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腸腰筋はインナーマッスルと呼ばれる、体の深い部分を通っている筋肉です。腸腰筋は歩行はもちろん、立ったり座ったりという日常的な動作に欠かせない収縮を繰り返しています。
腸腰筋は、大腰筋と腸骨筋が骨盤内で一緒になって、それが大腿骨の付け根につながったものです。大腰筋の始まりは背骨の胸椎の下部から腰椎にかけて。おへそよりも少し上くらいの位置の背骨から大腰筋は始まっています。
大腰筋の組織は二層構造になっていて、その2つの組織の間には下半身を支配している神経が隠されているのです。このため、大腰筋が疲労すると腰痛として痛みが感じられることがあります。これが股関節痛の原因です。
腸腰筋のもう1つの構成要素である腸骨筋は、左右に出っ張っている骨盤から始まっている筋肉。腸骨筋は太ももにある内転筋と協同して、ひざを内側に引き付ける役割を果たしています。また、骨盤の角度を前傾させて、直立する姿勢をコントロールする筋肉でもあるのです。
腸骨筋が収縮して骨盤の角度が前傾すると、自然に腰椎が前方に出る形になります。すると胸椎は後方に、頚椎は前方にカーブを描き、全体としてS字カーブとなります。S字カーブが重力による体への負担を小さくしているのです。
ところが、腸骨筋に疲労が蓄積すると骨盤の角度調整がうまくできません。軽く反っているはずの腰椎が後方に位置して腰が曲がり、腸腰筋全体で大腿骨を強く引っ張ることになって、股関節痛の原因となるのです。