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『よしもと漫才劇場』などで活躍するお笑いコンビ『ダブルヒガシ』の東(良介)と大東(翔生)が「撮る派」と「撮らない派」に分かれ、自身の意見も交えながらリスナーの声を拾いあげるという流れだったようだが、同番組に送られてきたメールは「撮る派」「撮らない派」が、ちょうど半々ずつ。そして、各派の言いぶんは、おおよそ以下のとおりであった……らしい。
【撮る派】
「思い出に残るから」
「もう一回食べたいときに思い出せる」
「盛り付けの勉強のために」
【撮らない派】
「なにを食べるかじゃない、誰と食べるか」
「スマホは雑菌だらけ」
「冷める前においしく食べたい」
ただ、「撮らない派」の論調はいささか湿りがちで、よくよく話を聞いてみると、
「撮りたくはない…けど、周りに合わせてなんとなく撮っている」
「どこかに行った報告をするとき撮りますが、すぐ消す」
……など、結局は「わりと撮っちゃっている」ことが判明した……のだそう。
たしかにそう言われてみれば、ここ5年くらいで、外食……のみならず自宅での手料理ですら「食事前に料理写メを撮るヒト」は、急激に増えている印象がある。私の雑観だと、とくに20代〜30代半ばあたりの女性は、ほぼ100%に近い確率でパシャパシャパシャパシャ……とシャッターを切りまくり、時には「美味しそうな料理を前にしたアタシ」までをもガッツリとキメ顔で自撮りしたりしている。彼女らにとっては「料理が冷めないうちに食べること」よりも「イケてる料理写真、もしくはイケてるアタシをスマホに収めること」のほうが優先順位は上……なんだろう。
はじめのうちは正直、私も内心イラつきもした。「いつまで撮っとんねん!」と。しかし、去年ごろから、まるで料理の旨味を舌ではなくレンズで味わい尽くすかのごとく、20分も30分も一つの皿の前で、トイレで衣装替えまでして延々撮影会を繰り広げる“なんちゃってインフルエンサー”みたく(※過去、本当にそんな女子3人組を銀座の某カフェで見かけたことがある)度が過ぎた“ソレ”じゃないかぎり、まったく気にならなくなった。
さらに、私も今年ごろから食事前、料理写真を写メするのが当たり前の“習慣”になりつつある。純粋に「想い出の食アルバム」として一人楽しむこともあれば、友人や恋人との情報交換の素材の一つとして活用することもあるし、自身のSNSにアップすることもある。いわゆる「一流」と呼ばれる、ランチでも1万円はかかるクラスの高級レストランでさえ、たいがいの(きちんとした礼儀作法を身につけているはずの?)お客さんが料理の前にスマホを向け、そんな姿を見てシェフも機嫌を損ねるわけでもなく、ニコニコと微笑んでいる。
もはや、「食べる前に料理写真を写メする」という行為は、「フォークとナイフは外側から使う」「赤ワインの入ったグラスはぐるぐる回す」……といったレベルの、食事中におけるスタンダードな所作となりつつあるのではなかろうか? 決して大袈裟な話ではなく、あと数年もすれば「料理が出てきたのにスマホを向けないのは、つくった人に失礼!」と、“マナー違反”を指摘される時代が来るのかもしれない。
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