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File no. 091
《Corgi / コーギー》
ジーンズやパンツの裾を折り返し、丈の長さを自由にアレンジするロールアップが当たり前の着こなしとして定着する昨今。
それに伴い、必然的にシューズとパンツを繋ぐ存在である「ソックス」の重要性が年々増してきている。
パンツやシューズそれぞれの個性や魅力を引き立て、それと同時にコーディネート全体の雰囲気をいい方向へと導く。
今はそんなソックスのチョイスが欠かせない時代なのだ。
ということで、今回は上質なソックスを提供する世界的にも有名なニットメーカー《コーギー》に注目し、その歴史と魅力を紐解いていく。
ニットブランド《コーギー》を展開する『コーギー・ホージリー』社は、1893年に英国のサウス・ウェールズで創業。
当時のウェールズ地方は炭鉱が主な産業であり、そこで働く労働者たちに暖かいロングソックスを履かせたいという思いからハンドメイドソックスの製造を開始した。
現在、世界に名だたる《コーギー》のソックスだが、それもそのはず。実に100年以上も前から大切に紡がれ続けてきたものなのだ。
ウェールズ地方の労働者を厳しい寒さから守るために開発されたソックスは好評を博し、アメリカでのセールスにも成功。ソックスメーカーとして高い評価を得た。
1960年からはハンドフレームによるインターシャのニットウエアの生産を開始し、後にカシミア素材も追加するなど、パリの高級メゾンにも認められる存在に。
そして1988年には、プリンス・オブ・ウェールズ(チャールズ皇太子)が10年間に及び『コーギー・ホージリー』社のニットウエアとソックスを愛用した実績から、ついにロイヤルワラント(英国王室御用達認定証)が授与されることとなる。
ソックスの足裏面にブランドのロゴマークと一緒に並んでいる「3つの羽の紋章」こそ、プリンス・オブ・ウェールズの紋章である。
この英国王室御用達認定証の授与という栄誉をきっかけに、さらに世界的なニットメーカーとして認知されることとなったが、その後も同社の真摯な物づくりへの姿勢が変わることはなかった。
多くのメーカーが機械による大量生産を行う今現在も熟練職人による手作りにこだわり、高品質な製品をつくり続けている。
一部、機械を導入している工程もあるが、ソックスのつま先部分については、すべて職人が手でリンキングすることにより、ゴツゴツとした感触が残らないようになっている。
ソックスの重要度が増す今だからこそ、自信を持って老舗の《コーギー》を推したい。