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File no. 147
《Alain Paine/アラン ペイン》
セーターといえば、秋冬のトラディショナルなスタイルに欠かせないもの。
ツイードジャケットやカントリージャケット、各種コートをはじめとするオーセンティックなアウターとの相性は抜群で、シャ
ツとの相性のよさはいうまでもないだろう。
そんなセーターの聖地の筆頭として思い浮かぶのはやっぱりイギリスだが、名門や老舗と称される歴史あるニットブランドは年
を追うごとに減少しつつあり、今では貴重な存在として珍重されている。
今回はそんなイギリスを起源とするニットブランドの中から、現在は「クリケットセーター」や「チルデンセーター」の愛称で
親しまれているスポーツセーターで名を馳せる《アラン ペイン》にフィーチャー。
110年以上にも及ぶ、その長い歴史と魅力に少しだけ触れてみたい。
《アラン ペイン》は、1907年にイギリスのロンドンから西南に60kmほど離れたサリー州西南部にある歴史的な町、ゴダルマイ
ニングに設立された。
ブランドの創業者であるウイリアム・ペインが店裏の倉庫にあったニッティングマシーンでセーターをつくり、ケーブルセータ
ーを学生たちに販売し始めたことをきっかけにその歴史をスタートさせる。
ネックのトリム部分に大学や所属クラブのネクタイと合わせたカラーリングを加えたそのスポーツセーターは、ボートやクリケ
ット、テニスプレーヤーの間で瞬く間に人気となり、《アラン ペイン》の代名詞となる。
ちなみに、今でもその当時の大学や所属クラブのスワッチが大切に保存されているという。
その後の注文の急増に伴い、1920年代に入ると最先端のニットウエア工場へと生産母体を移し、飛躍的に生産能力を向上させ
た。
この頃からブランドの知名度はロンドンを飛び越え、英国中に知られる存在となっていた。
1940年代になるとイギリス海軍へとセーターを供給。
1950年代には創業者の息子であるアラン・ペインに事業が受け継がれ、米国での事業も順調に成功させる。
1960年代初頭には、米国の主要百貨店との取引が行われた。
そして1973年に、アン王女の結婚プレゼントとしてビキューナのセーターを献上するなど、イギリスを代表するニットブランド
として名実共に確固たる地位を確立した。
1990年代~2005年に掛けては市場の変化により紆余曲折を経験するが、2007年に記念すべき創立100周年という節目を迎え、
現在に至る。
写真のセーターは110年以上の歴史を誇る《アラン ペイン》の原点ともいうべきスポーツセーター「グラフトン」。
長年愛用できる本物のチルデンセーター、またはクリケットセーターを探している人には、ぜひともお勧めしたい上質な一着
だ。
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