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毎年の世相を反映し、人々の話題にあがった言葉に贈られる『ユーキャン新語・流行語大賞』にノミネートされた2019年の30語が、11月6日に発表された。
今年は新元号「令和」のほか、消費税が10%になったことに関連した「軽減税率」「キャッシュレス/ポイント還元」……あと、池袋で起きた乗用車暴走事故を機にインターネット上で広まった「上級国民」「免許返納」のほか、大盛況となったラグビーW杯絡みからは「ジャッカル」「ONE TEAM」「笑わない男」……など、複数の言葉が選ばれた。
つい2週間ほど前、私はここcitrusに寄稿したコラム『「ジャッカル」「笑わない男」だけじゃない! ラグビーW杯を通して考える、流行語大賞の大穴』で、
私個人としてはもう一つ、(新語・流行語大賞の)“大穴中の大穴”として「ニワカですけど…」というワードをここに加えておきたい。
……と書いたばかりであるが、「にわかファン」も多少の言い回しの違いこそあれど、物の見事にノミネート!今年最大級のイベントとなったラグビーW杯の熱狂ぶりを反映しつつも、ちょっぴりの風刺と捻りも利かせた、なかなかバランスの良い“作品”だと私は思うので、ぜひともこのまま突っ走って「大賞」の座を獲得してほしい。ちなみに、新語・流行語大賞は大賞が発表される最終選考結果のときよりも、まだ「受賞者が出席してくれるかどうか」みたいな忖度が働いていない、この時期にあれこれ論じるほうが面白い。
で、今年ノミネートされたワードの一連をあらためてなぞってみると……「お笑い界から発生したものが見当たらない」という事実に、親愛なるcitrus読者の皆さまはお気づきだろうか? 「2019年は不作だった」と言ってしまえばそれまでなんだが、『スポニチAnnex』によると、この“結果”に関して選考委員である漫画家のやくみつる氏(60)が、11月9日に放送されたラジオ『ナイツのちゃきちゃき大放送』(TBS系)に出演した際、以下のように意味深なコメントをなされていた。
(お笑いコンビ『チョコレートプラネット』の持ちネタである「TT兄弟」「そろりそろり」などの強力なギャグがノミネートの時点で落選したことに対して)「まったく(候補として)挙がらなかった」
「彼らはギャグに依存している訳ではないじゃないですか。毎回しっかりしたネタを作り込んできてるんで。第7世代と言われる人たちもそうだし。だから(流行語として)くくりにくい」
「(ネタの完成度をトータル的に考えたうえで、チョコプラや第7世代は)むしろ入んない方が…(と、落選の意味を前向きに捉えるべきと主張した)」
「新語・流行語大賞を受賞したお笑い芸人は一発屋で終わってしまう」なるジンクスは、もはや一般レベルでさえ認識されつつある“お約束的な流れ”であるが、注目に値すべきなのは、やく氏(をはじめとする)選考側も、この“定則”を冷徹に自覚しているということだ。
とどのつまりが(「新語」はともかくとして)「流行語」とは、爆発的に世間へと流通するだけではなく、また同時に「その後はきちんと消え去っていくこと」も“然るべき条件”として課せられる宿命にある、本来は刹那性に満ちた言葉なのかもしれない。