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■『リービング・ラスベガス』:アルコールに溺れる脚本家と娼婦の破滅的な恋
真に迫ったむき出しの演技で、ときに観る者の心を鷲づかみにするニコラスだが、そんな彼の確かな演技力が評価されたのが、1995年公開の映画『リービング・ラスベガス』だ。
かつて、ハリウッドの人気脚本家として名を馳せたベン。しかしアルコールに溺れ、妻と子を失い、自暴自棄になった彼は、ラスベガスで死ぬまで酒を飲む覚悟を決める。そんな折に娼婦のサラと出会い、孤独な愛を深めていくが……というのが本作のあらすじ。
どん詰まりの人生の最後、次第に衰弱していくなかで、徐々に解放されていく破滅的なベンを演じるニコラスの演技は壮絶そのものだ。本作で彼は、ゴールデングローブ主演男優賞、さらには同年のアカデミー賞で主演男優賞まで獲得する快挙を成し遂げた。
■『フェイス/オフ』:劇中で、悪役から主人公へと成り代わる驚きの設定を熱演!!
アクション映画にも積極的に出演してきたニコラス。なかでも、香港のバイオレンスノワール王ジョン・ウー監督がハリウッドで撮った、1997年のアクション映画『フェイス/オフ』で見せた役柄は、演技派でなければなし得ない特殊な役といえるだろう。
本作の筋立てはこうだ。FBI捜査官のショーン・アーチャーは、息子を凶悪テロリストのキャスター・トロイに奪われて以来、彼の逮捕に心血を注いでいた。なんとか彼を逮捕したものの、彼の計画したテロ計画の秘密を聞き出せぬまま、トロイは昏睡状態に陥ってしまう。そこでFBIは、アーチャーにトロイの顔を移植し、裏社会に潜入させるという驚愕の作戦を決行する……。
序盤は黄金の拳銃をぶっ放し、極悪の限りを尽くすテロリスト役を怪演するニコラス。しかし物語の中盤で、その顔を主人公演じるジョン・トラボルタと交換したことで、なんと、途中からは主人公を演じるのだ。この破天荒な設定にリアリティをもたらしているのは、ひとえにトラボルタ、そしてニコラスの持つ演技力ゆえである。
■『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』:怪優“ニコケイ”ここにあり!! バイオレンス復讐譚
2010年代に入るとホラーやバイオレンス、コメディ映画と、ジャンルを問わず出演作を広げていったニコラス。どの作品でも彼の強烈な“怪演”は魅力を放っていたが、2018年のベルギー映画『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』で見せた演技は、その一つの極地といえるかもしれない。
1983年。ある郊外に住む男レッドは、愛する妻マンディと静かに暮らしていた。しかし、彼女を狙う残忍なカルト教団の魔の手により、レッドは眼前で妻を殺されてしまう。激烈な復讐に燃えるレッドは、自ら武器を鍛え上げ、仇討ちを開始する……というのが本作のストーリー。
極彩色でドラッギーな映像と音楽、そして苛烈なバイオレンス描写が特徴の本作だが、ニコラス演じるレッドの狂気ぶりは、そんな世界観に食われるどころか、それらを食いかねないほどパワフル。ドラッグをキメ、自作の巨大斧を手に、顔面を血に染めながら暴れ回るニコラスは、一度見たら夢に出てきそうなほどのインパクトだ。