■2ドアセダンってイイよな、って思う 「セダン」とか「クーペ」の正しいカテゴリわけって、正直アイマイというか、わかりにくい気はするんだけど、要は「ハコみたいなドンくさそうなクルマでドア2枚」ってのが2ドアセダンかな。 ▲トヨタ カリーナ(1977年)2ドアセダン。リアクォーターパネルあたりがスクエアなセダン的 ▲トヨタ カリーナ(1974年)2ドアセダン。リアクォーターパネルあたりがクーペっぽい滑らかさ そんな2ドアセダンって、ちょいと髪の毛に白髪が混ざったオジサンとか、上品すぎるワケではないカジュアルでラフな服装のオバサンの乗り物、という感じかなあ。 あるいは、ちょっとボロい感じの2ドアセダンに、お金持ってなさそうなワカモノが何人かで、窓を開けて腕を出しながら楽しそうにどこかに出かけてゆく、そんなイメージがありますね(現在空想モード)。 冷静に見ればハコのクルマならドア4枚の方がずっと便利だし使いやすいのはわかっております。 ■現代の多くのクルマは4ドア なので、最近の多くのクルマはドアが4枚がフツーになってきてますよね? いわゆる「スポーツカー的なやつ=すなわち走るのが目的=以外」は、ほとんどがドア4枚。 今や、ポルシェやフェラーリでさえ4枚ドアがあるんだから、現代の基本はドア4枚と考えて宜しかろうと思います。 なので、最近というか、ここしばらくは2ドアのセダンなんてまず見かけないです。 若い人たちは「その存在を知らない」人も多かろうと思うのです。 ところがココは「旧車王ヒストリア」です。 旧車には2ドアセダンという、今では絶滅しかけたスタイルのクルマがいた(←ここ過去形)のであります。 ■懐かしの2ドアセダンたち ▲スバル1000(1965年)。60年代の典型的な2ドアセダン。すっきりしている ちょっと思い起こしてみましょうか。 BMWの02シリーズなんていかが? サニーとかカローラの2ドアセダンなんて、今見ても魅力的。 VWジェッタなんかも良さそうですね。 サーブ90なんてのも、このカテゴリかもしれませんね。 FIATの850なんて今見てもシャレオツ! ▲BMW 02シリーズ(1975年)。まさにハコのクルマ感 ▲トヨタ カローラ(1966年)2ドアセダン。60年代のベストセラー ▲日産 サニー(1966年)2ドアセダン。同じく60年代のベストセラー ▲VW ジェッタ(1979年)2ドアセダン。70年代後期の2ドアセダン絶滅期に近いクルマ ▲サーブ 90(1984年)2ドアセダンというよりは、クーペかハードトップに近いスタイルかな ▲フィアット 850(1964年)2ドアセダン。60年代のイタリア車はみんなカワイイ ■かつて、日本車は2ドアセダンの宝庫? さて、我が国ジャパン。 実は2ドアセダンの宝庫だった時代があります。 上記で挙げた出始めのトヨタ カローラや日産 サニーなんかは、最初にリリースされるのは2ドアセダンというパターンが多かった。 当時の感覚からすると、同じボディならドア4枚より2枚の方が安上がりってなもんで、単にコストの問題もあったような感じです。 また開口部が少ない方が強度が保てる、みたいな理由もあったかもしれません。 いや、もちろんこれらは推測ですが、こうしてみると実際1960年代〜80年代のファミリーカーは「2ドアセダン」「4ドアセダン」「ハードトップ」「クーペ」というカテゴリがほとんどだったような気がします。 ▲トヨタ カローラ(1970年)2ドアセダン。70年代になっても基本は変わらないスタイル ▲日産 サニー(1970年)2ドアセダン。ちょっとカローラ的な雰囲気も出てきた70年代サニー おっと、ハードトップってナンだよ?と思う人もおりましょう。 ま、旧車王ヒストリアの記事を読んでいる方々であれば、それが「オープンカーのようにサイドのサッシュ・ピラーのない大きな窓のある、いわゆるオープンカーの屋根が固定の金属バージョン」だから「ハードトップ」というのはおわかりでしょうから、説明は省いておきます(笑)。 ▲日産 ローレル(1968年)2ドアハードトップ。屋根が別塗装でスペシャルな雰囲気 ということで、今ではアタリマエの4枚ドアのハコ型クルマのドアの数が、単に2枚のヤツが2ドアセダン。