東京屈指の家具の街を、モノ選びのプロと巡る。

転職や進学などのイベントがなくても、暮らしを切り替えて気分転換したいこの時期。なら新しいインテリアでも、と買い物の言い訳も立つというもの。ネットで探すのもいいけど、家具やインテリアは、やっぱり店に行って探すに限る! そこで、東京やその周辺のショップをGO OUT常連の仲良しコンビと一緒にぐるり巡ってきた。

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スタイリストの近藤有倫さん(左)とアートディレクターの猿渡大輔さん(右)。同じセレクトショップに勤めていた過去があり、近藤さんが先輩で、猿渡さんが後輩という関係性。近藤さんの手料理を食べに、猿渡さんが自宅を訪れることも。

スタイリストとして、ファッションとアウトドアに向き合い続ける近藤さんと、アートディレクターとして新しいデザインを日々生み出し続ける猿渡さん。ともにこれまで数々の一流のモノと対峙し、審美眼を磨いてきた。

そんな2人が巡るのは、都内でも屈指の家具の街、恵比寿・目黒エリア。ヴィンテージも新品も、北欧系もアメリカ物も、バラエティに富んだインテリアが見つかるこの街で、一体どんなアイテムをディグるのか

【SHOP 1】PACIFIC FURNITURE SERVICE

店舗情報は記事末に記載。

「恵比寿のインテリアショップと言えば?」とGO OUTまわりの外遊び好きに聞けば、きっと十中八九その名を挙げるであろうPACIFIC FURNITURE SERVICE(パシフィックファニチャーサービス 以下、P.F.S.)。それほどまでに知名度は高く、またアウトドア好きからの信頼も厚い。“間違いない系”のインテリアショップだ。

近藤さんも猿渡さんも、これまでP.F.S.で多くの買い物をしてきた。なぜ2人がここを訪ねるのか、猿渡さんの言葉を借りると「家に置いて不自然なものがない」ということだ!

最初に猿渡さんが目をつけたのは、P.F.S.オリジナルのチェア。仕事机と合わせて使いたいという。

CLERK CHAIR ¥198000

「デスクワークが多いんですが、結構動き回るんです。あっちの本を取ったり、別の作業台に移動したり。だからキャスター付きの椅子はありがたい。肘あてもついているから、なおいいなと。座面のカラーも好きですね」

そう、P.F.S.のオリジナル家具は、ファブリックを自分好みのものに変更可能。だからどんな部屋にだって、馴染ませることができるのだ!

Stacking Book Case(S) ¥41800/Stacking Book Case(L)¥42900

近藤さんは最近引っ越しして、家具探しの真っ最中。そこで気になったのがキャビネットだという。

「素朴な佇まいが好きで、昔からこういうのに憧れてたんです。個人的には、これが2セットは欲しいです」という。同じものを2組というと贅沢な買い物だが、同じものを連続して並べるのは、部屋づくりのテクニックのひとつだとか。

P.F.S.から徒歩1分の場所には、P.F.S. PARTS CENTERがある。前者が大型家具を取り揃えるのに対し、こちらには小物も充実。P.F.S.でのセレクトを終え、次はこちらでインテリア探しを続行することに。

インダストリアルなものを中心に、店内はデザインの効いた小物で埋め尽くされている。食器や文具、掃除用具などなど、新生活に必要なちょっとしたものは、ここで揃えることができる。

「P.F.S. PARTS CENTERで買ったものが、家にめちゃくちゃあるんです」という猿渡さん。なかでもスタンドライトがお気に入り。「ダイニングテーブルが暗かったので、以前ここで買ったんです。その使い勝手が良すぎるので、大型サイズも欲しいと思って」。

JIELDE FLOOR LAMP ¥110000

このライトは、フランスのジェルデ社製のもの。一つひとつ職人の手で作られている、1950年に発売されて以来のロングセラーだ。

PLASTIC WASTE RECEPTACLE(L) ¥4400

ゴミ箱が欲しかったという近藤さんは、無事、気に入るものを発見。1920年創業のアメリカ・ラバーメイド社製のもので、シンプルなデザインなので部屋の景観を乱さない。スイングトップ式の蓋も別売りされている。

こちらもキャビネット同様、「最低でも2つは欲しい」と近藤さん。繰り返しになるが、複数買い、ぜひお試しあれ。

【SHOP 2】Point No.39

店舗情報は記事末に記載。

次に訪れたのは、目黒通りにあるPoint No.39。古き良きアメリカを思わせる店内には、オリジナルのインテリアと、1920年代〜70年代のヴィンテージものが所狭しと陳列される。

ちなみに目黒通りは、「インテリアストリート」と呼ばれるほどの家具・インテリア巡りの名所。P.F.S.同様、新生活をスタートさせる際にはとりあえず足を向けたいスポットだ!

