 2代目MR2(SW20型)の「GT」や「GT-S」グレードは、2.0Lターボエンジンを搭載するハイパフォーマンスモデルであるため、高値で買取されている傾向にあります。車両の状態が良好であれば200万円以上の価格で買取される場合もあるでしょう。 AW11(初代)のスーパーチャージャー 初代MR2(AW11型)の1.6L直列4気筒スーパーチャージャーエンジンを搭載しているモデルは、高性能なモデルであるため高額買取されるケースが多いです。車両が良い状態に保たれていれば、走行距離が伸びていても150万円以上の価格で買取されることもあるでしょう。
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