ほんと今では見かけませんが、実際に使ってみると、ドアの数が少ないからちょっと不便かもしれません。なにしろ後ろの席に乗り込むときは・・・・ 1:ドアを開ける2:前席の脇にあるレバーを操作する3:すると前席のシートバックが前に倒れ、同時にシート全体が前方にスライドする4:そうしてできたスキマに体を滑り込ませ、後ろのシートに乗り込む5:もう一度レバーを操作して、前席のシートを下の位置に戻す6:ドアを閉める というような「手順」が必要だったワケです。 いやメンドクサイですね。 しかも後ろのシートに座った人は、ほぼ「軟禁」状態になるので、イザというときに脱出するのも難しいという。 実用面では「4人乗れる」けれど、普段は「2人で乗る」のがメイン、という感じなのが2ドアセダンではなかろうかと。 ▲リアシートへのアクセスは手順が必要。出入りがメンドイのは2ドアモデルの宿命 さて、あらたまって写真とか眺めてみると、2ドアセダンってやっぱカッコ良くないですか?カッコいいですよね。 でも、上記のようにその実用面から姿を消したと思われる2ドアセダン。 姿勢を正して(笑)考え直してみましょう。 ▲BMW 02シリーズ(1967年)。シンプルなデザインはいまの時代でもかっこいいっス ■実はリアシートを使う機会って少ないかも? 現在、実用性をメインにクルマを選ぶ、というのはトラックとかタクシーとか、クルマを仕事に使う人たちであって、いわゆる「自家用車」を選ぶ場合、絶対的な実用面をメインに選ぶことってあまりないのではないか?と思うのです。 街中を走っていても、田舎道を走っても、高速道路を走っても、周りを見てみると、ほら、ほとんどのクルマに乗っている人たちの数はひとりかふたりじゃないですか? まあ、時折りレジャーにゆくのか、獅子舞みたいなデザインのでっかいワンボックスカーにたくさん乗っていたりしますけど、タクシーでさえ乗せているお客さんの数は1人か2人、多くて3人って感じですよね? 自家用車ならなおさら!普段はあまり使うことのない後部のドアがなくても、実際あまり困らないんじゃないかと思うのです。 ▲ルノー アヴァンタイム(2001年)。やたらデカくてこのデザインで2ドア。ダブルヒンジで狭いところでもドアの開閉ができる変態構造(笑) なので、ここらでですね、2ドアセダンをもう一度見直してもいいんじゃないかって思うのです。 特に理由もなく「かっこいい」っていっててもしょうがないんですけど、ハコクルマのドアが2枚って、ストイックな潔さというか、とっつぁんグルマのような野暮ったさがありつつも、ときには1人で夜の高速を流したり、山道で細いタイヤ鳴かせながら上がったり下がったり。 いざとなったら後ろにもヒト乗せることできますよ、ええ……みたいな感じで、何となく旧い映画とかドラマの主人公的な「生き方」というか「過ごし方」ができそうな気がするじゃありませんか(笑)。 まあ、気がするだけかもしれませんけどね(再び空想モード)。 実用面からすれば少々使いにくい。 滑らかなスピード感あふれるシャープな造形でもない。 すなわちカクカクしてて少々やぼったいデザイン。 走らせてみると特に速いワケではない。 けれど何となく頑丈そうでなかは結構広い。 その気になれば荷物積めちゃうしヒトもたくさん乗ることができる。 ▲トヨタ カローラ(1970年)2ドアセダン。人数少なければ大変実用的なコミューター。今でも通用するんじゃないかと そんな2ドアセダンにカッコよく乗れるオトナになりたいな、と思うのは、ちょっとオジサン入っちゃってますかね?いや充分にオジサンなんですけど、その辺はちょっとしたノスタル爺ってことで、そんなオトナになりたいものです。 ▲スバル レオーネ(1986年)2ドアセダン。セダンなのにかなり戦闘的。もうやる気まんまん的な80年代を体現しているかのようで これ読んで旧いサニーとかコロナやカリーナの2ドアセダン、検索してみてね。 「あれ?結構高いな」なんて思ったりしますよ。 [ライター/まつばらあつし]
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