店に入るなり「懐かしい!」と近藤さん。「この店には思い出があって。スタイリストのアシスタント時代、撮影の小道具をレンタルしに度々訪れていたんです」。近藤さんの師匠は、ここでヴィンテージの自転車を購入していたという。

このショップは、とにかくランプの品揃えが豊富。買い付けてきたものとオリジナルのランプが天井を埋め尽くす。

LAMP ¥25500

なかでも近藤さんが気になったのは、シェード部分がフランスのアンティークで、それ以外は同店で作られたというプロダクト。「何気なくてかわいいし、毎日見ていても飽きなそう」という理由でセレクト。

LAMP ¥55000

猿渡さんも同じく、ランプをひとつチョイス。写真中央に見える4つの電球がついたものだが、部屋を圧迫しないよう、天井に沿うようデザインされているという。

スタッフさんいわく、ライトは電球を替えるだけでも表情がまったく違ってくる。とくにオススメだというのは、「エジソン電球」と呼ばれるタイプ。電球の最も古い形で、フィラメントが見えているのが特徴。いつもの電球をそれに替えるだけで、部屋の雰囲気がガラリと変わる。

EDISON BULB ¥2640

その言葉に触発され、近藤さんはさっそくエジソン電球をゲット! やっぱり実店舗での買い物の醍醐味は、スタッフさんとのトーク。さまざまなアドバイスがもらえたり、思わぬ発見があったりする。

TOYS 各¥1000

猿渡さんが手にしたのは、イギリスの知育玩具。自身の名前のイニシャルであるDとEをゲットした。「『あってもなくてもいいけど、あったらちょっといいよね』ってモノが好きなんです」

ちなみにPoint No.39にはカフェも併設され、オランダのドーナツなんかも販売されている。インテリア探しに疲れたら、ここでコーヒーブレイクするのもアリ。

【SHOP 3】FILM

店舗情報は記事末に記載。

今回の終着点は、目黒通りにあるFILM。ヨーロッパのヴィンテージ家具が揃う隠れた名店だ。

家具といえば、デンマークをはじめとした北欧ものが人気だけど、ここはさらにオランダ、ドイツ、ベルギーといったヨーロッパ諸国のものも揃っていて、60年代から90年代に作られた風変わりのデザイン家具に出合える。

1階は陶器や磁気をメインに取り扱い、2階は大型家具がポツポツと置かれている。ちょっとしたギャラリーみたい。

Flower Vase ¥11000

まずは1階で猿渡さんが選んだのは、一見すると和な趣のある花器。ところが、実はドイツで60年代に作られた代物なのだとか。

「パッと見、ドイツっぽくない感じがいいですよね。うちには日本の花器がたくさんありますが、そこに並べてもきっと違和感がない。『だけど実は……』って、友達が来たときにも話題にできそうですよね」

「もしかして、これって広げられる?」と近藤さんが吸い寄せられたのが、写真の丸テーブル。天板の下に拡張用の天板が収納されていて、それを引っ張り出すと……、

Table ¥1000

ご覧の通り、オーバル型に変形する! 普段は丸テーブルで、来客があるときは広げて。そんな2WAY活用ができるところが、限られた部屋面積で、かつ人の出入りが多い近藤邸にピッタリ。となれば、ここに合う椅子も探さねば、とセレクトしたのがコチラの1脚。

CHAIR ¥35000

「このチェアは、ベルギー製らしいです。デンマークやスウェーデンの北欧家具とはひと味違う、木と鉄の組み合わせが新鮮ですよね」

いま、北欧のデザイナーズ家具は高騰の一途。リセールバリューもどんどん値上がりしている。ただ、FILMのスタッフさんいわく、北欧のみならずヨーロッパ全体のヴィンテージ家具が価格上昇中。近藤さんも、「僕も、どうせなら資産になるモノを選ぶほうがいいとは思います。そこも家具選びのポイントのひとつかも」と言う。

Plate ¥18000

最後に猿渡さんが選んだアイテムは、陶器と真鍮の取り合わせがユニークな、「見た目以上にどっしりしている」器。60年代にドイツで作られたものだ。「玄関の小物入れにしたり、ダイニングでお菓子入れにしてもいいかも」とイメージを膨らませる。

新生活のヒントを探しに。気軽に足を運びたい街。

買いたいモノを狙い撃ちで行くことも多いインテリアショップだが、買い物を終えた2人は「別に欲しいものがなくても、インテリアショップを巡るのは楽しい」としみじみ話す。用がなくても、ふらりと入れば新しい発見が待っていたりする。

「信頼できる第三者と一緒に行くことは大事だなと思いました(笑)」と、猿渡さんは今回のツアーを通じて感じたという。「僕にとっては近藤さんなんですけど、確かな目を持っている人と行けば、知識も入ってきやすいし、単純に楽しいですよね。正しく買い物できる気がする」。

続けて近藤さん。「無理して高いモノを買う必要はないけど、やっぱり僕は、なるべくならオリジナルと言われるアイテムを選びたい。オリジナルに似せたモノは手が届きやすいけど、のちのち、オリジナルが欲しくなることがほとんどなので」と、インテリア選びのコツを教えてくれた。

恵比寿と目黒はインテリア巡りの東京名所であり、どんな趣味趣向の人にもフィットする店が軒を連ねている。何を買っていいかわからない、部屋のイメージが湧かないときなども、ヒントを得るために気軽に足を向けたい。

【この日のルートと店舗情報

PACIFIC FURNITURE SERVICE:東京都渋谷区恵比寿南1丁目20-4 tel:03-3710-9865 open:12:00〜19:00 pfservice.co.jp

Point No.39:東京都目黒区下目黒6丁目1-28  tel:03-3716-0640 open:12:00〜20:00 clownandsons.co.jp

・FILM:東京都目黒区中町1丁目6−14 宝恵マンション 1F /2F  tel:03-5734-1011 open:12:00〜19:00 film-interior.com

Text/Keisuke Kimura、Photo/Sousuke Shimizu

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情報提供元: GO OUT
記事名:「 インテリア探しの東京名所を、目利きたちが本気DIG!【春の、インテリア DIG TOUR!! 〜恵比寿・目黒編〜】